軸足と踏み出す足、下半身と上半身 反対向きに引っ張り合って出力 少年野球でも、中学や高校でも、多くの投手が憧れるスピード…

軸足と踏み出す足、下半身と上半身 反対向きに引っ張り合って出力

 少年野球でも、中学や高校でも、多くの投手が憧れるスピードボール。球速150キロを超える直球でメジャーでも活躍した楽天・田中将大投手は、下半身の使い方を大切にしている。中学3年生を対象にした野球教室では、「我慢」「骨盤」「脱力」といったキーワードを挙げてわかりやすく説明した。

 田中将は、4日に都内で開催された野球教室「マー君ラボ supportedミズノ」で、参加者から速い球を投げる方法を問われた。体はひとりひとり違うため「全ての人に合うとは限らない」とした上で、下半身の使い方をポイントに挙げた。

「体重移動が大切です。軸足でどれだけ我慢して力をためられるかだと思います」

 投球で重視する軸足は、右投手なら右足にあたる。左足を上げて踏み出す時に右足で地面を強く押し、できるだけ長い時間、右足に力を乗せてから左足へ体重移動する。田中将は、こう解説した。

「マウンドの傾斜に合わせて上半身が前に突っ込むと力は逃げてしまいます。軸足で我慢して間をつくります。軸足と踏み出す足、下半身と上半身で、それぞれ反対向きに引っ張り合うと力を出せます」

踏み出した足の着地は「かかとの内側から」

 体の部分で意識するのは、右投手の場合は右側の骨盤。ここに力をためる意識を持ち、骨盤をホームベースの方に押し出す感覚で左足に体重移動する。踏み出す左足は、かかとの内側から着地するイメージを持っているという。

 もう1つ、速い球を投げるためのキーワードは「脱力」だった。球速を出すには球に力を伝えることが必要だが、力みは逆効果となる。力を入れるほど球が速くなるわけではなく、入れ方が重要なのだ。田中は「どれだけ脱力できるか」と表現した。

 特に、上半身に力が入ると球に力が伝わらず、制球も安定しないという。投球フォームは下半身主導で、力を入れるのはリリース時の指先くらい。最大限の力を球に伝えるためには、力を出す瞬間までいかに力を抜くかが求められる。球速も武器の1つとして、日米で勝ち星を積み上げてきたマー君の言葉は、スピードアップを目指す小・中学生にもヒントとなる。(間淳 / Jun Aida)