吉田正尚はオリックス選手寮で会見…感謝の言葉を述べた オリックスからポスティングシステムを利用してレッドソックスに移籍し…

吉田正尚はオリックス選手寮で会見…感謝の言葉を述べた

 オリックスからポスティングシステムを利用してレッドソックスに移籍した吉田正尚外野手への期待は大きい。5年9000万ドル(約118億6000万円)の大型契約。日本から移籍した野手ではカブス・鈴木誠也外野手を上回る歴代最高額なのだから当然だろう。早くも米国でも三振が少ないバッターとして大注目を集めており、レッドソックスファンの熱い視線も浴びまくり状態。どうやら吉田が最初に打破しなければならない敵は「プレッシャー」となりそうだ。

 22日、大阪・舞洲のオリックス選手寮「青濤館」で行われた記者会見は日本のファンへの旅立ちの挨拶の意味合いだった。これまで関わってきたすべての方々への感謝の言葉を述べた上で「やることは日本時代と変わらずにベストを尽くすということ。バッティングに関しても、走塁にしても今までやってきた基礎を大事にして、またアメリカで新しいことを学びながら、成長していけたらなと。守備でもそうですけど、取り組んでいきたい」と決意を語った。

 しかしながら、巨額契約の重圧も早速感じているようだ。評価に関して「いやあ、どうですかね。まぁ、これもビジネスというか、メジャーではね、もう、どんどんこういうのが出てきますから。そういうところは日本とは違うのかなと思いながら」と言葉を選びながら回答。さらに「うーん、タクシーに乗ってても、最近ね『乗せられない』と言われるし、ちょっと何かそういう目で見られるのかなと思いながら、はい、変化はあります」と戸惑い気味に話した。

 日本人野手のメジャー挑戦は決して簡単ではない。オリックスの大先輩であるイチロー氏は大成功を収めたが、後に続く世代は、大谷翔平は別格として、苦戦傾向にある。そんな中、金額の期待度だけを考えれば、それこそイチロークラス、大谷クラスの成績を求められても不思議ではないのだから大変だ。技術面以外にも精神面で乗り越えなければいけないものがある。そういう意味でもハードな戦いが待ち受けているのだ。

巨額契約は「自分で勝ち取ったとは思っていない」

 メジャーに送り出す側のオリックス・福良淳一GMは「普通通りやってくれたら、正尚の力だったら通用すると思っているんで、こっちでやっていたことをやってもらえればいいかなと思っています」と話した。まさに“いつもの吉田”、“これまでの吉田”が大事ということだろう。まずは周囲の「雑音」に影響されないことが成功への第一歩になるわけだ。

 レッドソックスの公式ツイッターに、吉田の“マッチョダンス”の動画も流れていることについて「どうなんですかね、わからないです。喜んでもらえたらうれしいです」とにっこり。大谷との対決に関して聞かれても「大谷さんの偉大さはあっちにいって感じますし、日本人として誇りに思いますし、そういう選手とプレーできるのは光栄なことと思います」と終始穏やかな表情だったが、その内心は……。

「契約に関しては僕自身、自分で勝ち取ったとはホント思っていないので。エージェントの方の出会いだったり、その方たちのおかげと思ってますので、与えられた契約の中で、しっかり自分のパフォーマンスを最大限に出すしかないと思っています」と強調した吉田。ぜひとも最大級のプレッシャーにも打ち勝っての大活躍を期待したい。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)