FIFAワールドカップ カタール 2022目立ったのはアジア勢の躍進「色んな監督とやってきたけど、間違いなく一番尊敬でき…
FIFAワールドカップ カタール 2022目立ったのはアジア勢の躍進
「色んな監督とやってきたけど、間違いなく一番尊敬できる監督。もう一個、監督を上に連れていってあげたかった。」
敗退したクロアチア戦の翌日、吉田麻也主将がメディアに語った想いはチームの団結力が伺えた印象深い言葉でした。史上初のベスト 8進出へはもう一歩届きませんでしたが、圧倒的不利とされていたドイツ・スペインを破り、クロアチアとも互角の戦いを演じたサムライブルーの選手たちは、国民に勇気を与えてくれました。
優勝はアルゼンチンとなり神の子メッシが悲願を達成する形となりましたが、同時に目立ったのはアジア勢の躍進で日本・韓国・オーストラリアが競合ひしめくグループリーグを突破しベスト16という結果を残しました。
グループリーグで敗退したイランにしてもアジア最強の旗印のもとヨーロッパの雄ウェールズを破る意地を見せましたし、サウジアラビアに至っては世界ランク51位(10月時点)ながら、格上となる3位の優勝国アルゼンチンを下す今大会最大の下克上を見せてくれました。アジア開催によりヨーロッパの国々と比べ地の利があった点は否めませんが、50億近い人口を抱えるアジアパワーを感じたのもまた事実です。
出場国増加によるアジア枠の変化
ここで一つ考察してみたいと思います。アメリカ・カナダ・メキシコ開催となる 2026年の次回大会、アジアからの出場国はどこになるのか、そして今回の結果に並ぶ或いは超える国は現れるのか否か、についてです。
次回の大会から大きな変化が起こります。トータルの出場国数はこれまでの32から48となり、アジア枠は+4、アフリカ+4.5北中米カリブ+3南米+2オセアニア+1ヨーロッパ+3となります。
アジア枠は、今回の出場国である日本・韓国・オーストラリア・イラン・サウジアラビア・カタールの6カ国に+3国がどこになるのかという観点となりそうです。
6カ国の中でカタールは1枚劣りますが、サッカーは王族が支援する国家的プロジェクトであること、今回見せ場なく敗退した結果を何が何でも取り返そうと躍起になってチームビルディングしてくると考えると出場権を逃すことは考えにくい。そうなると残り3か国をアジア最終予選で涙を呑んだオマーン・中国・ベトナム・UAE・イラク・シリア・レバノンが取り合う形になりそうです。
以上の国から総合力を格付けすると日本を最終予選で破った名GKアルルシェイディを擁するオマーン。リバプールも注目したオマル・アブドルハフマンなどテクニシャン輩出国のUAE。リーガエスパニョーラで揉まれるFWウーレイの存在や、目的の為には手段を選ばない(帰化選手の獲得等)中国が抜けてきそうな気がします。
また今大会出場辞退となった北朝鮮の存在はかなり重要で、Jリーグで活躍した鄭大世の涙が印象的だった2010年大会はブラジルに善戦するなど一定力は示しており、ダークホースとなり得る存在です。
では日本が出場権獲得を逃す可能性があるのか否か、結論としては考えにくいでしょう。新レギュレーションでは3次予選進出18チームを3グループに分け上位2チームは無条件でその出場権を獲得することとなります。3位・4位は4次予選まで戦う必要性が生じますが地力に勝る日本がアジアトップ 6から漏れる可能性は極めて低いでしょう。
2026年以降の本大会はさらに激戦に
では以上9か国の中で次回大会ベスト8以上を狙えそうなのはどこの国か、言わずもがな最右翼は日本でしょう。今大会招聘された三苫・久保・堂安・富安など欧州で目覚ましい活躍を見せる東京オリンピック世代が中心となる次回大会、レアルカスティージャで頭角を現しつつある中井や高校サッカーを席巻した松木・チェイスアンリなどもう一世代下も人材は豊富。燦然と掲げる2050年ワールドカップ優勝の序章としてまずはベスト8、歴史を変えてもらいたいです。
一方で世界各地からも新たな実力国が入ってきますので、これまで以上に激戦となりそうです。
まずは3枠増えるヨーロッパ、ユーロチャンピオンのイタリアをはじめスウェーデンやウクライナ、ノルウェーやトルコなど今大会出場出来なかった国々も虎視眈々と次回大会での飛躍を狙っています。前回大会まで決して相性が良いとは言えなかったヨーロッパチームが更に増えることは日本にとって脅威でしょう。また曲者揃いの南米は更に怖い存在、ペルーやコロンビア、チリやパラグアイなどヨーロッパのトップチームで活躍する面々が多くそのスピードやクイックネスはヨーロッパ以上に日本が苦手とする相手でもあります。他にもモロッコが躍進したアフリカ勢、更には開催国枠となる北中米カリブ勢は国の威信をかけて戦ってくると想定すると本大会で気の抜ける相手は当たり前ですが皆無でしょう。
寝不足の目を擦りながらサッカーを堪能した1か月。一つのプレーに歓喜し、一つのプレーに涙する。来る2026年のその時に向け、各国の動向から目が離せない4年間となりそうです。
<筆者プロフィール>
愛知で生まれ静岡で育つ。
サッカー処静岡でサッカーをやっていたが周りのレベルに付いていけず小学生で挫折、中学以降は空手、陸上へ競技変更。
それでもサッカー愛は変わらず今も地元Jリーグチームと大好きなプレミアリーグ視聴は毎週末の日課。往年の名プレーヤー、グティが最も好きな選手。