「すべての人にダンスのある人生を」をスローガンに3年目(サードシーズン)を迎えたDリーグ、サードシーズンのラウンド5が12月28日、今回も東京・有明ガーデンシアターで開催された。1シーズン全12ラウンドの中盤ながら、2022年最後の戦いでも…

「すべての人にダンスのある人生を」をスローガンに3年目(サードシーズン)を迎えたDリーグ、サードシーズンのラウンド5が12月28日、今回も東京・有明ガーデンシアターで開催された。

1シーズン全12ラウンドの中盤ながら、2022年最後の戦いでもあるこのラウンド。コロナ禍にあっても、日本発、世界初のダンスリーグとして、しっかりと根付いてきたと感じさせるダンスファンに支えられ、より充実した全6マッチが届けられた。早速この華麗なる戦いを振り返りたい。

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■INFINITIES vs. DREAMSは甲乙つけがたい戦いに

【1st MATCH】USEN-NEXT I‘moon vs. KOSE 8ROCKS

歯切れのよいブレイキンを披露したKOSE 8ROCKS(C)D.LEAGUE 22-23

ラウンド5の初戦はDリーグ唯一のガールズチーム・アイムーン対Dリーグきってのブレイキンチーム・エイトロックスの対戦からスタート。

ガールズチームとして、よりダンスに力強さが加わったと感じさせるアイムーンは今回、ガールズならではの華やかさを押し出し、衣装の早変わりで目を楽しませるナンバーが展開されたが、対するエイトロックスの、見てるだけで思わず身を乗り出してしまうような歯切れのよいブレイキンに及ばず、5:1でエイトロックスが勝利した。

【2nd MATCH】CyberAgent Legit vs. SEGA SAMMY LUX

続くセカンドマッチは、サイバーエージェント・レジット対セガサミー・ルクス。どちらもアート性に富んだナンバーで、観客を魅入らせたが、背中に大きな目玉をつけて、物語性豊かに構成したレジットに対し、全身をシルバーに輝く衣装で包み込み、ダンサーの見分けが出来ないルクスが繰り広げた迫力あるナンバーが圧倒し、こちらも5:1でレジットに軍配が挙がった。

【3rd MATCH】Valuence INFINITIES vs. KADOKAWA DREAMS

踊りの面白味を打ち出したKADOKAWA DREAMS(C)D.LEAGUE 22-23

サードマッチは、バリュエンス・インフィニティーズ対カドカワ・ドリームズ。毎回独特の迫力を感じさせるインフィニティのブレイキンは今回も巧みだったが、無彩色の衣装にイエローの手袋と台座を効果的に使い、踊りの面白味を打ち出したドリームズが1:5で勝利。そして、このナンバーの中心的役割を担ったHINATAにはMBDが贈られた。筆者としては甲乙つけがたい戦いに見えたが、より記憶に残るイメージを残すという意味で秀でたドリームズに勝利の女神が微笑んだのだろう。

■2ラウンド連続勝利をつかんだ“白装束”のROYALBRATS

【4th MATCH】SEPTENI RAPTURES vs. LIFULL ALT-RHYTHM

LIFULL ALT-RHYTHM(C)D.LEAGUE 22-23

フォースマッチはセプテーニ・ラプチャーズ対ライフル・アルトリズム。毎回楽しさで会場を包み込むラプチャーズは、今回も小物にDJのレコードテーブルを使い、DJプレイのアクトに合わせた踊りを展開し歓声をさらったが、テーブルを舞台上の舞台に見立て、心の葛藤を現すように始まったアルトリズムの印象的なナンバーが勝り、2:4でアルトリズムが勝利をつかんだ。

【5th MATCH】FULLCAST RAISERZ vs. dip BATTLES

FULLCAST RAISERZ(C)D.LEAGUE 22-23

フィフスマッチはフルキャスト・レイザーズ対ディップ・バトルズ。レイザーズの男気を象徴するような機械音とガラスの割れる音と共に始まった男たちの葛藤を表現した強いナンバーに対し、全員が音そのものを表現したようなバトルスのダンスは鮮烈なイメージを残したが、5:1でレイザーズが勝利した。

【6th MATCH】Benefit one MONOLIZ vs. avex ROYALBRATS

そして、ラウンド5のトリとなるシックスマッチはベネフィット・ワン・モノリス対エイベックス・ロイヤルブラッツ。音楽と衣装で民族的な踊りを展開したモノリスに対し、顔を含め、全身を「ストレス」と書かれた“白装束”で覆いながら、記号とも機械とも言えるような不可思議な動きと視覚のマジックのようなフォーメーションで会場中の人々の心をギュッとつかんだエイベックスは審査員の心をも鷲掴みにし、6対0で2ラウンド連続のSweep勝利を飾った。ロイヤルブラッツはこの勝利によって単独首位に上り詰め、今年最後のラウンドでその存在感をさらに際立たせた。

Dリーグのサードシーズンも1月11日に行われるラウンド6で折り返しとなる。

2週間毎に繰り広げられるこの華麗にして熱く厳しき戦いはますますヒートアップし、各チームのナンバーもさらに練られた見ごたえのあるものとなってきた。

新年を迎え、これから繰り広げられる2023年の戦いは残すところ7ラウンド。各チームが今後またどんなナンバーを届けてくれるのか。予断を許さない見ごたえある戦いは続いてゆく。コロナ禍にあってもますますの盛り上がりを見せるサードシーズンの充実を強く感じながら、今後続いてゆくラウンドを深く、強く、心待ちにしたい。

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著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター

『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。