2018年のウインターカップ得点王・富永啓生は、現在NBAを目指してNCAAディビジョン1(アメリカの大学1部リーグ)の…

2018年のウインターカップ得点王・富永啓生は、現在NBAを目指してNCAAディビジョン1(アメリカの大学1部リーグ)のネブラスカ大学でプレーしている。今季の開幕戦では19得点を記録し、勝利に大きく貢献した。その富永選手に、初の召集となった今夏の5人制フル代表での経験について話を聞いた。



アメリカに戻り、NCAAのネブラスカ大で活躍している富永啓生

―― このオフに5人制のフル代表デビューを果たしました。まずはトム・ホーバスヘッドコーチ(HC)の印象を聞かせていただけますか?

富永啓生(以下、富永) オンコートでは厳しいですが、オフコートではとてもコミュニケーションがとりやすいタイプのコーチです。

―― 厳しい練習で知られるホーバスHCの合宿に参加した感想を教えてください。

富永 ミニバスでやるような基本的な練習が多いので驚きました。ドリブルからジャンプストップ、ピボット、レイアップといった練習を毎日かなりみっちりやりましたね。NCAAとFIBAでトラベリングのルールが違うので、そこに気をつけながら練習しました。NCAAだとゼロステップがトラベリングになってしまうんです。

―― 練習では誰とマッチアップしましたか?

富永 (西田)優大さんか須田(侑太郎)さんとマッチアップすることが多かったです。

―― 2人から学んだことはありますか?

富永 2人とも状況判断がすごくうまいです。優大さんはドライブの行き方がうまく、シュートだけではないのが強みだと思います。須田さんに関しては体がとても強いのでシュートがブレません。そういうところが参考になりました。

―― 短大から数えてアメリカで4シーズン目を迎えます。ネブラスカ大学のチームメイトと日本代表のチームメイトを比べてどのように感じますか?

富永 日本代表のチームメイトは、自分でやる時はやる、やらないときはやらないというメリハリがあります。でも、アメリカの選手は「俺がやる」という気持ちが本当に強いと思います。逆にそのメンタルはすごいなとも思います。アメリカの選手はどれだけ外しても打ち続けますが、日本人はシュートが入らないときは遠慮する部分があるので。

―― 富永選手は打ち続けるメンタルを持っているように思います。

富永 どちらかと言うと僕もそういうタイプですね(笑)。

【チャンスがあればいつでも日本代表でプレーしたい】

―― ネブラスカ大学と日本代表で、求められている役割に違いはありますか?

富永 どちらもシュートを決めることが求められています。違いとしては、日本代表はシュート以外のところ、例えばプレーメイクもやらせてもらえるのでありがたいです。ネブラスカではシューターポジションに入ることが多いですが、元々高校のときはずっとプレーメイクをしていましたし、自分としてはボールを持ったほうが生きるプレーヤーだと思っています。代表でプレーメイクをやれたことで感覚も戻ったので、ネブラスカでもトランジションなどでチャンスがきたときには積極的にプレーメイクしていきたいです。


――

 ワールドカップ予選とアジアカップを戦った感想を教えてください。

富永 ホーバスHCにアテンプト(シュート本数)の8割はスリーポイントでいいと言われています。逆に打たないと怒られますが、気楽に打つことができました。シュートに関してはより自信を深めることができたと思います。ディフェンスに関しては、ベースラインのケアやヘルプの出方などネブラスカと似ている部分が多いのでやりやすかったです。

―― アンダーの代表でチームメイトだった河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)と久しぶりに同じコートに立ってみて、いかがでしたか?

富永 河村は相変わらず異次元でした(笑)。とんでもないスピードのトランジションと、どこから来るかわからないパス。それに、あの身長(172cm)で世界を相手にプレッシャーをかけることができるディフェンスもすごいと思います。

―― 富永選手もアジアカップのオーストラリア戦では33得点をあげる大活躍でした。

富永 僕は強い相手になればなるほど燃えるタイプなので、自分の個性を出せたかなと思います。オーストラリアのような世界のなかでもトップに入るチームと2試合できて、いい経験になりましたし、1回目(ワールドカップ)より2回目(アジアカップ)のほうが個人的にもチーム的にもいいパフォーマンスを出せたので、自信につながりましたね。

―― 世界でもトップに入るチームというお話が出ましたが、オーストラリアのどのような部分に世界レベルを感じましたか?

富永 オーストラリアはサイズとフィジカルがあるだけでなく、技術もあるので厄介でした。NCAAでプレーしていることもあってオフェンスの時は、そこまで相手の身長を気にすることはなかったのですが、ディフェンスの時はうんざりでした(笑)。ただ、僕もこの夏はしっかりウエイトに取り組んで、体重も目標だった80kg台に乗せることができました。体のコンディションはいいので、オーストラリア戦の経験も生かしつつNCAAで、よりレベルの高いプレーができればと思っています。

―― 最後に、日本代表への意気込みを聞かせてください。

富永 日本の皆さんの応援をすごく感じますし、普段はアメリカにいる僕のプレーをお見せするチャンスでもあるので、日本代表としてプレーするのは大好きです。チャンスがあればいつでもプレーしたいと思っています。ワールドカップで代表に選ばれるためにも、まずは今季ネブラスカ大を勝利に導けるよう頑張ります。

profile
富永啓生(とみなが けいせい)
2001年2月1日生まれ、愛知県出身。身長188cm、体重81kg。
両親もバスケットボール選手という環境で、自身も幼少期からバスケを始める。桜丘高等学校では、3年時にウインターカップに出場し、準決勝で敗れたものの大会得点王とベスト5に選ばれた。高校卒業後の2019年にアメリカへ渡り、コミュニティカレッジ(短大)を経て、2021年から現在のNCAA1部に所属するネブラスカ大学で活躍し、NBAを目指している。日本代表は、今年7月にデビューを果たした。