古馬中距離の伝統の重賞、GII京都記念(阪神・芝2200m)が2月12日に行なわれる。 昨年は13頭中、12番人気のア…
古馬中距離の伝統の重賞、GII京都記念(阪神・芝2200m)が2月12日に行なわれる。
昨年は13頭中、12番人気のアフリカンゴールドが大金星を挙げ、2着にも8番人気のタガノディアマンテが、3着に6番人気のサンレイポケットが入って、3連単で67万9100円という高額配当が飛び出した同レース。それ以前も、伏兵の台頭が頻繁に見られ、3連単ではしばしば好配当が生まれている。
実際、過去10年で1番人気は2勝、2着1回、3着2回と苦戦傾向。しかも、ジェンティルドンナ(2014年6着)をはじめ、ハープスター(2015年5着)、マカヒキ(2017年3着)、レイデオロ(2018年3着)など、断然人気のGI馬が連対も果たせずに敗れており、波乱含みの一戦と言える。
そうなると今年も、ドウデュース(牡4歳)、エフフォーリア(牡5歳)といった人気のGI馬たちは、決して安泰とは言えないかもしれない。
そんなことも含めて、レースの行方を左右するポイントとなる今年の馬場状態はどうか。その点について、デイリー馬三郎の吉田順一記者はこう語る。
「JRAホームページにある1コーナータワーからの写真でも明確に確認できますが、前開催終了後、傷みの激しかった内回りの3、4コーナーから正面直線にかけて、5200平方メートルの芝の張り替えが行なわれました。内ラチから3、4頭分をしっかり張り替えたことは、今後10週間のロングラン開催を乗りきるには必須でしょう。
芝の色が違ったり、生えそろっていないところがあったりしますが、どの時期でも芝の張り替えを施工できる馬場造園課の技術の進歩は驚くべきものがあります。昨年後半もかなり使い込まれましたが、馬場状態はそこからうまく立て直せたと判断できます。
そして迎えた開幕週、金曜日の雪や雨がどこまで残るかわかりませんが、その後の天気や気温などを加味すれば、ある程度いい状態で時計が速くなる舞台設定となりそうです。そうは言っても、タフな状況になりやすい阪神内回りの芝2200m。そう簡単には逃げられないでしょうし、キレ味だけで勝負できるとも思えません。
GII日経新春杯(1月15日/中京・芝2200m)でハナをきったアフリカンゴールド(せん8歳)、番手につけてレースを運んだキングオブドラゴン(牡6歳)、そして年明け初戦となるユニコーンライオン(牡7歳)らの出方がカギとなりますが、いずれにしても適度に上がりがかかる展開になりそう。そうしたなか、自在性と機動力があれば、優位に運べるのではないでしょうか」
そこで、吉田記者は"自在性と機動力"を重視して、今年のレースで激走が期待できそうな馬を2頭ピックアップした。

京都記念で
「2強」を脅かす存在として期待されるキラーアビリティ
「1頭目は、キラーアビリティ(牡4歳)です。ドウデュース、エフフォーリアに次ぐ人気となるかもしれませんが、1着固定で勝負すれば、馬券的な妙味はあると思います。馬体重470kg前後のディープインパクト産駒ですが、立ち爪+破折気味で短めのつなぎや走法から、直線の短いコースで機動力と自在性を生かせるタイプです。
前走のGIII中日新聞杯(1着。12月10日/中京・芝2000m)では内目をうまく回って脚をタメ、直線では狭いところを割ってきて一瞬の脚を生かしましたが、2歳時にGIホープフルS(中山・芝2000m)を制した時のように、コーナーで脚を使って短い直線で伸びきれるよさも持ち合わせています。とすれば、阪神内回りの芝2200mという舞台も、同馬のパフォーマンスを存分に発揮できるコースと見ていいでしょう」
これまでに挙げた3勝はすべて芝2000m戦。それ以上の距離では結果を出せていないが、その点についても吉田記者は「不安はない」という。
「年齢とともに『マイル~2000mの馬』といったイメージになっていますが、開幕週で時計が出る馬場であれば、1ハロンの距離延長は問題ないでしょう。馬体や攻め気配から、状態も高いレベルで安定。斤量56kgで、鞍上が絶好調のバウルジャン・ムルザバエフ騎手なら、勝ち負け必至と踏んでいます」
吉田記者が推奨するもう1頭は、人気の盲点になりそうな4歳馬だ。
「キラーアビリティをピックアップしたことを思えば、同馬が勝った中日新聞杯でゴール前まで先頭をキープしていた2着マテンロウレオ(牡4歳)も面白い存在だと見ています。
馬体や骨格、トモ腰の完成度が年を重ねてよくなるハーツクライ産駒。3歳春は、GI皐月賞(中山・芝2000m)が12着、GI日本ダービー(東京・芝2400m)が13着と結果を出せませんでしたが、ひと夏を越してから確かな成長を見せています。先にも触れた中日新聞杯では、外からかぶされる格好になっても盛り返しているように、粘っこい脚が使える点が魅力です。
5着に終わった前走のGIII中山金杯(1月5日/中山・芝2000m)は、最内枠発走で出遅れたことによって、直線まで踏み込めなかったことが敗因のひとつ。それでも、勝ち馬とはコンマ1秒差。最後まで馬群のなかで辛抱できる精神力は評価できます。
また、前走では57.5kgの斤量を背負わされましたが、今回は56kg。タフな設定で我慢強さが要求される阪神・芝2200mという舞台も歓迎でしょうから、大駆けがあっても」
重賞実績がありながら、斤量的にも恵まれた感のある4歳馬2頭。断然人気のGI馬でも取りこぼすことが多い一戦で、下剋上を演じてもおかしくない。