所属していた川崎フロンターレからの退団がすでに発表され、カタール移籍が決定的となっているサッカー日本代表・谷口彰悟。そ…
所属していた川崎フロンターレからの退団がすでに発表され、カタール移籍が決定的となっているサッカー日本代表・谷口彰悟。その送別会が12月25日に川崎市内で行われた。その後、谷口が取材に応じて移籍への想いを語った。
カタールワールドカップの日本代表メンバー26人に選ばれた国内組は7人。その中で、海外でのプレーを経験したことのない選手は4人しかいなかった。その4人の中で、最も出場時間が長かったのが谷口だ。現在、31歳。9年間在籍した川崎フロンターレで、Jリーグのピッチに立ちながらも世界基準を求めてきた成果が一つ出た証ともなった。
その谷口の電撃退団が川崎から発表されたのは、12月19日のこと。現時点で正式な移籍先は発表されていないが、谷口は「報道の通り、カタールに行くと思います」と自身の口で話し、そして、「ワールドカップで経験したあの感じというか、気候だったりとか、土地勘も含め、そういう舞台でまた新しいところで戦うんだなという準備をしている」と今の気持ちを明かしてくれた。
その谷口にとって、新天地はどのように見えているのか。プロ入りして初めての移籍、ましてやその移籍先が海外となれば、イメージを膨らませているはずだと思い、率直に聞いてみると、まずは、「Jリーグほどの緻密さはなさそうでした」と語った。
谷口が所属してきた川崎フロンターレは、攻撃力のイメージが持たれがちだが、ここ数年は堅守も持ち合わせている。まして今季は、接戦をモノにすることで最終節まで優勝争いに加わってきた。だからこそ、谷口のいう“緻密さ”という言葉は、かなりハイレベルなものになることは、付け加えなければならない。
■「でも、逆にそれが新しかった」
その谷口は、そうしたJリーグとの違いが、「でも、逆にそれが新しかった」と語っている。それは、自身が世界最大の祭典でプレーしたことと無関係ではない。
というのも、「ワールドカップを経験してもそうですけど、結局、個で守れちゃえば問題ないっていうチームがたくさんいて、前線の選手も個ではがせば、個で打開できれば、それが戦術になるっていうような戦いだったり、そういうチームがたくさんいて。サッカーに正解はないというか、いろんな国がいろんなサッカーをしているので、そこを学びたいなというか、体験したい」と語っているからだ。
強力なアタッカーがいればそれが戦術になり、強力なDFがいればそこに依拠した戦術になる。それは、世界の強豪国であっても同じことだった。リオネル・メッシがいるアルゼンチン代表やキリアン・エムバペがいるフランス代表はその典型。一方、フィルヒル・ファン・ダイクらがいるオランダ代表は、守備面でその恩恵を受けている。
だからこそ、「緻密さがない分、本当に一人一人の力が求められるのはJリーグにない部分かなというのはありますし、そこを成長に繋げられたらなと思ってます」と目を輝かせた。
谷口は、「(W杯で)勝ち上がっていくような強豪な国にはボールを繋げて守備範囲が広くてって言うDFがいるので、日本が勝ち上がって行くためには、そういう選手がたくさん出てこないといけないんだろうなっていうのはすごく感じました。守備範囲が広く、4枚だったり、むしろ2CBで守り切れちゃうくらい、そういう能力を持った選手たちがたくさんいて」と個の重要性を説いており、だからこそ、その成長を自身に課しているようだ。
■サッカーには「正解がない」
W杯に出場した国は32ある。そのいずれもが、独自の戦い方で世界に挑んだ。日本代表も、4バックと3バックを併用。さらに、時間帯によってまったく異なる振る舞いを見せており、だからこそ、ドイツやスペインを破ったともいえる。
「あのW杯を経験すると、本当にいろんなサッカーがあるんだなっていう改めてすごく感じたし、正解がない。やっぱりああいう大会だと、勝つことがすべてっていう感じなので、そこはすごく自分にとっても新しかったし、それを体験できたというのが僕の中ですごく大きくて、これから、いろんなところでいろんなことを経験していくっていうのがすごく大事なのかなと思います」
カタールで得た学びを、今後、そのカタールで深めることになる谷口。その新たな姿が、日本代表をさらなる高みへと導く。