違法薬物の持ち込み容疑で今年2月にロシアの空港で拘留され、その後9年間の禁固刑を受け同国で服役中だったブリトニー・グラ…

違法薬物の持ち込み容疑で今年2月にロシアの空港で拘留され、その後9年間の禁固刑を受け同国で服役中だったブリトニー・グライナーが、日本時間12月9日(北米時間8日)に解放されたことが明らかになった。ジョー・バイデン米大統領は公式ツイッターアカウントで「少し前にブリトニー・グライナーと会いました。彼女は安全です。彼女は飛行機に乗っています。彼女は帰ってきます」とメッセージをソーシャルメディアに投稿し、グライナーがアメリカへの帰国の途に就いていることを明かした。
Moments ago I spoke to Brittney Griner.
She is safe.
She is on a plane.
She is on her way home. pic.twitter.com/FmHgfzrcDT
米国務省公式サイトにも、アントニー・ブリンケン国務長官のリリースとしてグライナー解放が発信されている。WNBAコミッショナーのキャシー・エンゲルバートも以下の声明を発表した。
「この10ヵ月間、私たちが心の中にブリトニー・グライナーを思わない日、考えない日はありませんでした。その思いが今、彼女が間もなく家族やWNBAの仲間たち、友人たちに再び迎えられることを知り、喜びの波と救いに変わりました。BGは普通では考えられないような勇気と尊厳を持って、計り知れず大きな困難に対面しました。WNBAはバイデン政権、特別大統領人質関連特使をはじめ、BGを取り戻す経過でそれぞれの役割を担った方々に対し、言い尽くせない感謝の思いを持っております。ポール・ウィーランさんをはじめ、不当に拘束されているすべてのアメリカ人ができるだけ早く帰還できることを望んでおります」
“There has not been a day over the past ten months where we all haven’t had Brittney Griner on our minds and in our hearts and that has now turned into a collective wave of joy and relief knowing that she will soon be reunited with her family, the WNBA player community, and her friends. BG has shown extraordinary courage and dignity in the face of enormous adversity. The WNBA is grateful beyond measure to the Biden Administration, the Special Presidential Envoy for Hostage Affairs, and all those who played a role in bringing BG home today. Our hope is that Paul Whelan and every wrongfully detained American will be returned home safely and as soon as possible.”
グライナーが現在所属しているWNBAのフェニックス・マーキュリーも、家族と呼ぶグライナーの解放を喜ぶ声明を発表している。
アメリカ政府はグライナーを取り戻すために、アメリカで服役中だった旧ソビエト社会主義共和国連邦の軍人で武器商人のビクトル・ボウトを明け渡した。複数のメディアが伝えるところでは、二人の囚人交換はUAEのアブダビ空港ですでに行われ、いずれも祖国に向かったとされている。ブリンケン国務長官のリリースでも、特別大統領人質関連特使ロジャー・カーステンの付き添いにより、グライナーが取り戻されたことが記された。
ただ、スパイ容疑で逮捕されいまだロシアで収監されている元海兵隊員ウィーランの解放には至っていないことから、アメリカ政府は全面的に喜びを示しているわけではない。ブリンケン国務長官の声明も、政府としてグライナーとウィーランのどちらかを選ぶような交渉ではなく、ロシアがウィーランに関してグライナーへの対応とまったく異なるスタンスにあることを明確にするなど、当事者の心情に配慮している。
グライナーは206cmの長身を生かした豪快なスラムダンクなどで注目を集める女子バスケットボール界のスーパースターだ。昨夏の東京2020オリンピックでも、アメリカ代表の一員としてチームトップの平均16.5得点(大会全体4位)を記録して金メダル獲得に貢献した。
祖国への帰還がかなったブリトニー・グライナー。まずは安全に家族に迎えられること、その後はあらためて活躍に期待したい(写真/©FIBA.Tokyo2020)
文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)