天野麻菜 インタビュー前編「リングガールの仕事」ボクシング世界戦でリングガールを務めて注目を浴びたタレント・グラビアアイドルの天野麻菜さんにインタビュー。前編のテーマは、リングガールの仕事。リングガールを始めたきっかけややりがい、知られざる…

天野麻菜 インタビュー前編「リングガールの仕事」

ボクシング世界戦でリングガールを務めて注目を浴びたタレント・グラビアアイドルの天野麻菜さんにインタビュー。前編のテーマは、リングガールの仕事。リングガールを始めたきっかけややりがい、知られざる苦労を語ってもらった。


リングガールやタレントとして活躍中の天野麻菜さん

【格闘技の

 

「か」の字も知らなかった】

 2022年もカウントダウンに突入。井上尚弥がバンタム級で4団体の王座統一を果たすなど、今年は、国内外のボクシングファンを熱狂の渦に巻き込んだ数々のビッグマッチが開催された。

 そうしたなか、ミドル級王座統一戦の村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)、バンダム級王座統一戦の井上尚弥vsノニト・ドネア(フィリピン)と、ふたつのタイトルマッチでリングガールを務めたのが、天野麻菜さんだ。

 天野さんが初めてリングガールを務めたのは、2018年8月。フジテレビ運営のボクシング大会だった。当時所属していた事務所のマネージャーからオファーを聞いた時、いったんは断ったという。なぜだろう。

「当時、私は格闘技の『か』の字も知らなくて。でも、『ボクシングの試合を観てから決めないか?』とマネージャーに説得されて、後楽園ホールへ。いざ試合が始まると真剣に殴り合うリング上の闘いにただただ圧倒されて。

 リングサイドから観ていると、選手の動きだけでなく、性格までわかるようで。物腰がやわらかい感じ、ミステリアスな雰囲気、闘争心むき出し......といろんなタイプの選手がいるんだな、と。

 相手を殴って倒すのは怖いイメージがありましたが、どの試合でも、ゴングが鳴ったらピタッと手が止まり、相手に敬意を示す。スポーツマンシップを感じました。ボクシングは『紳士のスポーツ』だと認識が変わりました」(天野さん、以下同)

【2回目の出番でいきなり井上vsパヤノ】

 ボクシングの競技の魅力に加えて、インターバルの1分間に登場するリングガールを目の当たりにし、ラウンド数を知らせる以上の存在であるとわかったそうだ。

「あんなに激しく闘い、汗や血が飛び散ったリングへ、それも鬼気迫る選手たちとは真逆の穏やかな表情で上がっていくリングガールたち。たった1分間で会場の空気が変わっていくのを肌で感じました。そんな大役を担うリングガールの姿にすごみを感じ、よし、ボクシングを一から勉強しよう、私もやってみよう、と決意しました」

 初めて後楽園のリングに立ってから、2回目の仕事が井上vsファン・カルロス・パヤノのビッグマッチだった。以降も隔月でリングガールを続け、2021年からは月に一度のペースに。4年余りで通算50大会近くを経験してきた。



リングガールのポーズ

 時には「リングガール不要論」という声を耳にするが......。天野さんは、リングガールの意義をどのように考えているのだろう。

「どのタイミングで終わってしまうかわからない競技だからこそ、会場や中継で観戦している方々は、息つく間もないほど集中しています。インターバルで私たちが出ていくことで、少しでもリラックスしてもらえたら。

 あのストレートが効いていたなとか、ボディのダメージがそろそろたまってきたかもなとか、試合の状況を整理しながら頭のなかをクールダウンして、また次のラウンドを楽しんでもらいたいです。

 選手にとっても、私がリングを歩くことで、観客のみなさんの視線が分散される。貴重な1分間を有意義に使ってもらい、次のラウンドもベストを尽くせますようにと願っています。

 試合中はインターバルに向けて、ラウンド終了の30秒前から、そろそろだと心の準備をし、20秒前に身なりを整え、10秒前にリング下にスタンバイ。どんなに白熱した闘いでものめり込みすぎることなく、すぐに気持ちが切り替えられるように準備をしています」

【映像から見切れていないとダメ?】

「リングガール=インターバル」の印象が強いが、実はそれ以外の仕事もたくさんあるという。

「最初にオファーをいただいた時に『選手のサポートをする仕事です』と伝えられました。リングガールは、試合が終わってからが本番だと意識しています。スポンサーからいただいたものを選手に渡したり、後楽園ホールや世界戦の会場では撮影の際、カメラの視線を誘導したり。

 たまに気持ちが高ぶっているあまり、写真撮影の前に帰ろうとしてしまう選手や、トロフィーを落としてしまう選手がいるので、試合後にアクシデントはつきもの。些細なことでもすぐに対処できるよう、選手のそばにいて支えるのが仕事です」



 あくまで主役は選手。リングガールが注目される機会が増えても、天野さんは自分の立ち位置に細心の注意を払っている。

「世界戦の中継で、選手の脇に立っていると『映像から見切れてるけどいいのか?』と言われることがあるんですが、実は画角から見切れていないとダメな時のほうが多いんです (笑)。

 勝者インタビューで後ろに立つ時、映像や写真に選手だけが収まるべきタイミングでは少し離れる。一緒に映り込むべき時も、あくまでも主役は選手。こちらがあまり目立たず、選手が引き立つように近づきます。臨機応変に自分の立ち位置を変えられるように常に気をつけています」

【「雪平&天野コンビ」として話題に】

 勝利者の両脇に立つ姿は、メディアでよく取り上げられる。同じ画(え)に収まることが多いのが、雪平莉左さんだ。今年6月に開催された井上vsドネア戦でともにリングガールを務め、以来、「雪平&天野コンビ」として話題になることが増えた。

「サポートする立場のリングガールが注目され、それでボクシング界が盛り上がればうれしいです。ただ、『雪平ちゃんのほうが売れちゃったね』とか『みんなはそうじゃないかもしれないけど、僕は天野さんのほうが好きだよ』など、ちょっと意地悪な声も聞こえてきます。でも私、鋼のメンタルを持ってるので全然大丈夫です。とはいえ、単に『天野さんのファンです』と言ってくれれば素直にうれしいんですけどね(笑)。

 多くは好意的な方ですよ。印象に残っているのは、ツイッターで『リングガールの天野さんは試合中、一度も姿勢を崩さずプロ意識を感じた』といってくれた方がいて。グラビアなら正面から見られるだけですが、試合会場は360度が観客。そんななか、容姿やスタイルでなく、仕事ぶりを見てくださっている人がいる。いつ、だれに見られても恥ずかしくない、失礼のないようにリングガールとして成長していきたいです!」


インタビュー中編

「忘れられない試合4選」>>

インタビュー後編「ボディメイクとベストサウナ3選」>>

【プロフィール】
天野麻菜 あまの・まな 
グラビアアイドル、タレント、俳優。1991年、大阪府生まれ。2009年より芸能活動を開始。「ミスiD 2013」ファイナリスト。映画『サマーソング』(2016年)、TBSドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(2021年)などに出演。2018年にリングガールを始め、「村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキン」、「井上尚弥vsノニト・ドネア」などのタイトルマッチを担当。2022年11月にファースト写真集『なまのまな』(ワニブックス)を発売。趣味は、サウナ、映画・落語鑑賞で、特技は効きビール、フットサル。Instagramでは、3000日以上毎日ビールを飲み続ける動画をアップしている。