報徳学園・大角健二監督が語る中学生を見る一つの基準 高校野球の監督は中学生をスカウトする時に一体、どこを見ているのか。第…
報徳学園・大角健二監督が語る中学生を見る一つの基準
高校野球の監督は中学生を“スカウト”する時に一体、どこを見ているのか。第95回記念選抜高校野球大会に出場する報徳学園(兵庫)の大角健二監督は「周辺視をしっかり活用できる選手、場面場面で一喜一憂しない冷静さを持った選手」と、ポイントを口にする。
今年の選抜を含め甲子園では春夏通算37回の出場を誇る報徳学園。これまで数々の名勝負を繰り広げ、春2回、夏1回の優勝を果たしている。激戦区の兵庫を勝ち抜くための指導はもちろんだが、有望な中学生をスカウトすることも仕事の一つだ。
大角監督は2003年から母校のコーチ、部長としてチームを支え、2017年から監督を務めている。中学生を見る一つの基準としてはプレーヤーとして「総合的なバランス」か「何かに秀でたもの」。その中でも各地に足を運び、試合など実戦を見る際に注視しているものがある。
「これはセンス的なことかもしれませんが、周辺視をしっかり活用できているか。打席に入って目が動く、守備でも打球だけでなく走者などにも目がいく。これはなかなか、教えてもできない。中学生レベルでこれができる選手は感性を感じます」
打者なら投球、守備なら打球を見るだけでなく、グラウンドや空間などを無意識のうちに感知し次に起きることを予測する。全体的な視野の広さを持っている選手は、入学後の伸びしろも大きいという。
伸びる選手は「素直さ、勉強熱心な一面を持っている」
昔に比べ野球のレベルも上がり、今では高校生でも140キロを投げるのは当たり前の時代。スピードを上げる、打球を飛ばすことなど、数値化されている部分も多く、インターネットなどで様々な情報を得られるようになった。
「高校に入って伸びる選手は素直さ、勉強熱心な一面を持っている。野球は楽しまないといけないと言われていますが、上手くなってなんぼ。都合の言い分だけ取り入れている子も多い。まずは色んなことにチャレンジして、良い悪いを実感してみる。失敗から得られることもある。野球だけでなく人間性の部分でも素直さは持っていた方がいいと思います」
練習の“意味”を求めることはもちろん必要だが、行動を起こす前からの安直な取捨選択は早すぎると感じている。大角監督は「一番は『この子と一緒に野球をやりたい』と直感的に思わせてくれること。いいものを持っている選手はたくさんいる。そこを引き出すのはこちらの仕事です」と力説。子どもたちの成長を願い、情熱を注ぎ指導を続けている。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)