「やってきたことをやろう! ここ楽しんでけ!」 インカレ開幕3日目となった12月5日、広島大(中国2位)と九州産大(九州…

「やってきたことをやろう! ここ楽しんでけ!」
インカレ開幕3日目となった12月5日、広島大(中国2位)と九州産大(九州4位)による男子グループステージGの試合。4Q残り2分、緊迫した接戦が続く中でそんな声がベンチから飛んだ。
声の主は広島大のキャプテン兼学生コーチ#17山本草大。かつて玉島北中時代にはジュニアオールスター優勝や全中準優勝を果たし、福岡大附大濠高でもキャプテンを務めた経歴を持つ選手だ。大学卒業後は選手を引退して指導者に転身する予定で、今シーズンからプレーヤーとヘッドコーチの2足のわらじで広島大を引っ張っている。
選手兼監督といえばリアル藤真健司(漫画『SLAM DUNK』のキャラクター)のようだが、それを伝えると「そんなスマートじゃないです! 頭パンクしそうですよ」と笑う#17山本。プレーに集中することと指揮を執ることの両立は、言葉で言うほど簡単ではないようだ。
「現状の把握、解決策の考案、実行がコーチの仕事だと思っているのですが、シーズン前半は自分のプレーヤーとしての意識が強くなり過ぎて、現状把握などが遅れてしまっていました。でもインカレ予選では、逆にコーチの意識が強くなり過ぎ、プレーが消極的になってしまって…。そのバランスにはこの1年間ずっと苦労してきました」
ただ、さまざまな苦労を経験してきたからこそ「やってきたことには本当に自信がある」とも自負する。インカレ予選の反省を受けて「プレーヤーとしてコートに出ているときには思い切ってやらなければいけない」という原点に回帰し、「今は自分のコーチとしての現状把握が多少遅れても、崩れないような工夫をしています」。例えばベンチメンバーも含めて選手一人一人が主体的にゲームの流れを把握するよう意識し、コート内外でコミュニケーションを密に取ることで、現状把握の遅れを補っているようだ。
こうして選手主体でチームを作り上げ、満を持して迎えたインカレ。その初戦となった今回の九州産大戦は、両チーム非常に重い立ち上がりとなり1Q 8 - 6。そこから相手の連続3Pシュートなどで2Qに逆転を許し、3Q序盤には一時8点差を付けられる苦しい展開だった。それでも「自分たちには高さも能力もないので、頭を使ったチェンジングのディフェンスや声を出すこと、我慢強く粘ることなどを徹底しました」と、ディフェンスとリバウンドで粘って要所でブレイクに走り、3Q後半から広島大が流れを掌握する。そのまま4Qも僅差のリードを守り切り、最終的には64 - 58で勝利。長年インカレでの初戦敗退が続いていた広島大にとって、悲願の白星獲得となった。
続くグループステージの2戦目は北陸大(北信越1位)が相手となる。「今日の試合の出来にはみんな恐らく満足していないと思うし、逆に言えば僕自身も明日の試合が楽しみです。もっと面白いバスケットができると思います。とにかく泥臭く、思い切り良く、楽しむ。このインカレが泣いても笑っても最後なので、本当の広島大らしさを残せたらなと思っています」と#17山本は意気込みを語っていた。

取材・文・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

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