オリックスで防御率2.38の張奕「チャンスなくて悔しかった」 西武は、今季の最優秀中継ぎ投手に輝いた平良海馬投手の先発転…
オリックスで防御率2.38の張奕「チャンスなくて悔しかった」
西武は、今季の最優秀中継ぎ投手に輝いた平良海馬投手の先発転向が急転直下で決まり、穴を埋めるセットアッパーを求めている。候補として前レンジャーズのヘスス・ティノコ投手の入団を発表していたが、森友哉捕手のFA移籍に伴う人的補償でも、オリックスから張奕(ちょう・やく)投手を獲得。張は19日に所沢市内の球団事務所で入団会見を行った。
28歳右腕の張は今季、もっぱら中継ぎでキャリアハイの15試合に登板し0勝0敗、防御率2.38。「今季はもっとやれそうな手応えがあったが、周りのチームメートがすごい投手ばかりで、なかなかチャンスがなくて悔しかった」と言う。
平良が今月2日の契約更改交渉の際に先発転向を直訴し、当初難色を示していた球団側も了承したと聞いた時には、「もしかしたら自分にワンチャンあるかも、という気持ちになりました」。それでも「まさか(人的補償に)選ばれるとは……。メチャクチャうれしいです。西武ライオンズのセットアッパーとして活躍したい」と、突然の移籍を前向きにとらえている。
張はMAX157キロの速球と落差のあるフォークボールが持ち味で、好調時には相手が手をつけられないような投球をすることがあるが、今季のオリックスのリリーフ陣は、44試合で防御率0.51を誇った阿部翔太投手をはじめ、32試合で2.10の近藤大亮投手、19試合で0.81の宇田川優希投手、先発との両刀で活躍した山崎颯一郎投手ら分厚い陣容で、思うようにチャンスが巡って来なかった。西武の渡辺久信GMは「ウチに来て環境が変わり、50~60試合投げてくれるようになれば一番いい。可能性は十分ある。ポテンシャルが高く、まだまだ伸びしろがある」と期待をかける。
台湾出身選手が活躍する土壌 “新オリエンタル・エキスプレス“襲名の期待も
張は台湾出身で、2019年11月のWBSCプレミア12に台湾代表として出場。来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも「自分自身は出たいです。世界大会にはすごい選手がたくさん出場するので、その経験から何かを吸収できれば、自分にとってプラスになるし、西武ライオンズの戦力にもなれると思う」と出場に意欲を示す。渡辺GMも「どうぞ、どうぞ。ウチでは呉念庭(内野手)を含めて、(最終メンバーに)選ばれる可能性は高いし、選んでほしいと思っています」と後押しする方針だ。
もともと、西武には台湾出身選手が活躍する土壌もある。2021年に球宴出場を果たした呉念庭もそうだが、かつては1985年から13年間在籍した郭泰源投手が、MAX158キロの豪速球で“オリエンタル・エキスプレス“の異名を取り、91年にMVPに輝くなど大活躍。張誌家投手や許銘傑投手の勇姿も、西武ファンの心に刻まれている。
特に呉念庭は、張にとって台湾での小、中学校時代にもライバルチームに所属し、来日後も高校、大学、プロと対戦を繰り返してきた先輩だ。張は「まさか同じユニホームを着ることになるとは。(移籍決定後)速攻で連絡しました」と口元をほころばせた。溶け込みやすい環境であることは間違いない。
西武では新外国人のティノコ、平良と今季最優秀中継ぎ投手のタイトルを分け合った水上由伸投手、20ホールドの好成績を挙げた本田圭佑投手、森脇亮介投手らがいるブルペンで、より重要な役割を巡り争うことになる。新たな“オリエンタル・エキスプレス”になれる素材の張は、実に魅力的である。チームにとって平良の先発転向がプラスになるかどうかは、勝利の方程式の編成にかかっている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)