中学軟式日本一の上一色中 主将のほかに副主将5人 一般的な主将の役割とは違いがあった。ともに全国大会で優勝している滋賀・…
中学軟式日本一の上一色中 主将のほかに副主将5人
一般的な主将の役割とは違いがあった。ともに全国大会で優勝している滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督と東京・上一色中の西尾弘幸監督が19日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」開設1周年の記念イベントで対談。参加者から質問された主将の決め方では、主将1人に責任を負わせない考え方を明かした。
オンラインで開催されたイベントには、少年野球の指導者や保護者らが参加した。辻監督と西尾監督に直接質問する時間も設けられ、その中には主将の選び方についてアドバイスを求める内容もあった。
西尾監督は、野球の技術だけで主将を決めることはないという。1学年上の選手に意見を聞き、グラウンド以外の学校生活を見た上でベストな人材を選ぶ。主将に向いているタイプには「元気があり、自分から進んで練習して集団を引っ張る力がある選手」を挙げた。
ただ、西尾監督は主将1人に過度な責任や役割を負わせない。チームを5~6つのグループに分け、それぞれのグループにリーダーとなる副主将を置く。主将は副主将と連携を深めれば、自然とチーム全体がまとまっていく仕組みだ。
多賀少年野球クラブ・辻正人監督の主将論 「一切の責任負わせない」
一方、辻監督は「主将には一切の責任を負わせません」と話した。同学年で最初にチームに入った選手を主将に指名し、その役割は試合で先行と後攻を決めるジャンケンのみだという。
以前は主将にチームをまとめる役目を求めたが、次男の言葉で考え方を変えた。履正社高校で甲子園に出場した辻監督の次男は、子どもの頃にチームで主将を任されていた。しかし、ある日「本当は野球以外のことを言われたくない。チームメートのこと、チームをまとめることを考えるのではなく、単純に野球がしたい」と悩みを吐露した。
次男の気持ちを知った辻監督は、自身のチームで主将に責任を負わせるのはやめようと方針転換した。「野球がしたくてチームに入ったのに、他の選手のことを考えさせるのは負担になると次男に教えられました。チームによっていろんな考え方がありますが、私のやり方に至った理由です」。
強いチームや選手が集まるチームには理由がある。豊富な経験や実績から導き出された指揮官2人の金言は、指導者や保護者が悩みを解決するきっかけとなる。(First-Pitch編集部)