全日本バレーボール高等学校選手権大会第1日(4日、東京体育館)ジャパネット杯「春の高校バレー」第75回全日本バレーボール高等学校選手権大会が開幕し、男女の1回戦計37試合が無観客で行われた。女子は共栄学園(東京)が盛岡誠桜(岩手)にストレー…

全日本バレーボール高等学校選手権大会第1日(4日、東京体育館)ジャパネット杯「春の高校バレー」第75回全日本バレーボール高等学校選手権大会が開幕し、男女の1回戦計37試合が無観客で行われた。女子は共栄学園(東京)が盛岡誠桜(岩手)にストレート勝ちし、2回戦に進んだ。2012年ロンドン五輪銅メダルの大友(旧姓)愛さん(40)の長女、秋本美空(みく、1年)がスパイクのみで12得点。将来の日本代表入りが期待される逸材が、堂々の春高デビューを飾った。

母譲りの長い手足をしなやかに使ったスパイクが、次々とコートに突き刺さった。とどめの一撃も〝金の卵〟だ。元バレーボール日本代表の大友愛さんを母に持つ共栄学園の1年生・秋本が、春高デビュー戦で抜群の存在感を発揮。第2セット、力強いスパイクで勝負を決めると爽やかな笑顔で仲間と肩を組んだ。

「春高は強いチームが集まっているので、点が取れるとうれしい。楽しかったです」

盛岡誠桜との1回戦で初めてオレンジコートに立った。「普段の大会で緊張することはないんですけど、(東京)体育館に来たら緊張しました」。独特の雰囲気に圧倒されたが、試合が始まれば関係なかった。母・愛さんの代名詞だったブロード(移動攻撃)やバックアタックなど多彩な攻撃を披露し、スパイクだけで12得点。最高到達点300センチの高さを生かしたブロックや体を張ったレシーブでもチームに勢いをもたらし、4年連続の初戦突破に貢献した。

母・愛さんの「やってみな」の一言がきっかけで、小2でバレーボールを始めたサラブレッド。身長は母まで1センチに迫る183センチで、高さが武器だ。日本代表のミドルブロッカーだった母と一緒に練習をしたり、バレーの話をすることはあまりないというが、大舞台に向け、自宅で〝金言〟を授かっていた。

「ブロックが自分(美空)よりも低いから、コーナーを狙うと決まるよ」

相手より高さで上回るため、スパイクを打つ際に視界が開け、コースを狙いやすくなる。ライトから相手の逆をつきストレートへ、ライン際へのスパイクを決める場面もあり、助言を力にした。

茨城・つくば市の自宅から東京・葛飾区の共栄学園までの通学時間は2時間弱。朝5時半に家を出るまな娘のために愛さんは毎朝、弁当を作って持たせてくれるという。「自分より早く起きて作ってくれる。お母さんが作った料理は全部好きです」と感謝。母の愛情がパワーになっている。

5日の2回戦で開智(和歌山)と対戦する。12年ロンドン五輪銅メダルで、宮城・仙台育英高出身の母は春高とは縁がなかった。元日本代表エースの木村沙織さんに憧れるスーパー1年生は「お母さんが出ていない大会で、お母さんの(ロンドン五輪の)メダルよりもいい色のメダルを取りたい」。世界への登竜門とされる春高でヒロインとなる。(武田千怜)

★インスタで母祝福 秋本の母・愛さんがインスタグラムでまな娘の春高デビューと初戦突破を祝福した。私服の2ショット写真とともに「1年生らしく のびのび 思いっきり楽しんでほしい(原文ママ)」とつづり、エールを送った。

■秋本 美空(あきもと・みく) 2006(平成18)年8月18日生まれ、16歳。神奈川県出身。共栄学園高1年。母は12年ロンドン五輪銅メダリストの愛(旧姓・大友)さん。義父は柔道男子日本代表コーチの秋本啓之さん。小2で競技を始めた。共栄学園中3年時には全国中学大会で優秀選手に輝き、JOC杯全国都道府県対抗中学大会でオリンピック有望選手に選出された。21年6月のアジアユース選手権優勝メンバー。ポジションはオポジット/セッター。183センチ、最高到達点は300センチ。

■共栄学園(きょうえいがくえん) 1938(昭和13)年に本田裁縫女子学校として創立した私立共学校。48年から現校名。中高一貫教育を行う。建学の礎を「至誠一貫」とし、教育理念に「文武両道」を掲げる。主な卒業生は、バレーボールの元日本代表でタレントの益子直美、ビーチバレーで活躍した草野歩。所在地は東京都葛飾区お花茶屋2-6-1。御宿重夫校長。