激闘来たる! カタールW杯特集サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー~Question ウパメカノがパスを受けてから…

激闘来たる! カタールW杯特集

サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー~

Question 
ウパメカノがパスを受けてから、フランスはどのように崩したか?

 カタールW杯ラウンド16、フランス対ポーランドが行なわれ、3-1でフランスが勝利。前回王者がポーランドに力の差を見せつけて、準々決勝へと駒を進めた。

 フランスは前半からアントワーヌ・グリーズマン、アドリアン・ラビオを中心に主導権を握り、キリアン・エムバペとウスマン・デンベレの強力な両翼の突破力で、ポーランドの守備を押し込んだ。
 
 そして44分にオリヴィエ・ジルーが先制点を奪う。後半に入り、29分にカウンターからエムバペが加点すると、アディショナルタイム1分にも追加点を挙げて勝負あり。ポーランドは最後にPKでロベルト・レバンドフスキが1点を返すも、3-1でフランスの快勝となった。

 今回は、ジルーの先制点の場面を取り上げる。

 前半44分、フランスがポーランドをペナルティーエリア手前まで押し込んだ場面。右サイドのデンベレから中盤に上がってきたダヨ・ウパメカノがボールを受ける。



ウパメカノが中盤に上がってボールを受ける。このあとフランスはどうやって相手を崩したか

 次の場面で、フランスはどのようにしてポーランドの守備を崩して得点したか、というのがQuestionである。

Answer 
エムバペが下がってパスを受け、前線のギャップに走り込んだジルーにスルーパス

 ポーランドの引いた守備陣に対し、見事にスペースを作り出したフランスが崩した場面だ。



エムバペが中盤脇のスペースに下りてパスを受け、前線のギャップに走ったジルーへスルーパス

 まずポイントは、フランスの両サイドバックが高い位置を取り、ポーランドの両サイドMFがDFラインまで押し込まれていることである。これによりポーランドは中盤が3人になり、中央の脇にスペースが生まれるようになっていた。

 フランスは、右サイドでボールを持ったデンベレが、上がってきたセンターバックのウパメカノにパスを通すと、次の瞬間に前線のエムバペが相手のピオトル・ジエリンスキの脇にできたスペースに下りてくる。

 この時、ジエリンスキはタイミング的にスライドが間に合わず、ポーランドはDFが対応するしかない。そこで釣り出されたのがマティ・キャッシュだ。そのキャッシュにつられてカミル・グリクもラインを上げてしまった。

 これによりポーランドの守備ラインに決定的なギャップが生まれた。次の場面で、そのギャップにすかさず走り込んだのがジルーである。

 エムバペはワンタッチで反転すると、素早くジルーへスルーパス。そして抜け出したジルーはこれを受け、左足シュートでサイドネットへ決めて先制点となった。

 一時は6人が並んだポーランドの守備ラインだったが、逆に中盤に空いたスペースをフランスが巧みに利用し、守備ラインにギャップを作って鮮やかに崩した。

 ポーランドを破ったフランスは、準々決勝でイングランドと対戦する。イングランドがここまで失点を許した相手は、初戦のイランのみ。強固な守備を相手に、王者フランスがどんな戦いを見せるのか注目である。