戮力同心、全員野球の集大成で59年ぶり歓喜! 立教の栄光時代に向けてさらなる高みへ上り詰める 神宮の杜に王者の凱歌が響き渡った。『栄光の立教(同校校歌)』。まさに、黄金時代の到来を告げるかのような横綱相撲で、決勝戦を制して59年ぶり4度目…

戮力同心、全員野球の集大成で59年ぶり歓喜!
立教の栄光時代に向けてさらなる高みへ上り詰める

神宮の杜に王者の凱歌が響き渡った。『栄光の立教(同校校歌)』。まさに、黄金時代の到来を告げるかのような横綱相撲で、決勝戦を制して59年ぶり4度目の大学日本一の座を射止めた。前回の優勝は1958年に同大会で連覇をして以来。その前年57年には日本野球界が誇るスーパースター・長嶋茂雄、さらには立教大史上最多の勝ち星となる36勝をマークした杉浦忠などを擁して2度目の栄冠を手にしている(初優勝は53年)。

立教大の半世紀ぶりの歓喜の瞬間を見ようと、この日、神宮球場に足を運んだ観客は1万2000人。球場内の貴賓室には母校の後輩にエールを送ろうと、巨人軍終身名誉監督・長嶋茂雄氏の姿もあった。偉大なるレジェンドの後押しもあってか、今日の立教打線は昨日の準決勝までの3試合とは打って変わって活発に動いた。

1点を追う1回裏に、一死満塁と一打逆転のチャンスを演出。すると、準々決勝で同点弾を放った5番・山根(浦和学院)が左前へ2点タイムリーを放って、2対1とゲームをひっくり返す。なおも走者を2人置いて、続く大東(長良)が国際武道大(千葉県大学野球連盟代表)の先発・伊藤将(横浜)の初球を捉えると打球は一直線にレフトスタンド中段へ突き刺さった。「前のバッターの熊谷や山根がつないでくれて勇気をもらったので、それに続いていこうと思ってバットを振ってなんとか打てました」。

投手陣も打線の援護にこたえる。先発・手塚(福島)は初回こそ相手打線につかまって先制点を許すなど本来の出来ではなかったが、5回途中6安打2失点と要所を締めるピッチングであとをスーパールーキーに託した。5回表、一死一二塁の場面でマウンドに上がった中川(桐光学園)。今大会3試合目の登板で疲労がピークでもおかしくない状況だったが「人生最後の試合だと思って投げました」と、渾身の投球で最初の打者を見逃し三振、続くバッターを一邪飛とわずか5球で料理して見せた。中川の投球術は、打線がさらに4点を追加して大量援護を受けるとさらに冴えわたる。8回まで打者11人に対して2安打3奪三振と抜群の安定感を誇った。

そして、9回二死走者なし。中川がサブマリンから投じた外角低めの51球目。力のない打球が自らの前に転がって軽快なフィールディングで捕球し、送球が一塁手・飯迫(神戸国際大附)のグラブに収まった。その瞬間に立教ナインが中川のいるマウンドに一目散に駆け寄り、あっという間に歓喜の輪ができた。春のリーグ戦では味わうことができなかったグラウンド上での優勝を、まさに「戮力同心(りくりょくどうしん)」で心と体の力を結集して、全員野球で勝ち取った瞬間だった。

悲願の大学日本一をつかみ、自らの手で溝口監督を5度胴上げ。時にはプレーで、時には言葉でチームを引っ張った熊谷キャンプテンが激戦を振り返る。「日本一になるのが自分たちの夢だった。今日もスタンドにたくさんの方が応援に来て頂いていますが、そういう人の支えがあったからこそ達成できた。秋はさらに成長姿を見せていきたい」と、さらなる高みへチームを押し上げる覚悟だ。その思いこそが、栄光の立教時代の始まりなのかもしれない—。


【第66回 全日本大学野球選手権大会・決勝】
国際武道大2-9立教大
勝ち投手:中川
負け投手:伊藤将
本塁打:立教大・大東(2号)

【立教大学の表彰選手】
最高殊勲選手賞:大東孝輔(長良)
最優秀投手賞:中川颯(桐光学園)