藤井康雄氏が語るイチロー氏「24時間野球に取り組んでいた」 オリックスからメジャーリーグに羽ばたいたイチロー氏は、通算2…

藤井康雄氏が語るイチロー氏「24時間野球に取り組んでいた」

 オリックスからメジャーリーグに羽ばたいたイチロー氏は、通算282本塁打を放った“ミスターブルーウェーブ”藤井康雄氏にとってかわいい後輩だ。「ご飯に行ったり、よく連れていきましたよ」。だが、1994年に210安打を記録してイチローフィーバーが巻き起こってからは誘いにくくなったそうだ。「一緒に行くと、知らない人がいっぱい来てサインしてくれって収拾がつかなくなりますからね」。そんな中、印象に残っているのは、メジャー移籍後の神戸での自主トレでの会話だという。

 日本球界を飛び出して、メジャーを代表する選手になったイチロー氏について、藤井氏は「偉大になりすぎたよね」と笑みを浮かべた。でも先輩、後輩の関係はずっと継続している。シーズンオフに神戸で自主トレを行っていた際には時々、会いに出かけていたそうだ。そこでの会話は何かしら、楽しかったという。「彼はね、僕をおちょくってくるんですよ」と目を細めながら、その一例を挙げた。

「何年だったかは忘れましたけど、イチローに『藤井さんってヒット何本打ったんですか』って聞かれたんです」。2002年に現役を引退していた藤井氏が「1200ちょっとや(通算1207安打)」と答えると「何年やったんですか」とさらに質問され「16年」と回答。年平均にすれば75安打ちょっととなり「イチローは『ああ、僕、藤井さんの1シーズンのヒット、2か月で打ちますね』って言ってきたんですよ」。

バスケットシューズを見に新宿の街へ…グラウンドとは全く違う姿

 これに藤井氏は笑顔で「バカヤロー」と返したという。当時のイチロー氏は実際にそれを上回るペースでヒットを量産しており、自信の裏付けもあっての発言でもあったのだろう。「イチローで印象に残っているのはルーティンがしっかりしていることですよね。常に同じことを繰り返しやっていた。試合が終わったら、ベンチ裏でグラブとスパイクを磨いて上がってくるとかもね、とにかく24時間、野球に取り組んでいましたね」と懐かしんだ。

「そういえば、若い頃のいつだったか、新宿の靴屋に一緒に行ったこともありました。イチローがバスケットシューズを見に行きたいって言い出してね、あいつはそれを集めるのが趣味だったんでしょ。僕は全く興味がなかったんですけどね」。目を輝かせながらバッシュを見つめる、ユニホームを着ている時とは雰囲気も違う姿をよく覚えている。「技術論はあまりしなかったというか、できないという感じでした。感覚が違うと思ったしね」というが、チームメートとしてのイチロー氏との思い出もまた尽きない様子だった。

 そんな藤井氏には対戦相手にも印象深い投手はいる。1987年から2002年までの16年間の現役プロ生活。繰り広げた名勝負は数多い。「忘れられない相手はいっぱいいますよ。いっぱい、それぞれあります。各球団のエース級はみんなすごい投手でしたしね。一番を選ぶのは難しい」と話す。その中で、敢えて絞り込んで出てきた名前は3人。それは同郷の大先輩と、イチロー氏の好敵手でもあった2人のメジャーリーガーだった。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)