報徳学園の大角監督「野球を終えてからの方が人生は長い」 高校野球を終えた後、次のステージで陥りやすい「燃え尽き症候群」。国民的行事ともいえる“甲子園大会”がある高校野球はテレビ、新聞、雑誌、ネットなどに取り上げられる機会がアマチュア野球の中…

報徳学園の大角監督「野球を終えてからの方が人生は長い」

 高校野球を終えた後、次のステージで陥りやすい「燃え尽き症候群」。国民的行事ともいえる“甲子園大会”がある高校野球はテレビ、新聞、雑誌、ネットなどに取り上げられる機会がアマチュア野球の中で最も多い。高校時代が“人生のピーク”にならないため、指導者はどのような教育を行っているのか迫った。

 今年の選抜大会に2017年以来、6年ぶりに出場する報徳学園の大角健二監督も、華やかな環境を離れ、現実を知ることでモチベーションが下がっていく選手を何人も見てきたという。

「野球を続けていくなかで、大学や社会人は高校に比べると注目度は低い。高校卒業後に惰性でやってしまう子になってほしくない。目的は個々で違いますが、野球を終えてからの方が人生は長い。今の時点からそういったミーティングを行うようにしています」

 卒業後の進路は個人の考えを尊重する。他競技に移行する選手もいれば、スポーツから離れ、卒業後に留学するなど、全員が野球を続けるわけではない。「親の意見もありますが18歳は成年です。自分の意見、目標を持ってほしい」と、面談を通じアドバイスを送りながら将来についても話し合っている。

大学、社会人で1年目から活躍する選手の特徴とは?

「今は昔と違ってスポーツ推薦の基準も高くなっています。野球をやったからといって、簡単に大学に行ける時代ではない。そんな中でも『野球を続けたい』という言葉は凄く嬉しいです。環境が変わっても情熱を持ってやってくれる子を育てていきたい。大学、社会人で活躍できる子を増やして、野球界を盛り上げてほしい」

 大学、社会人で1年目からデビューし活躍する選手には特徴があるという。高校時代からトレーニングの知識、意識を持っている選手は環境が変わっても、軸がブレることはない。

「技術をイメージ通りに表現するためには筋力や可動域が必要。それを野球の動きに落とし込む。高校生で気付くのは難しいが、それをやっていたのは久野悠斗(現明大)や坂口翔颯(現国学院大)らだった。自分の体に興味を持って、失敗もしながら成長していきました」

 甲子園という目標を大事にしながら、大角監督は球児たちが次のステージでも、活躍できる環境作りを大切にしている。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)