カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)は反ユダヤ主義的な思想をSNSで発信したとして、11月に出場停止処分を受けた。そ…

 カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)は反ユダヤ主義的な思想をSNSで発信したとして、11月に出場停止処分を受けた。その副作用は大きく、長年ともに歩んできたナイキとの契約も失ってしまった。

 同選手は2014年にナイキと契約。両者はこれまで数々のシグネチャーモデルを発表し、現行契約は2023年10月までを予定していた。

 しかし、ナイキは『カイリー8』の一時発売中止からまもなく、「カイリー・アービングはもうナイキアスリートではありません」との声明を発表し、袂を分かつことに。アービングも報道後、「自由であること以上に尊いことはない」と語り、間接的にナイキに別れを告げていた。

 こうして、スニーカーマーケットには突如として大物フリーエージェントが舞い降りたわけだが、多くのブランドが早くもアービングとの契約に関心を抱いているもよう。『Bally Sports』は以下のとおり報じている。

「カイリー・アービングは先週、ニューバランスやプーマといったブランドからの注目を集めた。同時期にアービングと彼の代理人は、インディペンデントブランドのSIA Collectiveとも面会しているが、アービングと彼のチームの間では新規ブランドとの契約について、差し迫った決定はない。

「しかし、誰もが彼の動向を追いかけている。誰もが手を差し伸べており、その中にはアディダスなども含まれていると聞いている」


 ニューバランスとプーマは、NBAでの台頭が著しいブランドだ。前者はカワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)、デジョンテ・マレー(アトランタ・ホークス)、ジャマール・マレー(デンバー・ナゲッツ)といったタレントを抱え、今年3月にはザック・ラビーン(シカゴ・ブルズ)と契約した。

 また、プーマにもラメロ・ボール(シャーロット・ホーネッツ)、ディアンドレ・エイトン(フェニックス・サンズ)、RJ・バレット(ニューヨーク・ニックス)ら若手有望株が名を連ねているほか、2023年ドラフトの上位指名候補であるマイキー・ウィリアムズとも契約を結んだ。

 多くの有名ブランドが候補に挙げられているが、ポジション的な観点からはアディダスの開発力が魅力的に映るかもしれない。アディダスはジェームズ・ハーデン(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)やデイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)らトップクラスのPGを抱えており、多くの選手にシグネチャーシューズを提供している。

 同メディアいわく、アービングは新契約で高額の契約金を求めているだけではなく、公平性、クリエイティブコントロール、コミュニティへの影響力を求めているという。

 アービングがナイキとの契約解消後、最初の試合で着用したモデルはロゴをテープで覆った『カイリー 3』だった。テープには「俺は自由だ、ここにロゴをくれ」との宣伝もあったが、『カイリー 3』は過去にナイキでトップセールスを記録したモデルであることから、自身の影響力を誇示したとも推測できる。


 果たして、アービングの心を奪うのはどのブランドか。水面下では熾烈な争奪戦が繰り広げられているだろう。

 文=Meiji