圧巻の得点は鳥栖戦の45分1本目、36分に生まれた。 車屋紳太郎を起点に山根視来を経由して大きく展開。山根は右サイドか…
圧巻の得点は鳥栖戦の45分1本目、36分に生まれた。
車屋紳太郎を起点に山根視来を経由して大きく展開。山根は右サイドから左サイドの深い位置にまでスプリントしてマルシーニョにスルーパスを通す。パスを受けたマルシーニョが登里享平に合わせゴールに流し込むという得点だった。もともと川崎は攻撃時に流動性を出せるチームではあるが、この場面はそこに山根個人の良い判断が加わり得点に結びついた。川崎の良さが出た得点だった。
川崎フロンターレが沖縄で続けてきた二次合宿は2月4日の最終日を迎えた。例年、練習試合で合宿を締めてきた川崎は、今年は鳥栖を相手に45分4本の形式で練習試合を実施。トータル11対3のスコアで勝利している。この11得点のうち、登里のゴールは1本目の3点目の得点として生まれたものだった。
「本来(川崎が)持っている形だとは思いますけども」とする鬼木達監督は、意図的に作れた得点だったと評価して「意図的に崩すとか、意図的に突破していくとか、そういう回数が増えてきているかなと思います」と述べる。また、今現在そうした攻撃を求めているとのことで、狙い通りの形だったことになる。
■山根「別に誰がどこに居てもいい」
右サイドから左サイドに走り込んでこの得点に関わった山根は「カウンターみたいな感じでしたよね。速めにボールが動いてて、前に人数がいなかったんで」とそのシーンを振り返りつつ「僕がたぶんいい位置にいたんで、ランニングを掛けて」と自らの判断を説明した。
そして「別に誰がどこに居てもいいし、前に人が掛かってるということが大切だと思うので。あの時は僕が行った方がいいと思ったので、前にスプリントを掛けました」と言う。そして、そんな山根個人の判断に周囲の選手も合わせてくれているのだという。
「僕の動きを見て合わせてくれる選手達も多いです」
そうした山根のトリッキーな判断を柔軟に受け止められるのは「複数のポジションを出来る選手が多い」から。そして「誰がどこに居なきゃいけないっていうのは、あんまりないかなと思っています」という考えがチーム内に浸透しているからだとも言える。
これはつまり、川崎の選手たちが流動的になる瞬間のサインがあるわけではないということ。流動的に動いたほうがゴールになる可能性が高いとの判断で動くわけで、対戦相手が対応するのは難しくなる。鳥栖を相手に様々な形で得点を積み重ねた川崎ではあるが、その中でも特に印象的な一点だった。
【江藤高志】
えとう・たかし/大分県中津市出身。IT系出版社で雑誌や書籍などを編集していた1999年に、パラグアイで行われたコパ・アメリカを観戦。これを機にサッカーライターに転身した。当初は故郷のJ2クラブ、大分トリニータを取材。石崎信弘監督との縁もあり、2001年途中から川崎フロンターレの取材を開始した。15年から『川崎フットボールアディクト』を創刊し、編集長として運営。今に至る。