先発4人はダルビッシュ有、大谷翔平、今永昇太、佐々木朗希 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)第5回大会が…
先発4人はダルビッシュ有、大谷翔平、今永昇太、佐々木朗希
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)第5回大会が迫っている。侍ジャパンの最終メンバーは未発表だが、どのようなピッチングスタッフを構築することが、3大会ぶりの優勝の近道になるのだろうか。現役時代にロッテなどで主に抑えとして活躍し、日米通算234セーブを挙げた小林雅英氏が分析した。小林氏は2004年アテネ五輪に日本代表のクローザーとして出場し、銅メダル獲得に貢献した経験もある。現在は社会人野球・エイジェック硬式野球部の投手総合コーチを務めている。
まず先発要員。侍ジャパンは東京ドームで行われる1次ラウンドが、3月9日の中国戦を皮切りに、韓国戦、チェコ共和国戦、オーストラリア戦と4日連続となることから、最低4人は必要だ。小林氏はパドレス・ダルビッシュ有、エンゼルス・大谷翔平、DeNA・今永昇太、ロッテ・佐々木朗希の名前を挙げる。MLBのメッツと5年契約を結んだ千賀滉大については、2、3月のキャンプ・オープン戦がメジャーの環境に慣れるために重要な時期となることから、基本的に除外して考えたが、先発に加えたい投手ではあると言う。
大谷についても、シーズン前の時期に負担をかけ過ぎないために、投打どちらか一方に専念させるべきという考え。大谷が打者に専念する場合は、代わりにオリックス・山本由伸を先発要員に加える。
21歳の“令和の怪物”佐々木朗は、小林氏にとってロッテの後輩にあたるが、「これまで日の丸を背負ってきた投手たちと比べれば、まだまだ足りないものがたくさんある。そもそもロッテでも、優れたパフォーマンスを見せているとは言え、大黒柱と呼べる存在にはなっていません」と指摘。「国際大会の異様なプレッシャーの中での投球は、結果に関わらず今後につながる。ダルビッシュ、大谷、山本ら、一流の右投手の考え方、投げっぷり、表情、ギアの上げ方、練習への取り組み方まで、全てを吸収してほしい」と語る。その上で「他にいい投手がいるので、1次ラウンドで朗希を強敵の韓国、オーストラリアにぶつける必要はないかなと思う」とシミュレーションする。
一方、小林氏が「先発が早い回で崩れた場合にロングリリーフをこなすことができて、相手によって先発もできる。使い勝手が良さそう」と評するのが、オリックスで先発を務め、2022年も11勝を挙げている宮城大弥。「変化球のコントロールがいい。パワーピッチャーが多い中で目先を変えられる存在」というのがその理由で、“ジョーカー”的な存在になり得る。大谷が投手として先発要員に加わった場合は、山本も幅広い起用法に応えられそうだ。
湯浅、水上、宇田川ら球威あるフレッシュな中継ぎ陣
中継ぎには、阪神・湯浅京己、西武・水上由伸、オリックス・宇田川優希に、普段抑えを務めている広島・栗林良吏、巨人・大勢を加え、球威のある若手をそろえた。特に宇田川は2022年7月、育成選手から支配下に昇格したばかり。日本シリーズで最速159キロの速球、落差のあるフォークを武器に衝撃的な快投を演じ注目された。侍ジャパン入りで“シンデレラ・ストーリー”の輝きが増すことになるか。小林氏は「過去の国際大会を見ると、変則投手はあまり活躍していない。珍しい投球フォームだからという理由だけでチョイスする必要は、もうないと思う。キレ、スピード、空振りを取れる球種があれば、短いイニングは抑えられると思います」と語る。
小林氏の“本職”で、当然強いこだわりを持っているのが抑えのポジションである。基本的には「山崎(康晃)と松井(裕樹)の2人という考え方でいいと思います。なるべく連投を避ける意味を含め、状況や本人の調子などに応じて2人を使い分ければいいのではないか」と言う。
WBCでの抑えと言えば、2009年の第2回大会で、当初先発要員だったダルビッシュが準決勝、決勝で抑えに配置転換され、優勝の決め手になったことが印象的だが、小林氏は首を横に振る。「普段から抑えを専門的に務めている投手に、ぜひとも担ってほしい」と断言。「そもそも第2回大会はダルビッシュだからこそ成功したのであって、普段先発をしている投手がそう簡単に抑え切れるものではありません」とも。実際、2015年のWBSCプレミア12では準決勝・韓国戦で、3点リードの8回から楽天のエースの則本昂大を投入し逃げ切りを図るも、2イニング目の9回に崩れた。ピンチを背負ってから“専門職”の松井裕、増井浩俊をマウンドに上げたが、逆転負けを喫している。
今回のWBCでも、レベルの高い激闘が予想されるだけに、継投の成否が勝敗を分けるケースが十二分にある。栗山英樹監督ら首脳陣は重圧の中で、人材の配置、その場での状況判断を問われることになる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)