Sportiva注目若手アスリート「2023年の顏」第1回:松木玖生(サッカー) 2023年にさらなる飛躍が期待される若…

Sportiva注目若手アスリート「2023年の顏」
第1回:松木玖生(サッカー)

 2023年にさらなる飛躍が期待される若手アスリートたち。どんなプレーで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。

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松木玖生(19歳/FC東京)北海道室蘭市出身

 2022年11月、U-19日本代表スペイン遠征──。2003年から2005年生まれが集められ、その年齢差はたったの2歳ではあるが、所属先はクラブユースから、大学生、海外組、Jリーグとバラエティに富んでいた。

 幼さと言いたくなるような若さと、あどけなさあふれる集団のなかで、ひとり異彩を放っていたのが松木玖生だった。仲間との談笑には積極的に参加する一方で、練習でも試合でも強く仲間を鼓舞し、自らのミスには苛立ちも隠さず、代表合宿が勝負の場であることをひしひしと感じさせた。

 それもそのはずで、2022年はルーキーイヤーながらFC東京では主力として活躍し、自他共に成長を実感した1年だった。

 数字を見れば、Jリーグでは31試合出場2得点3アシスト。得点、アシストの数を物足りないととることもできるが、なにせ高校を卒業したばかりの19歳。彼に頼りきるのではなく、ベテラン陣も意地を見せなくてはならなかったはずだ。

 一方で、ルヴァンカップと天皇杯では合計8試合でベンチ外。クラブとしてはバランスを考えながら起用してきた1年間だった。シーズンを振り返って松木は言う。

「やっぱり、もう少し数字がほしかった」

 はたから見れば十分だが、本人的には悔しさを残したシーズンを経ての世代別代表への参加だから、何かが違って見えたのは当然だったのかもしれない。

「(同世代の)まわりの選手に何か思うことはないですよ。自分がスタメンで試合にでられないとか(このスペイン遠征でのスロバキア戦は途中出場への)イライラというかムカつきはありましたけど。でも、チームとしての考え方があるわけだから、そのなかで出場時間が限られてくることはある。だからまず、結果を残そうということは思いました」

 悔しさは嚙み殺しつつ、置かれた状況のなかで結果を出す。そう切り替えた松木は、このスロバキア戦でチームの2点目となる得点を挙げている。

【U-20W杯もパリ五輪も出たい】

 その一方で、冷静さを欠いて試合中の得点経過を勘違いし、プレーの選択を誤る場面もあった。また、ボランチでのプレーを得意とする松木だが、この日は左サイドでの起用だったこともあり、周囲への声がけや連係で課題を残した。

 チームとしては3−0とリードしたが、終盤にPKを含む2失点を喫し、3−2で試合を終えている。

「サッカーは多くの得点を取るスポーツなので、そこは求めていくところだとは思うけれど、引いて守る練習もしたので、それをもう少し試合で出せたらと。外からの声を大事にしつつ、監督も言っていたけれど、結局やるのは自分たちなので。最後は日本の詰めの甘さが出たのかなと思います」

 得点と勝利といううれしさよりも、強い反省の言葉を残した。

 松木は昨年9月、ひとつ上のカテゴリであるU-21代表に選ばれ、U-23アジアカップにも参加した。だが、自身が一番上の年代として臨むことができるのは、こちらの2003年以降生まれを対象としたU-19代表ではある。

 昨年11月、U-21代表はこのU-19と同時期にスペインで合宿も行なっていた。モチベーションの難しさはないだろうか。

「もちろん上のチームにも行きたいですけど、この代表の年代では来年U-20ワールドカップがあるので、そこに絶対選ばれて自分の名前を海外に広げたいという思いがある。それをモチベーションにやっています。もちろん(2024年のパリ)オリンピックがあるので、できれば両方行きたい」

 代表で海外遠征に出ると当然、日常とは違う刺激を受ける。自然と将来についても考えるようになる。

「毎回こういう合宿にくると、得られる刺激があるんです。日本では味わえないようなサッカーの仕方をしてくる。(この日戦った)スロバキアもそうですけど、この先戦うスペインやフランスもいいサッカーをするから、意識が変わっていくし、ワールドカップを戦っていくいい弾みになるんじゃないかなと思います。海外でプレーしたいと思うようにもなります」

 ストレートな願望を、自覚している。手応えも、成長も、悔しさも、そして目標も多くを感じられた2022年を経て──。2023年、松木玖生はどう羽ばたいていくのだろうか。