いまだ年始から続く寒波が東京を覆う中、「Dリーグ」22-23シーズンのラウンド8が9日、今回も有明・東京ガーデンシアターで開催された。静かに、そして確かな盛り上りを感じさせるDリーグは今回もコロナ禍で声援時はマスクを必ず着用等の規制はあった…

いまだ年始から続く寒波が東京を覆う中、「Dリーグ」22-23シーズンのラウンド8が9日、今回も有明・東京ガーデンシアターで開催された。静かに、そして確かな盛り上りを感じさせるDリーグは今回もコロナ禍で声援時はマスクを必ず着用等の規制はあったが、8割方埋まった会場の有明ガーデンシアターでは各シーンで観客の感嘆が地鳴りのように響きわたるという盛り上りをしっかりと肌で感じることができた。

このラウンド8は22-23シーズン全12ラウンドの終盤に差し掛かり、4月12日開催のチャンピオンシップへと向かうまさに佳境のタイミング。各チームから、さらに“脂がのった”充実のナンバーが届けられた。

今回も12チーム÷2で6回の対戦(マッチ)による総当たり戦である。早速、ファーストマッチの結果から振り返りたい。

◆ラウンド8 セガサミー・ルクスがトータルランク首位の座を奪還 後編

■独特な雰囲気で会場を魅了

【1st MATCH】SEGA SAMMY LUX vs. SEPTENI RAPTURES

先攻はブラックスーツと蝶ネクタイ、そしてブラックハットに身を包んだ、現在5勝1分けで今シーズン負け知らずのセガサミールクス。鍛え上げた肉体にぴったりと纏ったスーツで、マイクスタンドを巧みに操りながら、クールでセクシーな男が香るナンバーを展開。しっとりとした動きとタイトな動きの組み合わせはルクスならではと感じさせる独特の雰囲気を醸し出し会場を沸かせた。

対する後攻は毎回ダンサブルなノリが愉しいセプテーニ・ラプチャーズ。入場時からイヤホンを付けてコールセンターのスタッフが電話の対応をするジェスチャーを見せながら登場し、本ナンバーもイヤホン越しに「こんなに応援しているのにいつになったら勝つんだよ!?」というファンからの“愛の鞭”的な苦情を受け取るコミカルな場面でスタート。今回もアップテンポで踊り出すシーンと共に、観る者を愉しく盛り上げるという点でラプチャーズらしいナンバーに仕上がっていたが、結果は6-0で、セクシー且つダンディに大人の魅力で攻めたルクスが初SWEEPで勝利を飾った。

【2nd MATCH】avex ROYALBRATS vs. KOSE 8ROCKS

先攻のロイヤルブラッツは作品タイトルの「8bit dancing」そのままに、レトロなゲームの世界をダンスで表現することをテーマにナンバーを制作。どこか懐かしいゲーム音と共に、金色に塗り固められた頭髪と、“ビット”を連想させる白い衣装に描かれた黒い図と共にメンバーがまさにゲームに登場するキャラクターに扮し、ビットと化してゲーム中で連続する動きを表現した。世のゲーム好きにはたまらないであろう「色々なゲームあるある」を取り入れたという今作品、様々なところにゲームらしいギミックが埋め込まれているため、終了後「ぜひもう一回見て欲しい作品」との弁がメンバーのKooDaから飛び出した。

対する後攻エイトロックスはのテーマは「スピンコントロール」。

全員がステージに寝転がった姿勢から、DJに扮したSPダンサーのKATSUがターンテーブルを回す動作に合わせ次第に激しい動きへと繋がってゆき、最後はエイトロックスならではの圧巻のヘッドスピンが飛び出し会場を沸かせた。やはり、ヘッドスピンは他の動きにはないインパクトを持ち、もっともっと見ていたいという気持ちにさせられたが、結果は5-1でロイヤルブラッツが醸成したゲームの世界に軍配があがった。

【3rd MATCH】Benefit one MONOLIZ vs. CyberAgent Legit 先攻は見た者を石に代えてしまう「メデューサ」をテーマにしたモノリス。今回もグリーンを基調とした透け感いっぱいのセクシーな衣装で登場し、秘めたような呼吸音と共にナンバーがスタート。まるで植物が意思をもって蠢くかのような妖しさで会場の雰囲気を塗り替え、モノリスワールドが繰り広げられた。

対する後攻のレジットのテーマは「Catch me if you can」。登場時からメンバーがニンジンを手に持ち謎かけをしながらの始まりで、POLICEに扮した5人と犯人と思しき3人がパトカーのサイレン音とロッキンダンスで鮮やかなる捕り物帖を展開。今回もレジットのメンバーである“地獄”の名前には合わないが独特の明るい笑顔が一連のストーリーのなかで光り、ザ・レジット劇場を盛り上げていた。結果は1-5でより会場を盛り上げたレジットの勝利となった。

◆うまいだけでは勝てない、ますます総合芸術の色合いを強めるDリーガーたち

◆2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」

◆ソフトバンクがダンス界で実現させた近未来的3D映像の衝撃 3Dバトルも提供スタート

著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター

『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。