金足農の右翼手として甲子園準Vを経験した菊地彪吾さん 2018年夏の甲子園で吉田輝星投手(現日本ハム)を擁して準優勝した…
金足農の右翼手として甲子園準Vを経験した菊地彪吾さん
2018年夏の甲子園で吉田輝星投手(現日本ハム)を擁して準優勝した金足農(秋田)。この時の右翼手で八戸学院大に進学した菊地彪吾さんは来春、野球用品を扱う会社に就職する。プレーヤーとしての野球人生には一区切りをつけ、新たな観点から野球に携わっていく。【高橋昌江】
今から4年前の夏、甲子園で並いる強豪を破り、決勝に進出したのが金足農だった。第100回大会という節目で、秋田の農業高校が鹿児島実(鹿児島)、大垣日大(岐阜)、横浜(神奈川)、近江(滋賀)、日大三(西東京)を次々と下し、県勢としては第1回大会以来となる103年ぶりの決勝に挑んだ。最後は大阪桐蔭(大阪)に2-13と大敗したが、その躍進は“金農旋風”として人々の記憶に刻まれた。
「年が経つごとに、すごいことをしたんだなという実感が湧いています」
そう話す菊地さんが最もスポットライトを浴びたのは、近江との準々決勝だった。1-2で1点を追う9回。無死満塁の二塁走者だった菊地さんは9番打者の三塁へのバントで一気にホームまで還り、球史に残る「サヨナラ2ランスクイズ」を決めた一員となった。
卒業後は秋山翔吾(広島)が巣立った八戸学院大に進学した。エースだった吉田が進学予定で、「一緒に行こう」と誘われて決めたが、甲子園で吉田の運命が動いた。プロ志望届を提出し、ドラフト1位で日本ハム入り。菊地さんはそのまま八戸学院大に進んだ。「これはこれで何かの運命なので」と話していたのは大学1年の夏。すでに北東北大学リーグの春季リーグ戦に出場し、大学選手権でもベンチ入り。新人戦では2打席連続本塁打と順調なスタートを切っていた。
「野球の道具が好き」…野球用品商社「イソノ運動具店」に就職へ
2年生に上がる時、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた。リーグ戦で初安打を放ったのは3年春。進路に関しては「硬式野球を続けたい」と社会人野球を希望し、3年秋には5安打した。しかし、4年生になると出場機会は減り、硬式野球を継続する道も狭まった。
それでも、「野球に関わることをしたい」という思いは強かった。そして決まったのが、1948年創業の野球用品商社・株式会社イソノ運動具店。「野球の道具が好きで、中継を見る時は選手がどんなグローブを使っているのか、どこのバットを使っているのかを見てしまう」という菊地さんにとってはぴったりの会社だ。
イソノ運動具店は社会人や大学に根強く、この点も働きがいになりそうだ。なぜなら、「プロに近い実力の人たちが負けたら終わりの戦いの中、全力で必死にやっている姿がかっこいい。会社をかけて戦うってかっこよくないですか?」と好きなカテゴリーが社会人野球だからだ。
今年の都市対抗野球は開幕戦を現地で観戦した。「都市対抗を生で見たのは初めて。ドラフトで広島から3位指名された東京ガスの益田(武尚)投手はめちゃくちゃすごかったです」。選手としてプレーすることは叶わず、その悔しさがないと言えば、嘘になる。同時に、ここまで「野球を本気でやってこられた」という自負もある。選手にとって道具は大事な“相棒”。これからは本気の選手たちを輝かせるのが仕事だ。(高橋昌江 / Masae Takahashi)