フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の大会15日目(最終日)、男子シングルス決勝。 ラファエル・ナダル(スペイン)は、数字には強くないことを認めているが、もし決勝でナダルがスタン・ワウリン…

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の大会15日目(最終日)、男子シングルス決勝。

 ラファエル・ナダル(スペイン)は、数字には強くないことを認めているが、もし決勝でナダルがスタン・ワウリンカ(スイス)を倒せば、これまでの歴史的な数字が塗り替えられることになる。

 ナダルがタイトルを獲得すると、1968年のオープン化以降、男女を通じて一つのグランドスラム大会で10度のタイトルを獲得した初めての選手となる。さらに、ナダルのグランドスラム・タイトル獲得数が「15」となり、18度グランドスラム・タイトルを獲得しているロジャー・フェデラー(スイス)に次いで単独2位となる。

 金曜日に行われた準決勝で、第6シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を6-3 6-4 6-0のストレートセットで破ったあと、一つのグランドスラム大会で10度のタイトルを獲得する可能性について問いかけられたナダルは、「9から10になるのは、たった10%増えるだけだよ」と冗談交じりに答えた。

 4歳からナダルのコーチを務めるトニー・ナダル(スペイン)は、全仏オープン10度目のタイトル獲得についてはあまり重視していない。

「我々は、毎回これから戦う一試合に勝つことだけを考えている。次のタイトルを獲得することなんて考えたことはないよ。もちろん、この決勝で勝つことは特別なことだし、素晴らしいことだけどね」とトニーは答えた。

 ここまでナダルがまだ1セットも落としておらず、6試合を合わせても29ゲームしか落としていないことについて、「ここまでは本当にいいプレーをしている」とトニーは言った。

 ナダルの全仏での通算戦績は78勝2敗で、赤土での5セットマッチ全体の通算戦績は、101勝2敗となる。

「全仏の決勝でラファと戦うことは、もっとも大きなチャレンジだと思うよ。彼はクレーでもっとも強い選手なんだから。本当にタフな試合になると思うけど、決勝では、お互いにプレッシャーがかかるわけだからね。プレッシャーを感じないでコートに立つ人なんていないからね」と、2015年に全仏決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒したワウリンカは言った。

 ナダルの全仏決勝での戦績は9勝0敗ではあるが、2015年の全仏準々決勝ではジョコビッチに敗れ、昨年は3回戦を目前に左手首の故障のため棄権したため、ナダルが全仏決勝を戦うのは3年ぶりとなる。

 2015年全仏王者のワウリンカは右利きで、ナダルは左利きのため、ワウリンカが得意とするバックハンド・クロスはナダルのフォアハンドにボールがいくことになるため、決勝ではナダルの最大の武器となる重いフォアハンドのトップスピンとワウリンカの洗練された強烈な片手打ちバックハンドの戦いとなる。

 2014年の全豪オープン決勝では、ワウリンカがそのバックハンドでナダルを倒した(そのときナダルは背中の故障を起こしていた)。ワウリンカはそこでナダルに初勝利を挙げ、それ以前は12連敗していた。現在の両者の対戦成績はナダルから15勝3敗だ。

 スイス人としてフェデラーとともにツアーを長年戦ってきた遅咲きの32歳、ワウリンカの決勝進出は、1973年の全仏決勝でイリー・ナスターゼ(ルーマニア)に敗れた33歳のニコラ・ピリッチ(クロアチア)以来の決勝進出者として、44年ぶりの最年長記録となる。

 ワウリンカのグランドスラム大会の決勝進出はこれが4度目で、過去3度の決勝では、2014年全豪でナダル、2015年全仏と2016年全米でジョコビッチに勝利し、3勝0敗だ。

「すべての対戦相手に言えることではあるけど、スタンは強敵だよ。彼はカウンターの攻撃がうまいからね。彼はグランドスラム大会の決勝では全勝だし、ラファエルは、全仏の決勝では負けたことがない。どっちかが初めて負けることになるね」とトニーはコメントした。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「全仏オープン」大会最終日の6月11日、男子シングルス決勝を戦う第3シードのスタン・ワウリンカ(スイス/右)と第4シードのラファエル・ナダル(スペイン/左)