フランス・パリで開催された「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の男子シングルス決勝。 スタン・ワウリンカ(スイス)にとってそれは、ラケットを叩き折りたくなる類の日の一つだった。あるいは、自分の頭をそれで叩きたくなる類の…
フランス・パリで開催された「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の男子シングルス決勝。
スタン・ワウリンカ(スイス)にとってそれは、ラケットを叩き折りたくなる類の日の一つだった。あるいは、自分の頭をそれで叩きたくなる類の...。
日曜日の決勝でラファエル・ナダル(スペイン)にストレートで敗れたその日、2015年全仏チャンピオンのワウリンカにとって、何ひとつうまく機能していなかった。
「僕の側からいえば、最初から今日の僕はベストのプレーしていなかった。自分のショットの選択に躊躇があったと思う。僕はいくつかの理由から、常にはっきり決めきれず曖昧だった」とワウリンカはコメントした。
「理由の一つは、僕がナダルと対戦しているからだ。彼がいいプレーをしているために、彼と対戦するとき、この特有の疑念が頭に植え付けられるんだ。第二に、ふたたび自分のベストに至るため、ふたたび自信を得るため、これらの厳しい試合に勝つために、僕がここ数週間すごく努力してきたということ(不振から好調に移る過程にあった)。多くの理由が今日のスコアの要因となったが、でも主にそれは、彼がよりよいプレーをしていたためだ」
ナダルはわずか2時間のうちに第3シードのワウリンカを6-2 6-3 6-1のストレートで下し、圧倒的な強さを見せつけつつ、オープン化以降の時代で、同一のグランドスラム大会で10度優勝した初のプレーヤーとなった。
「テニス、自分がやったこと、彼がやったこと、僕がやるべきだったができなかったこと、僕が違うふうにトライすべきだったことなど、話せることは多々あるが、結局のところ、スコアはかなり明瞭にことを物語っている」とワウリンカは言った。
3つのグランドスラム・タイトルを獲ったワウリンカは、これまで一度もグランドスラム大会の決勝で敗れたことはなかったが、この日はクレーコートにおけるナダルのすぐれた能力に対する答えを見つけることができず、明らかに四苦八苦していた。
32歳のワウリンカは試合の間、自分の頭を数回ラケットで叩き、その一方で、第2セットでナダルに2つのセットポイントを与えてしまったあとには、ラケットを叩き折りもした。
「僕は解決策を見つけようとしていたんだ。僕はよりよいプレーをしようとトライしていた。自分がプレーしたかったテニスをプレーしようと努力していたんだ。何か違ったことをしようと頑張っていたんだ」とワウリンカは言った。
「でも、試合についてあまり語れることはない。タフな試合、タフな敗戦だったと思う。僕は史上最強のクレーコート・プレーヤーと対戦したんだ。彼は10度目の全仏オープン・タイトルを獲った。だから、それは途轍もなく大きなことだ」
議論の余地なきクレーの帝王と対戦したにも関わらず、その前の試合で世界1位のアンディ・マレー(イギリス)を倒したワウリンカは、大きな自信を胸に決勝に乗り込んできた。
また前哨戦のジュネーブで優勝していたワウリンカは、キャリア最多となる11試合連続でクレーコートでの試合に勝っていたのだ。
そして彼は、その調子をグラスコート・シーズンにも持ち込みたいと願っている。
「確かにこのスコアはよくないし、試合の戦いぶりもいいものではなかった。でも結局のところ全体的に見れば、ここ数週間には多くのポジティブなことがある」とワウリンカは振り返った。
「本当に多くの、たくさんのいいことがある。2、3週間前、僕はマスターズ1000の大会で勝つことができず、自分のベストのテニスができておらず、プレーするときには自分のテニスに多くの疑念を感じ、本当に落ち込んでいた。しかし3週間のうちに僕はジュネーブで優勝し、グランドスラム大会の決勝に進出した。だからこれは僕にとって大きなことだ。そのことは間違いない」(C)AP(テニスマガジン)
※写真は「全仏オープン」決勝でラファエル・ナダル(スペイン)にストレートで敗れたスタン・ワウリンカ(スイス)(撮影◎毛受亮介/テニスマガジン)