サッカー界は、日本代表がW杯でドイツ、スペインの強豪を破ってグループリーグを突破し日本中が熱狂したが、野球界も次々と歴…

 サッカー界は、日本代表がW杯でドイツ、スペインの強豪を破ってグループリーグを突破し日本中が熱狂したが、野球界も次々と歴史的快挙が達成されるなど、大いに盛り上がった。そこで2022年に野球界で起こった出来事を、スポルティーバが独断と偏見で選出した「10大ニュース」として振り返りたい。



4月10日のオリックス戦で史上16人目の完全試合を達成したロッテ・佐々木朗希

【佐々木朗希が完全試合達成】

 プロ野球界に、今年一番と言っていい衝撃を与えたのは、佐々木朗希(ロッテ)の完全試合達成だろう。4月10日のオリックス戦に先発し、球数105球、連続奪三振の日本記録を更新する13連続を含む、日本プロ野球における1試合奪三振数最多タイの19奪三振で、大記録を達成した。

 日本プロ野球での完全試合は"ミスター・パーフェクト"こと槙原寛己(巨人)が、1994年に記録して以来の史上16人目。球団としては、八木沢荘六(ロッテなど)以来49年ぶり2人目の達成だった。令和初はもちろんのこと、21世紀初の完全試合となった。

 だが、伝説はこの試合に止まらなかった。中6日で先発した次戦の4月17日の日本ハム戦でも、佐々木
は8回までパーフェクトピッチングを披露。史上初の2試合連続完全試合が現実味を帯びるも、疲労が色濃かったこと、相手先発の上沢直之も無失点投球を続けていた試合展開を鑑み、ロッテ首脳陣は8回終了時点での降板を決断した。

 前人未踏の大記録は幻となったが、17イニング連続無安打、シーズン初登板からの25イニング連続奪三振という、2つのプロ野球新記録を樹立した。

 最終的には20試合に先発し、9勝4敗、防御率2.02の成績でプロ3年目のシーズンを終えた佐々木。来年3月に開催されるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)での活躍にも期待だ。



史上最年少で三冠王を達成したヤクルト・村上宗隆

【"村神様"が史上最年少で三冠王】

 惜しくも2年連続の日本一は逃したヤクルトだったが、若き大砲・村上宗隆は歴史に名を残すシーズンを過ごした。

 プロ5年目の今年は開幕から好調をキープし、6月に打率.410、14本塁打、35打点で月間MVPを受賞。打率.312、リーグトップの33本塁打、89打点で前半を折り返すと、後半戦も7月31日の阪神戦から8月2日の中日戦に渡って、日本プロ野球史上初となる5打席連続本塁打を放つなど、勢いそのままに打ち続けた。

 8月11日の広島戦でシーズン40号本塁打に到達し、9月2日の中日戦で、こちらも史上最年少での達成となるシーズン50号を記録した。日本人選手の50号本塁打到達は2002年の松井秀喜(当時・巨人)以来、史上6人目だった。

 9月13日の巨人戦では、54、55号を連発。王貞治(巨人)が樹立した日本人登録選手のプロ野球シーズン最多タイ記録に並んだ。

 55号到達後は他球団の厳しいマークと不調が重なり苦しんだが、10月3日、シーズン公式戦最終戦となったDeNA戦の最終打席で、ライトスタンドに本塁打を叩き込み、日本人登録選手のシーズン最多新記録となる56号本塁打を達成。

 またグラウンド外でも、11月4日に発表された『2022ユーキャン新語・流行語大賞』に、今年を代表する現象、言葉として、メディア上で村上の活躍を紹介する際に用いられていた"村神様"がノミネート。12月1日の授賞式では年間大賞に選出される一幕もあった。



ベーブ・ルース以来、104年ぶりに2ケタ勝利&2ケタ本塁打を達成した大谷翔平(photo by Taguchi Yukihito)

【大谷翔平が104年ぶりの快挙】

 大谷翔平(エンゼルス)が8月9日のアスレチックス戦に「2番・投手」で先発出場し、6回無失点の好投で10勝目を挙げ、1918年に"野球の神様"と呼ばれたベーブ・ルースが達成して以来、104年ぶりとなる「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」を成し遂げた。

 また10月5日の試合で、「規定投球回(162回)&規定打席(502打席)」に同時到達。メジャーで同じ年に両方をクリアした選手は、現在の2リーグ制が確立した1901年以降では初めて。"二刀流"プレーヤーとして、また新たな歴史を刻んだ。

 メジャー5年目となった2022年の大谷は、投手として15勝、防御率2.33、奪三振219、打者として打率.273、34本塁打、95打点をマーク。

 最優秀選手(MVP)への選出が期待されたが、ア・リーグ最多記録となるシーズン62本塁打を放ったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が選ばれ、大谷の2年連続MVP受賞はならなかった。

 また大谷は2023年3月に開催される第5回WBCへの参戦を表明し、"侍ジャパン"の一員として戦うことになった。はたして、どんな活躍を見せてくれるのか。今から楽しみでならない。



ヤクルトを下し、26年ぶりに日本一を達成したオリックス

【オリックス、26年ぶり日本一】

 昨年に続き、マジック点灯なしでパ・リーグ連覇を果たしたオリックスは、CS(クライマックス・シリーズ)にも勝利。昨年と同カードとなった日本シリーズでも4勝2敗1分でヤクルトを下し、26年ぶりの日本一に輝いた。

 6戦中5試合が1点差ゲームという接戦の応酬で"神回"と呼ばれた前年に続き、今年の日本シリーズも熱かった。

 ヤクルトの先勝で迎えた第2戦は、オリックスの3点リードで9回に突入したが、この回から登板の阿部翔太が、ヤクルトの内山壮真に同点3ランを浴びる。延長3イニングは両チーム無得点に終わり、両軍8投手ずつマウンドに送り込んだ熱戦は引き分けとなった。

 ヤクルト2勝、オリックス1勝で迎えた第5戦では、1点を追うオリックスが9回にヤクルト守護神のスコット・マクガフの悪送球で同点とし、二死後、吉田正尚の2ラン本塁打でサヨナラ勝ちした。

 これで戦績は2勝2敗1分けで並び、2013年の楽天−巨人以来となる第7戦開催が確定。さらに第2戦の引き分けがあったため、1986年の西武−広島で一度だけ行なわれた「日本シリーズ第8戦」実現の可能性も生まれた。

 最終的には6、7戦をオリックスが連勝し、4勝2敗1分けで昨年の雪辱を果たし、第8戦は幻に終わったが、ヤクルトが5点を追う第7戦の8回に、村上宗隆のタイムリー、オスナの3ラン本塁打で1点差に詰め寄るなど、今年も激戦続きでファンを楽しませた。



自身初のノーヒット・ノーランを達成したオリックスの山本由伸

【5人のノーヒット・ノーラン】

 セ・パともに防御率2点台が続出し、パ・リーグでは1点台が2人も出るなど、"投高打低"の著しいシーズンとなった。それを象徴するような出来事が、ノーヒット・ノーラン達成者が5人も出たことだ(ひとりは完全試合)。

 先述したように、4月10日のオリックス戦でロッテの佐々木朗希が完全試合を達成。そのわずか1カ月後の5月11日には、ソフトバンクの東浜巨が西武を相手にノーヒット・ノーラン。

 また6月には7日の日本ハム戦でDeNAの今永昇太が、18日にはオリックス・山本由伸が西武戦でともに1四球のみの準完全試合で達成した。さらに8月27日のソフトバンク戦では、日本ハムのコディ・ポンセが達成。

 1シーズンで5人のノーヒット・ノーランは、沢村栄治(巨人)などが達成した1940年以来、82年ぶりの快挙だった。

 三冠王を達成したヤクルト・村上宗隆や、41本塁打を放った西武・山川穂高は突出した成績を残したが、3割打者は両リーグ合わせてわずか6人と、投手の活躍が目立ったシーズンとなった。



開幕前から話題をふりまいた日本ハム・新庄剛志監督(photo by Koike Yoshihiro)

【"BIGBOSS"劇場開幕】

 2020年に現役復帰を目指し、12球団合同トライアウトを受験して話題をさらった新庄剛志が、日本ハムの監督に就任。就任当初からシーズン終了まで、随所で注目を浴びた1年だった。

 2021年11月の就任会見で、自らの役職を監督ではなく、「ビッグボス」と表現し、周囲にもこの呼称をアピールした。翌日のスポーツ各紙の紙面にはビッグボス(BIGBOSS)の略称「新庄BB」の文字が躍ったが、新庄本人は「BB(と表記するの)はやめて」とリクエスト。今年3月の開幕直前には、登録名を「BIGBOSS」にする徹底ぶりだった。

 就任決定直後の2021年の秋季キャンプでは、同年にプロ入り後初めての一軍昇格なしに終わるなど、伸び悩んでいた清宮幸太郎に「ちょっとデブじゃね?」と、減量を指示。清宮は食事制限などで約9キロ体重を絞ると、5月5日の楽天戦で初の2打席連続本塁打を記録するなど、快調な滑り出しを見せた。

 プラスワン投票で初選出されたオールスターでは、第1戦の最終回に広島の森下暢仁からサヨナラ本塁打を放ち、MVPを獲得。シーズンでも最終的に自己最多の129試合に出場し、自己最多かつ球団トップの18本塁打、55打点を記録した。

 清宮だけでなく、プロ11年目の松本剛が打率.347で首位打者に輝くなど覚醒。日本ハムでは史上5人目、右打者では球団初の受賞だった。

 プレー以外では、ノルウェーの兄弟デュオ・イルヴィス(YLVIS)の楽曲である『The Fox』に合わせて、球団のチアガール・ファイターズガールが、きつねを模したカチューシャとしっぽを付けてパフォーマンスする"きつねダンス"が大流行。一大ブームを築いた。

 シーズン終了後には、来季の登録名を「BIGBOSS」から日本ハムでの現役時代と同じ「SHINJO」に刷新し、監督を続投すると発表。59勝81敗3分でリーグ最下位に沈んだ今季からの巻き返しを図る。



キャンプ前日に今シーズン限りでの退任を発表した阪神・矢野燿大監督

【異例の "シーズン前退任表明"】

 2019年から阪神を率いる矢野燿大監督は、春季キャンプインを翌日に控えた1月31日、選手、報道陣に異例の今シーズン限りでの監督退任を表明した。

 その矢野監督のラストシーズンだが、苦難の船出となった。開幕投手に指名していた青柳晃洋が新型コロナウイルスに感染したため、開幕投手の変更を余儀なくされるアクシデントに見舞われる不運もあり、開幕からセ・リーグワースト記録となる9連敗を喫した。

 セ・リーグ最下位で交流戦に突入した阪神だったが、主砲・大山悠輔の活躍もあり、交流戦2位の12勝6敗で終えると、最大16あった借金を7月24日に完済。最終的に68勝71敗4分でセ・リーグ3位となった。

 CSでは、ファーストステージでDeNAを2勝1敗で下し、ファイナルステージに進出。だが、ヤクルトに4連敗を喫し、日本シリーズ進出はならなかった。

 在任4年間でリーグ優勝は果たせなかったが、選手の活躍予想をあらかじめ書いたり、"模擬ヒーローインタビュー"をしたり、"予祝"のメンタルトレーニングを取り入れるなど、二軍監督時代からこだわってきた「超積極的」「あきらめない」「誰かを喜ばせる」野球を貫いた。

 来季からは岡田彰布が、阪神の監督としては15年ぶりに復帰。スローガンは岡田氏がインタビューで使用する、優勝を表す言葉の「アレ」から「A.R.E.」に決定。2005年以来の「アレ」を目指す。



海外FA権を行使し、メッツへ移籍した千賀滉大(photo by USA TODAY Sports/Reuters/AFLO)

【パの2大スターがメジャー移籍】

 ソフトバンクの千賀滉大、オリックスの吉田正尚というパ・リーグを代表するスター選手が、来季から活躍の場を海外に移す。

 かねてからメジャー志向を公言していた千賀はCS終了後、今シーズン中に取得した海外FA権の行使を明言。11月10日に海外FA宣言選手として公示され、12月18日にメッツと5年契約を結び、背番号は「34」に決定した。育成ドラフト指名でプロ入りした選手のメジャー挑戦は千賀が初となる。

 吉田は日本一を置き土産に、ポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を表明。12月7日にポスティングの申請がMLB側に受理されると、16日にはレッドソックスとの5年契約を締結するという"スピード移籍"が実現した。背番号は2022年オリックスで背負ったのと同じ「7」に決まった。

 入団以来、多くの"育成初"をプロ野球史に刻んだパイオニアの千賀と、日本球界を代表するフルスイングでファンを魅了してきた吉田の新天地での挑戦が楽しみだ。



現役ドラフトで楽天から巨人に移籍したオコエ瑠偉

【現役ドラフトが初開催】

 12月9日に、第1回目となる「現役ドラフト」が開催された。現所属チームで出場機会に恵まれない中堅選手の移籍を活性化させようと、選手会が導入を希望していたもので、2018年から選手会が日本プロ野球機構と議論を重ね、初開催へとこぎつけた。

 初回は、12球団とも1巡目の指名のみで終了。2015年に楽天からドラフト1位指名されたオコエ瑠偉の巨人移籍が決まるなど、12選手が来季から新たなユニフォームに袖を通す。

 実際のドラフト会議の1位指名のように、他球団がすでに指名している選手に指名を重ねる"競合"の形はとれないなど、ルール上に疑問を感じる面はあるものの、面白い試みであることは事実。今後どう拡充していくかに注目したい。



東北勢初の甲子園制覇を達成した仙台育英ナイン(photo by Ohtomo Yoshiyuki)

【仙台育英が東北勢初の甲子園制覇】

 今夏の甲子園決勝で、宮城代表の仙台育英が、山口代表の下関国際を8−1で破り、春夏通じて初めて東北勢が高校野球の頂点に立った。

 仙台育英は1989年夏に、エース・大越基(元ダイエー)を擁して初めて決勝に進出するも、吉岡雄二(元巨人など)がエース兼主砲として君臨する帝京に敗れ、全国制覇を逃した。その後も、2001年春、2015年夏にも甲子園の決勝に勝ち進んだが、あと一歩及ばなかった。

 また東北勢としても、1915年の第1回大会で秋田中(現・秋田高)の準優勝に始まり、これまで甲子園の決勝に12回進出するもいずれも敗退。今夏の仙台育英がじつに"13度目の正直"となった。

 仙台育英の指揮官であるOBの須江航は2001年春の準優勝メンバーで、記録員としてベンチに入りしていた。実力伯仲の強力投手陣をはじめとする強力なチームをつくり上げ、隙のない戦いぶりで東北勢の大願を成就させた。

 優勝インタビューで発した、コロナ禍で高校生活を過ごした全国の球児たちを慮(おもんぱか)る「青春って、すごく密なので」は大きな反響を呼び、先述の「村神様」などとともに『2022ユーキャン新語・流行語大賞』にノミネートされ、選考委員特別賞を受賞した。