◆第66回全日本大学野球選手権大会◆
6月10日 準決勝 対東海大北海道 明治神宮野球場

タイブレークの末に天理大を破り、頂点まであと2つとした立大。準決勝で迎え撃つは初戦で東都王者の東洋大に勝利するなど今大会のダークホースとなっている東海大北海道。試合は両先発の壮絶な投手戦となり、テンポよく進んでいった。打線はこの日合計2安打。それでも勝利を手繰り寄せたのは、エースが見せた快投だった。

先発した田中誠(コ2=大阪桐蔭)。初戦の富士大戦で指のマメがつぶれた影響もあり、調子はよくなかった。しかし、そこはエース。溝口監督が「リーグ戦を通じて粘り強くなった」と目を細めるように、球が走らなかったとしても、投球術で抑えていく。特に意識したのはテンポよく投げること。捕手からの送球を受けてからすぐに投げるイメージで投げ込みなど投球を工夫していった。この日は変化球が多めの配球。その中でもチェンジアップを多投した。「相手が嫌がっていたのがわかった」というように打者のタイミングを狂わせる。5回までに出したランナーは2人のみと、完璧な投球でマウンドを支配した。

田中誠を援護したい野手陣であったが、相手の先発左腕、太田(4年=駒大苫小牧)の前に苦しんだ。1回は失策に犠打を絡めるなど1死満塁のチャンスを作る。5番山根(営4=浦和学院)が放った三塁際のゴロが相手のミスを誘い、先制に成功した。その後は2回に今大会初めてスタメン起用された髙取(コ4=日大二)がチーム初安打を放った以外は、8回まで無安打に抑えられた。しかし、打てずとも守備で田中誠を盛り立てた。遊撃手・熊谷(コ4=仙台育英)のダイビングキャッチや、三塁手・笠松(コ4=大阪桐蔭)の再三の好守などで試合の流れは渡さなかった。

6回からは常に得点圏に走者を置く我慢の投球が続いた。球速が120㌔台まで落ちるなど疲れも見えたが、リーグ戦で数々のピンチをしのいできた左腕を懸命に振って抑えた。8回途中までに被安打3無失点。エースとしての責任を果たし、投げ込んだ110球であった。後を受けたのは準々決勝で完璧なリリーフを見せた中川(コ1=桐光学園)。首脳陣からも絶対的な信頼を寄せられる1年生クローザーがまたもチームを救う。2死一三塁、この日最大のピンチを中飛で打ち取った。9回も連続三振で簡単に2死を奪う。決勝まであと1アウト。三塁ファウルゾーンに上がった打球。笠松がフェンスにぶつかりながらもつかみ、試合終了。立大ファンで埋め尽くされた三塁側スタンドは大歓声に包まれた。

「この状況で2安打の1-0で勝てるというのは、チーム力の底上げがないとできないこと」(溝口監督)。六大学を制した粘り強く勝ち抜く野球は全国の舞台でも通用している。打てなくても投手が抑えて勝つ。これも一体感を掲げてきた賜物なのかもしれない。ついにここまで来た。最後まで「剹力同心」を貫いて、勝つ。日本一まであと一つだ。

(6月10日 渡邉紘也)

コメント

溝口監督♯30

「『1点を守り切って勝てたということは苦しい試合を勝つためにやってきたことの成果だから、前向きに捉えていこう』という話をしました。投手陣は調子の良し悪しではなく、そのときの状態やケースに応じて対応できるようになったのではないかなと思います。中川はリーグ戦を通じて投げてきてもらっているので、特別なことは考えずスイッチしています。(前回の全日本出場は)遠く昔のことに感じるので意識はしていないですけれど、日本一まであと1勝という局面はなかなかないので、これまでやってきたことを出せるように準備をしろという指示をして、今日は終えようと思います。」

8回途中無失点と好投した田中誠♯11

「大事なところで先発させてもらえて、相手も今日まで打ってきていたチームだったので、相手のデータや、バッターの動画を見て自分のイメージを膨らませて臨みました。今日はテンポを良く投げることを意識しました。タイミングをずらすことが一番楽に抑える方法ですし、球数も減らせるのでそういうところも考えてやりました。明日が終わったら休めるので明日も投げるつもりで頑張ります。」

8回から好救援をした中川

「誠也さん(田中誠)が8回途中まで頑張ってくれていて、それに合わせて自分も頑張ろうと、0に抑えることだけを考えてやりました。プレッシャーが自分の力以上のものを引き出してくれるので、それが自分の持ち味だと思います。ピンチの場面は、置きにいって打たれるより腕を振って投げて打たれる方が悔いは残らないと思うので、とにかく腕を振ることを考えました。」