いまだ年始から続く寒波が東京を覆う中、「Dリーグ」22-23シーズンのラウンド8が9日、今回も有明・東京ガーデンシアターで開催された。 ここでは全6回戦の後半をレポートする。 ◆ラウンド8 セガサミー・ルクスがトータルランク首位の座を奪還 …

いまだ年始から続く寒波が東京を覆う中、「Dリーグ」22-23シーズンのラウンド8が9日、今回も有明・東京ガーデンシアターで開催された。

ここでは全6回戦の後半をレポートする。

◆ラウンド8 セガサミー・ルクスがトータルランク首位の座を奪還 前編

■初勝利を飾ったインフィニティ

【4th MATCH】dip BATTLES vs. Valuence INFINITIES 先攻は毎回ナンバーごとのテーマと個性が光るディップバトルズ。今回は黄色とブラックの小気味よい衣装でDJの繰り出す高速ラップに乗せて、力強さとキレが印象に残るヒップホップを踊りきった。

後攻のインフィニティは今ナンバーも得意のブレイキンとヒップホップを織り交ぜ、ストリート代表にふさわしいブルージーンズの衣装で登場。こちらもブルージーでファンクな高速ナンバーを展開し、結果、1-5でインフィニティが今シーズンの初勝利を飾った。

【5th MATCH】LIFULL ALT-RHYTHM vs. FULLCAST RAISERS 先攻はSPダンサーに加賀谷一肇と碓井菜央を迎え、彩り豊かな衣装で独特な分厚い世界観を構築してきたアルトリズム。タップダンスとの融合やキャバレー的な雰囲気を出しながら今ラウンドも奇想天外ながらもアダルトな空気を醸す“アルトリワールド”が繰り広げられた。

対する後攻のレイザーズは登場から確固とした人気を感じさせる多くの声援のもと、今回もえりなっちをSPダンサーに迎えて、楽しくてコミカルな「レイザーズ学園」の運動会を展開。ファンの期待に応えてなのか、お約束のようなえりなっちの衣装をはぎ取る場面やメンバーの表情も豊かに繰り広げられるレイザーズ劇場は大いに会場を沸かせたが、5-1でアルトリズムに軍配が上がった。

【6th MATCH】KADOKAWA DREAMS vs. USEN-NEXT I’moon 先攻は今回女性メンバーのみで闘いに臨んだカドカワドリームズ。今ラウンドも詰めかけたカドカワファンからの分厚い応援のもとブルーのロングジャケットを脱ぎ捨て舞台に集結。緑のシャツにグレーのパンツというボーイッシュな衣装でよい意味で女性離れした、ファンク溢れる気持の良いナンバーが届けられた。

対するアイムーンはいつもの可愛さからの脱却を図ったようなゴールドとブラックの大人びた衣装で登場。パーカッションと金属音から始まった楽曲と共に、しなやかで柔軟性あふれた動きに力強さもしっかりと加わったナンバーで存分に魅力を振りまいたが、結果5-1でカドカワのファンクなレディースチームが勝利を攫った。

今ラウンドの結果を受けて、トータルランキングでは、セガサミールクスがサイバーエージェントレジットと入れ替わって1位となり、その後は3位エイベックス・ロイヤルブラッツ、4位カドカワドリームズと続いている。

このラウンド8が終わり、4月のチャンピオン・シップまであと4ラウンド。チャンピオンシップへと勝ち進むことが出来るのは上位6チームとなるが、現在その6位と7位近辺はまさに接戦となっており、まだまだ予断は許さない状況である。

今ラウンドを見ていても感じたことだが、Dリーグでの勝ち点を取るべく、各審査員の心を掴む方向性はどこにあるのか。

奇をてらわないナンバー。ダンスの真っ向王道勝負で行く。各ダンサーの存在感の強さ。このあたりがキーな気がしているのだが、いずれにせよ、このサードシーズンが終わればパリ・オリンピックの到来となり、いよいよダンスそのものの真価が日本のスポーツ界のみならず、世界的に問われる局面となる。それと共に、日本でもダンスをもっと身近に感じられる土壌がさらに整うことも強く願いながら、この世界初・日本発のダンスリーグと共に全Dリーガーの今後の歩みがさらに確固としたものになる世界の到来を祈りたい。

◆うまいだけでは勝てない、ますます総合芸術の色合いを強めるDリーガーたち

◆2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」

◆ソフトバンクがダンス界で実現させた近未来的3D映像の衝撃 3Dバトルも提供スタート

著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター

『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。