2021年限りでDeNAを退団した乙坂、ベネズエラで盗塁王の快挙 元DeNAの乙坂智外野手が、ベネズエラのウインターリー…
2021年限りでDeNAを退団した乙坂、ベネズエラで盗塁王の快挙
元DeNAの乙坂智外野手が、ベネズエラのウインターリーグで盗塁王に輝いた。同リーグは27日(日本時間28日)に、約2か月にわたって行われたレギュラーシーズンの全日程を終了。ブラボス・デ・マルガリータでプレーしていた乙坂は15盗塁を決め、2位に5盗塁の差をつけ、プロ初のタイトルを獲得した。
「自分はシングルヒットや四球を選んで出塁し、盗塁して得点圏に進むのが役割。得点することを求められて獲得してもらっていたので、盗塁王は目標にしていた。初めてタイトルが獲れてうれしいです」
ベネズエラでは「1番・中堅」でプレー。50試合に出場し、打率.333(リーグ4位)、64安打(同8位)、16打点、15盗塁(同1位)、37得点(同5位)と結果を残した。
「打撃練習を見ていても、ベネズエラはとんでもないパワーの持ち主がほとんど。自分が勝てるのは足かなと思った。だから重点的に意識して、多く盗塁しようと思っていた。後半はマークも厳しくなったが、トライしていくことでいろんなことが見えてきた。相手投手をより観察するようになり、捕手の配球も後半になって序盤よりもより考えるようになりました」
データがない中で盗塁を重ねるには…己の観察眼が頼り
相手のデータが事前に用意される日本のプロ野球とは違い、試合前のミーティングもなく、相手の情報がほとんどない中で試合に挑み、盗塁を積み重ねた。同リーグは8チームで構成されているが、試合日程は日本のような3連戦ではなく、ほぼ毎日対戦相手が変わる変則日程。カードごとの各投手との対戦回数も少なく、選手の入れ替えも頻繁に行われるため、前回の対戦時とは相手投手の顔ぶれも大きく変わり、いなくなっている選手もたくさんいたという。
「選手の入れ替わりが本当に激しいので、コーチに聞いても精度の高い情報が入ってこない時もあるんです。それで、試合前にブルペンで投げている相手の先発投手を目を凝らして観察し、球種をチェックしていました。他の選手の出塁時も相手投手の動き、癖を読み取ろうと必死でした」
相手投手の持ち球が分かれば、遅い変化球を投げるタイミングを読み取り、盗塁成功の確率を高めることができる。そんな地道なルーティンを日々コツコツと続け、独自に情報を収集し続けた。
同リーグでは選手の契約は2週間ごと。外国人枠は5人で、助っ人として結果を残さなければ明日はない、というプレッシャーに押しつぶされそうになったこともあったが、2か月間、無我夢中で走り続けた。
今後の目標はMLB移籍「マイナー契約でもなんでもいいので」
今夏はメキシカンリーグでプレー。レオン、サルティージョで1番中堅として活躍し、計78試合、打率.367、3本塁打、25打点、26盗塁と結果を残したことで、ベネズエラから声が掛かった。
「ベネズエラを選んだのは、よりレベルの高い選手たちとやって成長したかったから。だからウインターリーグは、ドミニカ共和国かベネズエラに行きたいと思っていたんです」
乙坂の奮闘もあり、チームも、勝てばプレーオフに進出できるワイルドカードの出場権が得られるリーグ5位でレギュラーシーズンを終了。過去にマック鈴木、野茂英雄、前川勝彦、渡辺俊介、岩田慎司、田中賢介らがプレーしてきたリーグで日本人初タイトルを獲得し、南米で最も野球が盛んな同国の球史にその名を刻んだ。37得点も、同チームでプレーした外国人選手の中で、歴代2位の数字。つい2か月前までは名前も知られておらず、チーノ(スペイン語で「中国人」の意味)と呼ばれていた日本人が、異国の地で強烈なインパクトを残した。
今後の目標はMLBでプレーすることだ。「米国でやるためには、よりレベルの高いところでやって、成績を残してアピールしないといけないと思っていた。来年はマイナー契約でも何でもいいので、米国でプレーしたいですね」。同国のウインターリーグでは、来季の所属先を探すため、就職活動中の選手も多くおり、ネット裏ではMLB各球団のスカウトも目を光らせている。そんな弱肉強食の環境で結果を残した乙坂。夢の実現を胸に秘め、静かに朗報を待つ。(Full-Count編集部)