サッカー日本代表のカタールでの冒険はベスト16で終わった。グループリーグ3試合ではドイツとスペインを破るなど躍進を見せ…
サッカー日本代表のカタールでの冒険はベスト16で終わった。グループリーグ3試合ではドイツとスペインを破るなど躍進を見せたが、それをベンチから見守っていたのがGKシュミット・ダニエルだ。一つしかない特殊なポジションのため、フィールドプレイヤーとはまた違った出場機会となる。
それでも、この本大会を前に行われた9月のドイツ遠征では活躍を見せていた。GK権田修一が負傷交代したアメリカ戦で途中出場すると、先発ではない難しい状況でも安定した好プレーを連発。続くエクアドル戦では、スコアレスの状況でPKをセーブしており、もともとあった先発待望論はさらに強まった。
そんな世間の空気とは対照的に、シュミットは別な気持ちを持っていた。
「予選を守り抜いたのは権ちゃん(権田修一)だったから、その2試合でどんなに感触が良くても試合に出れるとは思ってなかったです。」
さらに、「予選を守ってきてここに連れてきてくれた立役者なので、権ちゃんが守るのが必然」とも続けた。このように淀みなく話したのには、ワケがある。
「(W杯)最終予選のあのプレッシャーを経験して、そこを勝ち抜くために貢献しないと、W杯本番のプレッシャーというのは耐えられないんじゃないかなと思います」
■「虚しさがこみあげてくる瞬間もあった」
とはいえ、強い悔しさを当然、抱えている。今大会で「個人的に何も残せなかった」と振り返るシュミットは、試合が終わるたびに一人になると、「虚しさがこみあげてくる瞬間もあった」という。そして、「ということは悔しいということなんですけど、この悔しさを糧にして、次のW杯のピッチに立ちたいなという思いは強まった」と、決意を新たにする。
だからこそ、日本代表が目指す“新たな景色”へと意識は向いている。「結果だけを求めて戦った今大会だからこそ、ここまでこれた。ベスト16の壁を超えるには、サッカーのやり方を変えるかどうかは、まだ正解が分からない」とあくまでフラットに捉えつつも、「次のW杯までにいろんな国と対戦しながら、できるだけ早くスタイルを見つけるべき」と、話すのだ。
戦術的な進化が早い現代サッカーだけに、4年後はどうなっているか分からない。だからこそ、今のやり方だけでなく、時間をかけて最適解を探していくべきというのだ。
また、世界的なGKを間近に見たことで感じたこともあった。
「シュートストップとかに関しては、海外のGKもイージーなボールもけっこう(点を)奪われているなとは思った。そこにフォーカスすれば、海外のGKが美化されすぎている気がするんで。多分、そんな大きな差がないかなということも感じてて。(日本と世界の)その差は縮まってきているのかな」
自信は確信に変わりつつある。
■「ずっとポテンシャル、ポテンシャルと言われ続けて気付いたら30歳になってるんで(笑)」
4年後に日本代表を勝たせるGKの座を掴むために必要なことを、自身に課す。
「ヨーロッパで結果を出すことじゃないですかね。それが絶対に必要なわけじゃないですけど、たとえば(鎌田)大地みたいにELを獲るとか、目に見えたタイトルを獲ったGKって日本人でなかなかいないと思うんで、世界にアピールできるような結果を残すことができれば、4年後のW杯というのは近づいてくるかな」
シュミットの強みは高身長を生かした守備範囲の広さと、フィールドプレイヤーと一緒にビルドアップに参加できることだ。ドイツ遠征でも、最後尾からの正確なフィードで見ていた人をうならせた。
その滞在能力に期待する声は多いが、「ずっとポテンシャル、ポテンシャルと言われ続けて気付いたら30歳になってるんで(笑)、どうにか、ポテンシャルを発揮できないまま終わったってならないように、頑張りたいなと思います」。
シュミットのJリーグでの最後の試合は、ユアスタで鹿島アントラーズに大敗したゲームだった。その悔しさもバネに、今はベルギーで守護神の座を掴んでいる。カタールでの悔しさを、2026年に北米で晴らす。