第2次森保ジャパンのスケジュールが動き始めた。3月の親善試合を前に、森保一監督はヨーロッパで視察を行い、準備を進めてい…

 第2次森保ジャパンのスケジュールが動き始めた。3月の親善試合を前に、森保一監督はヨーロッパで視察を行い、準備を進めている。次回のワールドカップに向けて、日本代表はどのように歩みを進めていくべきなのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■思い切った人選

 森保監督の2期目で大きく変わったのが、アシスタントコーチの顔ぶれだ。

 ワールドカップまでアシスタントを務めていたのは横内昭展だった。サンフレッチェ広島の前身、マツダSC時代からの森保の同僚(森保の先輩)であり、広島でミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下でアシスタントを務め、ペトロヴィッチ監督退任後には森保が監督に就任したが、横内はそのままコーチとして森保を支えることとなった。

 いわば、長期間にわたってともに戦ってきた戦友的な関係にあり、互いの考え方も近く、言葉を交わさなくても相手の考えていることが分かる。そんな密接な関係があった。

 森保監督の場合、年齢制限のない日本代表とオリンピックを目指すチームの監督を兼任していたため、2つのチームの活動時期が重なる時には横内がオリンピック・チームを指揮することも多かった。

 しかし、ワールドカップ終了後森保監督の留任が決まると、横内コーチはジュビロ磐田の監督に就任。森保監督は、アシスタントとして名波浩と前田遼一に就任を要請したのである。

「思い切った人選」と言わざるを得ない。

■接点のない2人のコーチ

 長年、共に戦ってきた横内と違って、森保監督と名波コーチ、前田コーチの間にはそうした接点がない。

 前田はジュビロ磐田のU-18で監督経験があるだけで、指導者としての経験は少ない。

 名波は2014年のシーズン途中にJ2にいた古巣ジュビロ磐田の監督に就任し、翌年には磐田を昇格させ、2017年にはJ1リーグ6位に導いたものの、2019年シーズンにはチーム低迷の責任を取って辞任。2021年にはシーズン途中にJ2の松本山雅FCの監督に就任したがJ3降格を経験。2022年にはJ2復帰に失敗して監督を辞任した。

 残念ながら、監督として成功したとは言い難い。

 果たして、森保監督と名波コーチ、前田コーチの関係がうまく機能するのか……。それが、これからの日本代表の行方に大きな影響を与えることになる。

 森保監督がなぜこれまで接点がなく、またおそらく考え方にも違いがあるであろう名波、前田両コーチを起用したのか? 森保監督の気持ちを忖度するに、それは考えに違いがあるからこそのコーチ就任要請だったのではないか。

 考え方を理解しあっている横内コーチとの二人三脚でカタール・ワールドカップで“成功”を収めたものの、森保監督はワールドカップでの戦い自体には満足はしていなかったのだろう。ドイツやスペインに対してカウンターからゴールを決めて逆転勝ちはしたものの、目指していた「ボールを動かして主導権を握るサッカー」はできなかった。

■考え方が違うからこそ

 もちろん、そうした戦い方で強豪国と戦うためには、選手の個人能力を上げるしかないわけだが、やはりチームとしても別のアプローチをして攻撃のパターンを増やさなければいけない。

「そのために、自身とは違った考え方を持ったコーチを入れるべきだ」。そう、森保監督は考えたのだろう。

 たとえば、名波コーチは選手時代は日本代表で攻撃のタクトを振るったMFだった。同じMFでも守備面でバランスをとる役割だった森保監督とは、まったく違ったビジョンを持っているはずだ。

 Jリーグの監督としては成功したとは言い難かったが、コーチとしてならそのビジョンをグラウンドに落とし込むことができるかもしれないし、レベルの高い選手がそろった代表チームでなら、名波コーチの抱くビジョンを選手たちも理解して共有できるかもしれない。

 もし、それに成功したとしたら、次期ワールドカップではさまざまな攻撃のバリエーションを持った日本代表が完成しているかもしれない。

 もちろん、監督とコーチの考え方が乖離して失敗するリスクもあるのだが、ここは敢えて自らとは違った考えの持ち主である名波、前田両コーチを招聘した森保監督の決断を見守っていきたいところである。

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