カタールW杯選手コメントで綴る日本代表激闘録(1)11月23日vsドイツ 日本中が熱狂したカタールW杯。あの興奮の舞台裏…

カタールW杯
選手コメントで綴る日本代表激闘録(1)
11月23日vsドイツ

 日本中が熱狂したカタールW杯。あの興奮の舞台裏を選手たちのコメントによって、改めて振り返る――。



ドイツ戦では浅野拓磨が劇的な逆転ゴールをゲット

 史上初めて冬に開催された今回のワールドカップ・カタール大会。いつもなら日本国内で集合し、キャンプを行なってから現地入りする日本代表も、今回は多くの選手がカタールでの"現地集合"となった。

「いろいろなところがワールドカップ仕様になっている。各国サポーターが現地入りしてきて、ワールドカップらしくなってきたなと思う」(守田英正)

 ワールドカップとはサッカー選手にとっての夢であると同時に、4年間の集大成となる大舞台。選手それぞれがそれぞれの道を歩んで、ここまでたどり着いた。

「中盤の中心選手として、ずっと試合に出させてもらっている。(メンバー入りしながら出場機会がなかった)4年前とは違う立場だと実感できる。個人的には楽しみしかない。これまでやり続けてきたこと、見せてきたことをワールドカップの舞台でも出せるか、楽しみ」(遠藤航)

「前回、前々回は(登録メンバーに)入っていなくて悔しい思いがあった。今回は4年間、代表に選ばれ、プレーし続けて、最終予選でもプレーした。以前の出たい(という気持ち)とは違う責任感がある。どう(チームに)貢献できるだろうと、常に考え続けてきた4年間。それを続けたうえで、ここにいられている。4年前とは立場が違う」(南野拓実)

「(ここまでのキャリアが)順調にきたとは思っていない。ワールドカップ(の登録メンバー)にも滑り込んだと思っている。ただ逆に、ワールドカップのタイミングとかを考えると、"持っているな"とも思う」(久保建英)

 今大会で日本がグループリーグで対戦するのは、ドイツ、コスタリカ、スペイン。ワールドカップ優勝経験国が2カ国も同居するグループに入った。

 日本にとってはかなり厳しいグループではあるが、だからといって選手たちに臆する様子は見られない。

「自信はもちろんあるし、落ちついてやるだけ」(遠藤)

「常にチャレンジャーとしての気持ちで試合に挑むほうがやりやすい。日本も強豪国じゃないし、何かを背負って戦うというより、チャンレンジャーのメンタリティで戦うことになると思う。そのほうが僕にも合っている」(南野)

 日本が目標とするベスト8進出を成し遂げるために、とりわけ重要な試合となるのが、初戦のドイツ戦だ。

「ワールドカップに限らず、グループリーグは初戦が大事」(酒井宏樹)

「初戦はどんな大会でも簡単ではない。グループリーグを突破するうえで(初戦の)ウエイトは大きい。自信を持って、勇気を持って、戦うことが大事になる」(吉田麻也)

「自分たちが日本人の価値をこの大会で高めないとダメだと思っている。優勝候補やいいチームに勝つことで、世界からの見られ方を変えられる。自分たちの価値を高めるうえでも大事だと思う」(鎌田大地)

 ドイツ戦前日。選手たちに必要以上の高ぶりは感じられない。

「いよいよ始まるなという気持ち。ここまでいい準備ができている。ワールドカップで優勝したことのあるドイツに対してどれだけやれるのか。興奮と不安があるが、この機会に日本が成長した姿を見せたい。世界に大きなサプライズを起こせたらと思う」(吉田)

「日本代表としてベスト8に行くことを目標にやってきた。(自分が)新しい歴史に関われたら最高。日本としても、僕個人としても、価値を上げていくことにチャレンジしたい」(守田)

「東京五輪の初戦も結果を出している(自身のゴールで南アフリカに1-0と勝利)ので、そこはポジティブに捉えたい」(久保)

 そして、迎えたドイツ戦。日本は序盤からドイツに押し込まれ、劣勢を強いられる時間が長く続いた。

「前半は戦術的なギャップがあった。(数的優位を作られて)1対1でやらせてもらえない瞬間が両サイドであった」(長友佑都)

「(2列目で流動的にポジションをとるトーマス・)ミュラーと(ジャマル・)ムシアラを捕まえるのが難しかった」(吉田)

 それでも、どうにか持ちこたえていた日本だったが、前半33分、ドイツにPKを与え、先制点を許してしまう。

「前半はチャンスというチャンスがなかった。(ドイツを)リスペクトしすぎて、引きすぎて、前へ行くパワーがなかった。前半のままなら何点も入れられていた」(伊東純也)

 だが、劣勢が続いた前半も、終わってみれば最少失点にとどめる0-1。

「ネガティブにならず、ブロックを作って我慢しようと、焦ってはいなかった。前半を1失点に抑えたことがすべて。前半に2点目を決められていたらキツかった」(長友)

「試合を見ながら0-1ならいけると、(堂安)律と(南野)拓実と3人で話していた」(浅野拓磨)

 0-1で迎えた後半、日本は4-2-3-1から3―4―2-1へとシフトチェンジ。

「3バックのオプションがあると、常に森保(一監督)さんは言っていた。トレーニングもしていたし、ミーティングでも話し合っていた。何の違和感もなく、選手は受け入れて実行できたと思う」(長友)

「(後半に)3バックにしてハマった。このチームは逆転勝ちがほとんどないが、0-1ならいけると思った」(吉田)

 システム変更で徐々に守備が落ち着いてきた日本は、浅野、三笘薫、堂安、南野と、攻撃的な選手を次々に投入。

「負けていたので(攻撃に)いくしかなかった。トミ(冨安健洋)が(DFに)入って3枚並べると(守備に)厚みが出る。その分、ウイングバック(の自分)が攻撃的にいけた」(三笘)

 反撃に打って出た日本は75分、三笘、南野の連係で左サイドを突破すると、最後は相手GKのマヌエル・ノイアーがはじいたボールを堂安が鋭く詰めて、同点に追いついた。

「1カ月で技術が上手くなるわけじゃないが、シュート練習する時は常に対戦相手まで細かくイメージしてやっていた。どれだけ冷静に練習のイメージで蹴れるかが大事だった」(堂安)

 だが、日本の反撃はこれだけでは終わらない。

 83分、自陣で得たFKを板倉滉が素早く前線へフィード。これを受けた浅野がDFラインの背後に抜け出すと、ノイアーの肩口を抜く決勝ゴールを叩き込む。

「こういう日を想像して、4年間準備してきた。結果が出てよかった。(シュートは)ニア上を狙ったわけじゃない。思いきり打った結果。みんなの気持ちが強い分、それがボールに乗っかった」(浅野)

「後半から入った選手がゴールに絡んで決めてくれた。相手が疲弊したところでサブが決める。チームの力だなと思う。ベンチを含めていい選手がそろっている。総力戦を見せられた」(伊東)

 伏兵・日本がワールドカップ優勝4回を誇る伝統国ドイツを、2-1の逆転で下す歴史的勝利。

「今日勝ったのはデカい。後半のような戦いなら、どんな相手でも戦える。自分もゴールに絡みたかった。次の試合は自分が決めてやろうと思う」(伊東)

 しかし、勝利の瞬間にはピッチ上では歓喜を爆発させた選手たちも、すぐに気持ちを次戦へと切り替えた。

「(ドイツに勝って)最高のはずだが、(気持ちは)落ち着いている。3回目(のワールドカップ出場)だし、やるべきことに集中している。しっかり前を見据えて、やることをやって、コスタリカ戦に備えたい」(吉田)

 その後の行方を大きく左右する、大事なグルーブリーグ初戦。日本はドイツを相手に望外の勝ち点3を手にし、これ以上ない最高のスタートを切った。

(つづく)