西武で2軍監督も務めた横田久則氏が新球団の投手コーチに 新年快樂(あけましておめでとうございます)! 今年も台湾プロ野球…
西武で2軍監督も務めた横田久則氏が新球団の投手コーチに
新年快樂(あけましておめでとうございます)! 今年も台湾プロ野球の最新情報を、現地からお届けします。今回は、昨年台湾プロ野球に加盟し、今季から2軍公式戦に参入する第6の球団、台鋼(TSG)ホークスに日本人コーチが就任したという話題をお送りする。
台湾は、正月など伝統的な行事は旧暦でお祝いする。台鋼ホークスは1月1日、元西武の横田久則氏が投手コーチに就任すると発表した。
台鋼の劉東洋GMは、台湾プロ野球を運営するCPBL(中華職業棒球大聯盟)の出身。NPBの事情に明るく、日本球界に広い人脈をもつ台湾球界きっての「日本通」だ。昨年8月末には、元中日の井端弘和氏を客員守備コーチに招いた。井端氏は秋季キャンプで約1週間にわたって内野手を指導し、春季キャンプでも再度台湾入りする予定となっている。
また9月末には、30年以上のキャリアをもつ野球日本代表のヘッドトレーナー・河野徳良氏の国際顧問就任を発表し、秋季キャンプインから立ち会った。さらに日本人の城所竜一トレーナーが秋季キャンプに続き、春季キャンプでも選手のコンディション維持、フィジカル強化を統括することになった。
そして、劉GMがかねてから日本人指導者を招聘したいとしていた投手コーチに、西武でファームディレクターを務めていた横田久則氏が就任する。
怪我に苦しみながら何度も復活を遂げ、190センチ近い長身から投げ下ろす直球とフォークのコンビネーションで、西武、ロッテ、阪神の3球団で実働11年間プレー。通算26勝を挙げた横田氏は、台湾プロ野球との縁も深い。
台湾で最多勝も獲得した横田氏…西武では台湾選手のケアも
2002年、阪神から戦力外通告を受けると、兄弟エレファンツ(現・中信兄弟)に入団。すでに35歳でフィジカルは万全ではなかったものの、制球力とフォークで三振の山を築いた。初年度の2003年、キャリア最多となる164回2/3を投げ、16勝でリーグ最多勝。現在もチームのシーズン記録として残る13連勝も記録した。翌2004年も140回1/3を投げ9勝を挙げたが、同年限りで現役引退。球団から要請を受け、翌年から2年間投手コーチを務めた。スタイルの良さ、温厚な人柄で、台湾のファンの人気も高かった。
BCリーグ(当時)富山の指導者を経て、2012年から古巣の西武に復帰。1軍投手コーチに就任した2015年には、台湾から郭俊麟(現・富邦ガーディアンズ)が、2軍監督に就任した2016年には「C.C.リー」こと李振昌(現・中信兄弟)が入団した。2人にとっては、台湾の事情を熟知し、中国語でやりとりできる横田氏の存在は大きかったようで、「本当にお世話になった」と口を揃えている。李振昌に至っては、2018年、台湾プロ野球のドラフト会議で中信兄弟から1位指名を受け入団すると、感謝の思いを伝えたいと、横田氏が兄弟時代につけた背番号「34」をわざわざ選んだほどだ。
劉GMは、チームづくりの要といえる投手コーチに横田氏を招聘した理由として、「西武において2軍監督、1軍投手コーチのほか、ファーム・育成グループでディレクターを務め、選手育成において豊かな経験をもっている」と説明。10代後半から20代前半の選手が大部分と、若い台鋼投手陣の育成に最適の人材だと強調した。劉GMはさらに「台湾で選手として活躍し、指導者も務めた点は得難い。どうやって台湾の選手たちとコミュニケーションをとり、指導するか知っている」と述べた。
交渉の過程では、選手、指導者として長年在籍した西武に対する横田氏の思い入れの強さを感じたというが、同時に横田氏には、選手、指導者として重要なキャリアを積んだ台湾への恩情もあったようだ。悩み抜いた末、最終的にオファーが実ると、劉GMはすぐさま渡辺久信GMに電話を入れたという。
元巨人・ルイス氏らコーチ続々決定の新球団…初代監督は16日に発表
横田氏は昨年末にすでに台湾入り。投手コーチとしての「任務」もスタートしている。昨年12月上旬に行われたエクスパンション・ドラフトで獲得選手を選ぶにあたっては、横田氏にも候補選手の映像が送られた。2021年に5勝を挙げるも、フォームを乱して苦しんでいる元楽天モンキーズのサブマリン、張喜凱投手の獲得は、能力を高く評価した横田氏のアドバイスをもとに決定したという。
なお、横田氏の台鋼コーチ就任により、今季は全6球団にフルタイムの日本人コーチが誕生した。昨季の台湾シリーズを制した中信には1軍打撃兼野手統括コーチとして平野恵一氏(元オリックス)が、前期優勝の楽天には、留任した古久保健二1軍ヘッドコーチ(元近鉄)、川岸強2軍首席投手コーチに加え、オリックスや日本の楽天で長く指導してきた真喜志康永氏が新たに1軍総合守備走塁コーチに就任した。さらに味全では留任の高須洋介コーチが2軍打撃コーチに配置転換、統一では、玉木朋孝氏(元広島)が1軍守備コーチに新たに就任した。富邦でも垣内哲也氏が1軍打撃コーチに、秋季キャンプで客員コーチを務めた酒井光次郎氏が2軍投手コーチに就任した。アラフォー世代以上の皆さんは、コーチ陣の顔ぶれを見ただけでも、興味をひかれるのではないだろうか。
そして新球団の台鋼には、監督選びという大仕事がまだ残っている。1月16日に発表される予定だ。注目の人選だが、台湾プロ野球で通算最多の992勝を残した洪一中監督の就任を予想する声が多い。楽天の前身にあたるラニュー、ラミゴを7度のシリーズ王者と常勝軍団に変えた「名将」だ。昨年末、顧問をつとめていた富邦との契約が満了したことで、可能性はより増したと見られている。ちなみに洪氏は、チームの本拠地となる高雄の出身、そして兄弟エレファンツのチーム設立時のメンバーで、すで活動しているルイス打撃コーチ(元巨人)とも共にプレーした。
この見方に対し劉GMは、経験豊富な洪氏は当然、候補の1人だとした上で、全くの新チームである台鋼に対する洪氏の考えをヒアリングしたあとに評価、検討をしたいと述べている。さらに、外国人を含め他にも候補はいるともしている。果たして初代監督は一体誰になるのか、続報に注目だ。(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)