有力馬が集った阪神JFで圧倒的な強さを見せたリバティアイランド 昨年末に行なわれた2歳牝馬によるGI、阪神ジュベナイルフ…

有力馬が集った阪神JFで圧倒的な強さを見せたリバティアイランド
昨年末に行なわれた2歳牝馬によるGI、阪神ジュベナイルフィリーズ(12月11日/阪神・芝1600m)は世代を代表する素質馬がズラリと顔をそろえた。結果は、1番人気のリバティアイランド(牝3歳/父ドゥラメンテ)が盤石の競馬で完勝。2歳女王に輝いた。
一方で、2番人気のモリアーナ(牝3歳/父エピファネイア)、3番人気のウンブライル(牝3歳/父ロードカナロア)、4番人気のラヴェル(牝3歳/父キタサンブラック)ら、リバティアイランドに続く上位人気馬は、12着、15着、11着と惨敗。牝馬クラシック戦線は、リバティアイランドの"1強"といった様相へと一気に加速した。
しかし年が明けると、出世レースのGIIIシンザン記念(1月8日/中京・芝1600m)をディープインパクトのラストクロップ、ライトクオンタム(牝3歳/父ディープインパクト)が父譲りの切れ味を見せて牡馬相手に快勝。リバティアイランドの強力なライバルとして浮上した。
その他、1勝クラスの特別戦や、オープンクラスのレースで新星が台頭。さらに、GIIIフェアリーS(1月9日/中山・芝1600m)ではキタウイング(牝3歳/父ダノンバラート)が勝利し、阪神JF敗戦組の巻き返しも見られ、再び激戦ムードになりつつある。
そして、この週末にはクラシックとの関連が深いGIIIクイーンC(2月11日/東京・芝1600m)が行なわれ、その結果次第では"リバティアイランド包囲網"は一段と強まる可能性がある。そうした状況のなか、ここで現時点での3歳牝馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

堂々の1位は、阪神JFを勝ってJRA賞最優秀2歳牝馬にも選出されたリバティアイランド。準満票の24ポイントを獲得し、牝馬クラシックの最有力候補であることは間違いない。
吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「胴長+脚長で前後&上下のバランスもよく、少し硬めでもクッションのあるつなぎは長く、ストライドが稼げる走法。ここまで3戦のパドックでも、高い集中力でしっかりと歩けており、精神年齢が高い点も強調材料です。
GIIIアルテミスS(10月29日/東京・芝1600m)では断然人気の宿命か、ライバルの徹底マークにあって、脚を余して2着惜敗。それでも、最後にコンマ1秒差まで追い詰めた末脚は、勝ち馬ラヴェルよりスケールが上であることの証明でしょう。
そして、この馬の強さを再確認できたのが、阪神JF。前半3ハロン33秒7-4ハロン45秒2というハイラップのなか、中団の外目で手応えよく追走し、最後の直線でも坂下からギアを上げていくと、坂上でも大きい完歩で脚勢が鈍ることはありませんでした。そのまま、最後は流して1分33秒1の好タイムで勝利。申し分ない結果を残しました。
同じ舞台で行なわれた翌週のGI朝日杯フューチュリティSは、前半3ハロン34秒1-4ハロン45秒7のラップで、勝ち馬の走破時計は1分33秒9。馬場状態を加味しても、このコンマ8秒差はポテンシャルの違いと判断していいでしょう。
つまり、この馬の完成度は牡馬クラシックに挑んでも面白いのでは? と思えるレベル。主戦の川田将雅騎手のコメントなどからも、同馬への期待値はかなり高く、近年の名牝と比べても五分以上の戦績を残す逸材だと見ています」
伊吹雅也氏(競馬評論家)
「1月29日終了時点の本賞金は8400万円。一走あたりの賞金は2800万円で、いずれの数字もJRAに所属する現3歳世代の牝馬としては単独トップです。サンデーサラブレッドクラブの所属馬で、募集総額は4000万円。すでに、2倍以上の金額を獲得したということになります。
母のヤンキーローズは、現役時代にオーストラリアのGIを2勝している実績馬。初仔のロムネヤ(牝4歳/父ディープインパクト)もデビュー戦を勝っていましたし、もともと繁殖牝馬としてのポテンシャルも高かったのでしょう。
ちなみに、JRAのレースにおける現3歳世代の種牡馬別勝利数を見ると、同馬の父ドゥラメンテ(29勝)はエピファネイア(39勝)に次ぐ単独2位。勝率(15.9%)では、エピファネイア(13.0%)を上回っています。
2つ下の現1歳世代がラストクロップとなるものの、単複の回収率が非常に高いコースも多く、その優秀さに評価が追いついていない印象です。代表産駒の座も狙えそうなリバティアイランドからは目が離せません」

2位は、シンザン記念を制したライトクオンタム。前回から大幅にポイントを伸ばして、一気に上位へのランクインを果たした。ここからどう化けるのか、注目される。
土屋真光氏(フリーライター)
「日本での登録馬は6頭しかいない、貴重なディープインパクト産駒のラストクロップ。キレ味だけでなく、馬体重が420kg台で小柄という点も父譲り。シンザン記念で見せた強烈な末脚が強調されていますが、デビュー戦では先手を奪って快勝し、どこからでも競馬ができるのは強みです。
ここからどこまで成長するかがポイントではありますが、折り合いのよさやフットワークの大きさから、オークスの距離までは好走してくれそうな予感があります」
3位は、前回1位だったラヴェル。阪神JFでの惨敗によって、大きく評価を落とした印象だ。
木南友輔氏(日刊スポーツ)
「馬場状態が特殊だった阪神JF。完全にインコース有利な馬場だったことから、外枠勢は苦戦を強いられました。ラヴェルは大外の18番枠で、しかも大きく出遅れ。惨敗も致し方なく、同レースの結果はノーカウントと考えていいと思っています。
勝ったアルテミスSのレースぶりからして、本来リバティアイランドとの差はそこまでないはず。不利のない条件での巻き返しを期待します」
4位は、4頭の馬が同ポイントで並んだ。デインバランス(牝3歳/父エピファネイア)、キタウイング、ドゥアイズ(牝3歳/父ルーラーシップ)、そしてムーンプローブ(牝3歳/父モーリス)である。
吉田氏
「デインバランスは、エピファネイア産駒らしい重厚感があり、トモのボリュームは若駒離れしています。アルテミスSでは、パドックでもテンションが高くならず、レースでもポンと前づけすることができました。ただ、超スローペースと馬込みの競馬で多少力んでしまって4着。そこは、若さでしょう。
2着リバティアイランドが直線で詰まって追えなかった内側で、この馬も正味300mぐらいしか追えていませんでした。また、枠の並びの問題なのか、道中でポジションを下げる形になったのも誤算でした。
つなぎは少し短めですが、クッションがあり長くいい脚が使えるタイプ。好位で折り合って、長い直線でしのぐような競馬ができるようになれば、大きいところでも戦える気がします」
伊吹氏
「阪神JFは14着に終わったキタウイングですが、年明けのフェアリーSを11番人気で勝利。1月29日終了時点の本賞金は7430万円で、現3歳世代のJRA所属馬としては単独4位、牝馬に限ると単独2位です。現時点でJRAのレースを3勝以上している3歳牝馬は他にいません。
JRA-VANに記録がある1986年まで遡(さかのぼ)っても、JRAの2~3歳限定重賞を勝ったあと、JRAの2~3歳限定のレース(GI、GII以外)を単勝9番人気以下で勝ったのは、この馬だけ。いわゆる"人気になりにくいタイプ"というのはどの世代にもいるものですが、キタウイングは歴史にその名が残るレベルで過小評価されてしまった馬と言えます。
今後も、どこかで似たようなシチュエーションが発生するはず。常に激走を警戒しておきたい一頭です」
本誌競馬班
「ドゥアイズは、オープン特別のコスモス賞(2着。8月13日/札幌・芝1800m)、GIII札幌2歳S(2着。9月3日/札幌・芝1800m)と勝ちきれなかったことで、物足りない印象がありました。しかし、ハイレベルな阪神JFでも3着と好走。重賞レベルで常に安定した結果を残せる点は、素直に評価すべきかと思います」
土屋氏
「阪神JFでは17着に終わったムーンプローブ。内枠有利の馬場で15番枠からの発走となったことが響きましたが、それ以上に、最初の2ハロン目から引っかかり気味でハイペースの先行勢に加わって、終始外側を回らせるという、悪いお手本のような競馬をしてしまったことが痛恨でした。これでは、さすがに直線で余力は残っていませんでした。
阪神JFの前には、1勝クラスの白菊賞(11月27日/阪神・芝1600m)を制覇。同レースの歴代勝ち馬には、ラヴズオンリーユー、リリーノーブルなど、3歳GIでも好走した面々の名が並ぶように、この馬も引けを取らないポテンシャルがあると見ています。トライアルでの好走が必須条件ですが、そこさえ突破すれば、その先の大舞台での期待が膨らみます」
クイーンCが終わると、その後はトライアル戦が本格化していく3歳牝馬戦線。リバティアイランドを脅かすような存在が他にも出てくるのか、注視していきたい。