JBCFロードシリーズの最高峰リーグJプロツアーは、今年初開催となる愛媛県今治市でのクリテリウムで10月29 日、最終戦を迎えた。10月30日に国内外から7000名の参加者を招いて4年ぶりに「サイクリングしまなみ」が開催。この「今治クリテリ…

JBCFロードシリーズの最高峰リーグJプロツアーは、今年初開催となる愛媛県今治市でのクリテリウムで10月29 日、最終戦を迎えた。
10月30日に国内外から7000名の参加者を招いて4年ぶりに「サイクリングしまなみ」が開催。この「今治クリテリウム」は、イベント前日に多くの参加者を迎える今治市を舞台に、今治商工会議所設立120周年事業として開催された。四国で初めてのJプロツアーレースの開催となる。



しまなみ観光親善大使の道端カレンさんらを迎えたパレード走行

レース前には、今治市の徳永繁樹市長らを先頭にクリテリウムコースを1周するパレードライドが行われた。この日、設定された特設コースは、今治港に面した公道を用いたもので、1周1.4kmのショートサーキットだ。このコースを32周する44.8kmの設定で競われる。コース内には、500mほどの長いストレートが設定されているが、コーナーの数は12カ所にも上り、そのうち4カ所は減速と加速を強いられるテクニックを求められる種類のコーナーである。さらにコース後半は道幅が狭まる区間があり、集団はレイアウトに応じ、何度も引き伸ばされることになる。スピードの変化によるダメージが大きくなる集団後部に追いやられた選手たちが脱落し、人数は自然と削られていくことになるだろう。



リーダーの座を守り抜いた小林海(マトリックスパワータグ)の名がコールされる



徳永今治市長らを先頭に記念撮影

多くの観客を迎えたにぎやかな会場で、選手がスタートラインにつく。先頭には、故障もあったが、個人総合首位を守り切り、レッドジャージを着た小林海(マトリックスパワータグ)とマトリックスパワータグのメンバーらが並び、大きな拍手の中、スタートした。



スタートラインにつく選手



パレードラップで今治港横を走る

パレードラップとして設定された1周を終え、フラッグが振られ、リアルスタートが切られた。多くの観客を迎えての最終戦とあり、選手たちのモチベーションは非常に高く、ペースが一気に上がる。



集団のペースを引き上げる入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)

スピードが上がり、引き伸ばされた一列棒状の集団が駆け抜ける。後方では食らいつけなくなった選手の間に中切れが発生し、早くも隊列は千切れ、短くなっていった。



サーキットを埋める観客

高速でテクニカルなコースを走り続ける集団から、10周目に超ベテランのフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が単独で飛び出した。マンセボは10秒前後の差をつけて先行する。



フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が独走を始めた



集団の先頭に立ち、コントロールを始める愛三工業レーシングチーム

メイン集団はスプリント勝負に持ち込みたい愛三工業レーシングチームがコントロールに入るが、単独で走るマンセボとの距離が縮まらない。それどころか、中盤から終盤にかけて、その差はジリジリと広がっていった。



衰えぬペースで、マンセボが集中を切らさず独走を続ける



長く伸びた集団。先頭は変わらず愛三工業レーシングチームが占める

※独走するマンセボ!追う集団!勝利を手にするのは……!?

残り5周となる29周目、痺れを切らせた入部正太朗を先頭に、弱虫ペダルサイクリングチームらがメイン集団先頭に集まってペースアップを図る。これをきっかけに先行するマンセボとの差が縮まり始めた。



追う集団を寄せつけず、単独で先頭を走り続ける驚異のベテラン、マンセボ



集団の先頭に立ち、ペースアップを図る弱虫ペダルサイクリングチーム

マンセボは衰えぬペースで、淡々とペダルを踏み込み続ける。残り2周までに差は6秒まで縮まったものの、コーナーの多いレイアウトが集団に不利となったか、最終周回に入っても、思うようにマンセボとの差が詰まらない。46歳を迎えたマンセボは、レースの3分の2を単独で逃げ切り、今シーズン最後のレースを独走優勝で手中におさめた。



集団から単独で逃げ切り、マンセボがガッツポーズでフィニッシュラインを越える

2秒後に集団が飛び込み、スプリンター 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が2位、小森亮平(マトリックスパワータグ)が3位表彰台を獲得している。
マンセボは、この日、自分の調子が良いことを感じていたという。「難しいコースだったため、複数で行くよりは、ひとりで行った方がいいと判断した」と独走の理由を語った。集まってくれたファンや、チーム、レース関係者への感謝の言葉を重ね、インタビューを締めくくった。



上位3名の表彰式

今大会をもって、Jプロツアーの2022年シーズン全18戦が終了。年間の表彰が行われた。



個人総合優勝の小林海

リーダージャージは小林海が守り切った。無敵の強さを誇ったシーズン前半から一転、体調不良や腰の故障に悩まされ、思うように走れない時期が続いているという。シーズンオフに静養し、また来季の活躍を期待したい。
U23首位は、一時は失った首位の座を奪還した山本哲央が守り切った。今年はさらに一段成長を遂げた一年だったように思う。



チーム総合の表彰式。2位の弱虫ペダルサイクリングチームは後半にすばらしい追い上げを見せた

チーム総合は、小林、マンセボを擁し、ホセ・ビセンテ・トリビオ、レオネル・キンテロら、勝利を挙げ続けたメンバーが所属するマトリックスパワータグが、次点の弱虫ペダルサイクリングチームの倍近いポイントを獲得し、優勝を決めた。
年間総合ポイントにより個人総合順位上位3名と、チーム総合順位上位3チームがステージに上がった。かつては、大きなイベントで、サポーターたちの祝福を受けながらの表彰であったが、新型コロナウィルスの感染拡大以降は、表彰式は実施されておらず、この表彰式も3年ぶりとなった。



青空の下、華やかに開催された表彰式

華やかな「サイクリングしまなみ」の会場ステージを使い、美しい青空の下で開催された年間表彰式。選手、スタッフ、サポーターの皆に、感慨深いものがあったことだろう。集まったサポーターたちは、惜しみない拍手を送り、健闘した選手を称えていた。このレースで、2022年のJプロツアーも終了。新型コロナウィルスの感染拡大が深刻な時期でも、レース開催の方法を模索し続けてきたJBCFロードシリーズだが、今年は観客も復活し、終盤になるにつれて、会場のにぎわいも戻ってきた感がある。今年は新規開催のレースも多く、リーグの発展も感じられた。また来季にどのような展開があるのか、期待したい。

***************
【結果】Jプロツアー第18戦・今治クリテリウム
1位/フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)1時間7分29秒
2位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)+2秒
3位/小森亮平(マトリックスパワータグ)+2秒
4位/草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)+2秒
5位/寺田吉騎(LEOMO Bellmare Racing Team)+2秒
6位/横山航太(シマノレーシング)+2秒

【個人総合優勝】
小林海(マトリックスパワータグ)

【U23個人総合首位】
山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)

【チーム総合優勝】
マトリックスパワータグ

画像提供:JBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)

***************
【Jプロツアー2022・レポート】
Jプロツアー第16戦&17戦・かすみがうら2連戦
Jプロツアー第15戦・まえばし赤城山ヒルクライム
Jプロツアー第14戦・群馬CSCロードレース9月大会DAY2
Jプロツアー第13戦・群馬CSCロードレース9月大会DAY1
Jプロツアー第12戦・南魚沼ロードレース
Jプロツアー第11戦・南魚沼クリテリウム
Jプロツアー第10戦・第1回古殿ロードレース
Jプロツアー第9戦・石川サイクルロードレース
Jプロツアー第8戦・石川クリテリウム
Jプロツアー第7戦・東日本ロードクラシックDAY2
Jプロツアー第6戦・東日本ロードクラシックDAY1
Jプロツアー第5戦・群馬CSCロードレース4月大会DAY2
Jプロツアー第4戦・群馬CSCロードレース4月大会DAY1
Jプロツアー第3戦・西日本ロードクラシック広島大会DAY2
Jプロツアー第2戦・西日本ロードクラシック広島大会DAY1
Jプロツアー開幕戦!播磨中央公園ロードレース