世界でもっとも過酷なラリーレイドであるダカールラリー2023は31日に開幕、第1ステージのスタート順を決めるプロローグランが行われる。ラリーレイドのスタートは翌2023年1月1日、全14ステージにわたる戦いがいよいよ始まる。 TOYOTA …

世界でもっとも過酷なラリーレイドであるダカールラリー2023は31日に開幕、第1ステージのスタート順を決めるプロローグランが行われる。ラリーレイドのスタートは翌2023年1月1日、全14ステージにわたる戦いがいよいよ始まる。

TOYOTA GAZOO Racing(TGR)ダカールチームは、サウジアラビア西海岸の都市ヤンブ北部に置かれたシーキャンプで3台のGRダカールハイラックスT1+を組み上げ、シェイクダウン。2年連続の総合優勝に挑む。

◆TOYOTA GAZOO Racingのナッサー・アルアティヤ組が総合優勝「最高の気分!」 アリ・バタネンの4度制覇に並ぶ

■5度目の頂点を狙うナッサー・アル-アティヤ

TOYOTA GAZOO Racing GRダカールハイラックスT1+ 2023 (C) TGR

2022年大会では、カタール人ドライバーのナッサー・アル-アティヤと、フランス人コ・ドライバーのマシュー・ボーメルが、総合優勝。アル-アティヤ2019年に続きTGRに2勝目をもたらし、今大会では連覇を目指す。

チームメートの南アフリカ人ドライバー、ジニエル・ド・ヴィリエールは、これまでダカールラリーに20回参戦。2009年に総合優勝を飾ったほか、7回の表彰台を獲得している。20戦のうち、トップ10を逃したのはたった1度だけという安定した成績だけに、今年も同じ南アフリカのコ・ドライバー、デニス・マーフィと共に好成績を狙う。

3台目のクルーである南アフリカ人コンビのヘンク・ラテガンとブレット・カミングス組は今回が3度目の参戦。

ダカールラリー2023は、ここ数年の通例であった全12ステージより2ステージ増えた全14ステージとなり、さらに厳しい戦いが予想される。ルートはエンプティ・クォーター(空白地帯)と呼ばれるルブアルハリ砂漠の、これまで以上に深い地域へと踏む込む模様。休息日がレース期間の折り返し点以降に移動したことに加え、ステージ途中での休息ポイントがなくなったことで、戦いがさらに厳しいものになると言われる。

■世界ラリーレイド選手権制覇の勢いを持ち込むか

トヨタのGRダカールハイラックスT1+は前回のダカールラリー勝利後も改良を継続。アル-アティヤ/ボーメル組が世界ラリーレイド選手権(W2RC)の初代チャンピオンを獲得したことに加え、ド・ヴィリエールが勝利した南アフリカラリーレイド選手権では、チームにとって重要なテストを重ねたかたちとなった。

来たるダカールラリー2023のルートは、シーキャンプと呼ばれるサウジアラビア北西部の、紅海に面した沿岸部からスタート。プロローグのあと、ステージ1はシーキャンプへと戻るループステージ、ステージ2は美しい峡谷地帯を抜けアル=ウラーへ。ステージ3でハイルへと向かった後、ハイルをビバーク地としたループステージが2日続き、続く2日間でアル=ダワディミへと到達。アル=ダワディミ起点のループステージを経て、ステージ8でサウジアラビアの首都であるリヤドへと向かい、休息日を迎える。

砂漠を疾走するGRダカールハイラックスT1+ (C) TGR

その後、ルートは東へと向きを変え、ハラドへ。ラリー終盤戦の舞台となるエンプティ・クォーターに挑む。この終盤に用意される今年のマラソンステージ(砂漠の中に設けられたキャンプ地を経て、翌日のフィニッシュまでサポートなしで走る区間)はラリーの結果に大きな影響を及ぼすだろう。

最終盤の数ステージは、シェイバーからアル=フフーフを経て、ペルシャ湾岸の都市ダンマームへと向かうルート。この終盤の3ステージはすべて200km未満と距離こそ短いが、今大会中もっともタフなステージとされ、ラリー主催者は「短距離だからと軽視すべきでない」と警告している。

ダカールラリー2023は、初めてサウジアラビアの西岸から東岸へ横断するルートとなり、また初めて訪れる都市ダンマームで最終日1月15日にゴールを迎える。

アル-アティヤは本戦を前に「ダカールラリーは本当に大きな1戦です。2022年は、初代W2RCチャンピオンを獲得することができ、我々にとっては素晴らしい1年でした。しかし、今年も勝ちたいと思っていますし、改良されたGRダカールハイラックスT1+は間違いなくそれを叶えてくれる車両だと確信しています」と自信のほどを覗かせている。

トヨタにとっては連覇、アル-アティヤ5度目の制覇が期待されるダカール・ラリー、2023年もその砂漠への挑戦が始まる。

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文・SPREAD編集部