アキーノに被弾の大野雄大「フェンスオーバーは予想外でした」 中日の新外国人アリスティデス・アキーノ外野手が16日、ついに…

アキーノに被弾の大野雄大「フェンスオーバーは予想外でした」

 中日の新外国人アリスティデス・アキーノ外野手が16日、ついに“着火”した。1軍キャンプでのシート打撃で、エースの大野雄大投手から特大弾。バックスクリーン左に設置された看板に直撃した。当たれば飛ぶパワーは証明したものの、相手は身内。早く知りたいのは“アタリ助っ人”か否かだが、強烈な一発は信用していいのか――。チーム内からはリアルな評価も聞こえてくる。

 南国らしい日差しが降り注ぐ球場に「ゴンッ」と鈍い音が響いた。身長195センチの巨漢が放った打球は中堅方向へ一直線。「Agreスタジアム北谷」と書かれた看板にぶち当たる推定130メートル弾に、アキーノは思わず笑みをこぼす。スタンドのファンからは、どよめきが起きた。

 打たれた大野雄は今季初の実戦形式で、万全にはほど遠い状態。内角を狙ったストレートがど真ん中に入る“激甘ボール”でもあった。しかも直球中心に投げていて、ある程度狙いも絞れたはず。参考記録中の参考記録ではあるが、エース左腕は噛み締めるように言った。

「あそこ(右打者への内角直球)は一番自信ある球。あそこまで完璧にいかれるのは、ショックすね。いっても(左中間)真っ二つかなと。フェンスオーバーは予想外でした」

アキーノに被弾の大野雄大「フェンスオーバーは予想外でした」

 引っ張った左翼へのスタンドインならまだ冷静に受け止められたが、非の打ち所がないセンター方向。「完璧なバッティングでしたからね。今までなかなかなかった。勉強になりました」。自らの状態を差し引いたとしても、驚きは大きかった。自らの“被弾経験”を振り返ると、ひとつイメージが重なる一発があった。

「最近やったら、2021年に誠也に打たれた満塁ホームランに似てましたね」。2021年10月7日の広島戦(バンテリンドーム)。両チーム無得点の5回1死満塁で、内角を狙ったストレートが甘く入ってバックスクリーン左に運ばれた。「僕の中でのホームランのイメージはあれと同じような感じですね」と例えた。

 ここまでのアキーノの印象は、おそらく偵察する他球団のスコアラーと変わらない。「ローボールは打ちますね」。血気盛んにブンブン振り回す感じもなく、見極めもできている。手の長さを生かし、外角にもバットが届く。2度目の対戦でツーシームを中堅フェンス際まで運ばれた大野雄は「腕が長いですよね。あそこまで飛ばすのはなかなかない」とうなった。

 この日同じくシート打撃で対戦した小笠原慎之介投手も「外の真っ直ぐは届くでしょうね」と見る。あとは外角へ逃げていく変化球に手を出さないかがひとつ鍵だと、昨季の10勝左腕は見ている。

 真価が問われるのは、本番モードに入っていくここから。立浪和義監督も「弱点っていうのは、必ず相手は見つけてくる。そういう時に対応できる形を見つけていけば」と冷静に見極めていく姿勢を保つ。貧打線を救う救世主となるのか、期待ハズレに終わるのか。沖縄の空を切り裂いた弾道は、少なくとも“前者”だとチームメートが期待を抱くには十分だった。(小西亮 / Ryo Konishi)