朝日杯FSを制して2歳王者に輝いたドルチェモア 今年の3歳牡馬戦線は年が明けてもなお、確たる主役が不在だ。その原因は、例…

朝日杯FSを制して2歳王者に輝いたドルチェモア
今年の3歳牡馬戦線は年が明けてもなお、確たる主役が不在だ。その原因は、例年勢力図が定まる暮れの2歳GI2戦の結果によるところが大きい。
GI朝日杯フューチュリティS(12月18日/阪神・芝1600m)は、1番人気のドルチェモア(牡3歳/父ルーラーシップ)が勝利したものの、同馬はクラシック第1弾のGI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)に向かわず、GINHKマイルC(5月7日/東京・芝1600m)から始動するという。
一方、GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)は、14番人気のドゥラエレーデ(牡3歳/父ドゥラメンテ)が優勝。人気馬総崩れ、という結果に終わった。
おかげで、これらのレースの結果が「クラシックに直結するのか?」と疑問視する声も少なくなく、3歳牡馬戦線はこれまでの混戦模様に一段と拍車がかかっている。
そうしたなか、この2月には「クラシック登竜門」と言われる注目の2戦、GIIIきさらぎ賞(2月5日/中京・芝2000m)とGIII共同通信杯(2月12日/東京・芝1800m)が行なわれる。そしてその後は、トライアル戦がスタート。クラシックに向けての戦いは本格化していく。
はたして、そのなかで3歳牡馬戦線の勢力図は固まってくるのか。はたまた、混戦を極めたままクラシック本番へ突入していくのか。
いずれにせよ、それら前哨戦を前にして、3歳牡馬の現時点での『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

1位は暮れの2歳GIが行なわれる前の番付と同じく、2頭が同ポイントで並ぶ結果となった。1頭は、前回も同率1位だったドルチェモア。朝日杯FSを制して、JRA賞の最優秀2歳牡馬にも輝いている。
伊吹雅也氏(競馬評論家)
「1月22日終了時点で本賞金が1億1000万円。一走あたりの賞金が3667万円で、いずれの数字もJRA所属の現3歳世代では断然のトップ。JRA賞最優秀2歳牡馬の記者投票では288票中279票の獲得にとどまって惜しくも満票とはならなかったものの、ここまでの実績は頭ひとつ抜けています。
母は2013年の桜花賞馬アユサン。デビュー2戦目に東京・芝1600mの重賞で連対を果たし、のちに阪神・芝1600mのGIを制してしますが、ドルチェモアのここまでの戦績はそれによく似ています。他の競馬場や、より長い距離に対する適性は未知数ですが、レース運びに安定感がありますし、未経験のコースや距離延長にもある程度は対応できるのではないでしょうか」
土屋真光氏(フリーライター)
「ルーラーシップ産駒の牡馬といえば、パワータイプの中距離馬が多いのですが、この馬は桜花賞馬の母アユサンがいい感じで出ているのか、珍しくマイル戦にも強い軽快さも持ち合わせています。
それゆえ、距離が伸びてどこまで? という印象もありますが、歴代の朝日杯FSの勝ち馬と比較しても、その競馬センスは遜色ありません。今後成長して、いい意味でルーラーシップ産駒らしさが出てくれば、NHKマイルCで始動したあと、GI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)に向かってもあっさり、という場面が想像できます」

ドルチェモアと同ポイントで1位となったもう1頭は、ソールオリエンス(牡3歳/父キタサンブラック)。年明けのGIII京成杯(1月15日/中山・芝2000m)を無傷の2連勝で制して急浮上した。
吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「460kg台のキタサンブラック産駒ですが、前後&上下のバランスがよく、見栄えのする馬体です。つなぎは通常から少し短めで寝気味でも、抜群のクッションがあり、スピード持続力に秀でたタイプと言えます。
前向きさがありながらも、実戦ではなだめれば我慢が利くタイプ。スローペースで上がりの速い決着となった京成杯は、4角で逆手前になって外に吹っ飛びながらも、立て直すと一気の加速であっさりと抜け出す芸当を見せました。走破時計と上がり時計からすると、レースレベルは決して高いとは言えませんが、そこで見せたパフォーマンスと今後の伸びしろを加味すれば、世代トップクラスと判断していいでしょう」
木南友輔氏(日刊スポーツ)
「昨夏のGIII札幌2歳S(札幌・芝1800m)が牝馬のワンツーで決まって、現3歳世代の牡馬は層が薄い印象がありましたが、実際に(評判馬が集った)ホープフルSは大波乱の決着に終わって、クラシックの主役はいまだ見えない状況です。
そんななか、そのホープフルSで3着だったキングズレイン(牡3歳/父ルーラーシップ)を管理する手塚貴久厩舎の陣営が、同馬を比較対象にして『こちらのほうが完成度は上』と話していたのが、ソールオリエンス。京成杯の走りは、その評価どおりのものだったと思います」
3位にランクインしたのは、フリームファクシ(牡3歳/父ルーラーシップ)。半姉に秋華賞馬のディアドラがいる血統馬だ。デビュー戦こそ2着に敗れたものの、その後は未勝利、1勝クラスと2連勝を飾っている。
吉田氏
「過剰なファイティングポーズをとってしまう面がありますが、レースを使うごとに少しずつ我慢を覚えてきた点は評価できます。ルーラーシップ産駒ながらキ甲が抜け気味で、胴長+脚長のバランスのいいシルエット。心身両面が整ってくれば、パフォーマンスはもっと上がってきそうです。
それでも、この時期のルーラーシップ産駒にしては、完成度は早いほう。つなぎは長めでストライドが伸びる走法で、加速してから長くいい脚を使える点は、心肺機能の高さを物語っています。過去3戦すべてで川田将雅騎手が手綱をとって、この馬の悪癖をしっかりと直しつつ、いいところを伸ばしている点も強調材料。クラシックへの期待は高まるばかりです」
5位には、同ポイントで3頭の馬が入った。ホープフルSの勝ち馬ドゥラエレーデ、同レースで3着となったキングズレイン、そして朝日杯FSで2着と奮闘したダノンタッチダウン(牡3歳/父ロードカナロア)である。
伊吹氏
「ドゥラエレーデは、1月22日終了時点の本賞金が8370万円で、JRA所属の3歳牡馬のなかで単独2位。2021年のセレクトセールにおける購買価格は1億1000万円(税込)でした。
母のマルケッサは現役生活こそ5戦0勝に終わったものの、半兄にサトノダイヤモンドがいる良血馬。なお、母の母マルペンサは現役時代にアルゼンチンのGIを3勝している活躍馬です。もともと血統のポテンシャルは高いわけですし、先行脚質が嫌われるなどの理由で今後も実績を過小評価される場面があったら、積極的に狙っていきたいと思います」
木南氏
「キングズレインは、手塚厩舎のスタッフからもGI3勝のフィエールマンとか、現役トップマイラーのシュネルマイスターとか、そういうレベルと並ぶ馬だと聞いています。厩舎の評価としては『古馬になってから』との見立てのようですが、前走のホープフルSの内容ならクラシックにも十分間に合うかも、と見ています」
本誌競馬班
「ダノンタッチダウンは、朝日杯FSで僅差の2着。ドルチェモアを追い詰めた末脚には大きな魅力を感じます。ただ、距離が延びてどうか? という不安もあって、クラシックよりもNHKマイルC向きのようにも見えます。今後のローテーションに注目したいと思います」
今回番付入りした6頭のうち、実に5頭が初のランクインインを果たした。まさしく激しい戦国の様相となっている3歳牡馬戦線。これから続いていくステップレースの結果次第では、ランキングのさらなる大変動がありそうだ。