カタール・ワールドカップに出場しているアメリカ代表を、大統領が激励した。訪れたのは自国ではなく他国の大統領だったのだが…

 カタール・ワールドカップに出場しているアメリカ代表を、大統領が激励した。訪れたのは自国ではなく他国の大統領だったのだが、世界中から祝福の声が寄せられている。

 アメリカ代表は、前回ロシア大会の舞台に立てず、32年ぶりにW杯出場権を逃していた。

 2大会ぶりに世界の檜舞台に帰ってきたアメリカ代表は、意欲もひと際強かったことだろう。それでも世界で勝利を手にすることは簡単ではなく、初戦は1-1でウェールズと引き分けた。25日の第2戦は、初戦でイランから6ゴールを挙げたイングランドと対戦。優勝候補にも挙げられる相手だったが、ゴールを許すことなく2試合連続で勝点1を手にしていた。

 イランとの最終戦を前に、アメリカは3位につけていた。逆転でグループステージを突破するには、勝利することが必須条件となっていた。

 引き分けでも他会場の結果によっては突破が決まるイランを相手に、試合開始から果敢に攻めた。屈強な選手たちが守るゴール前はなかなか崩せなかったが、前半38分、中央からゴール右へ出されたミドルパスをセルジーニョ・デストが頭で折り返すと、ファーサイドでクリスティアン・プリシッチが体ごと押し込み、先制点とした。イランが選手やシステムを変えて反撃してきたものの、1点差を守り切り、アメリカが逆転でラウンド16へと進んだ。

 この殊勲者たちを、プレジデントが迎えた。ただし、アメリカのジョー・バイデン大統領ではない。リベリアのジョージ・ウェア大統領だった。

 さらに、この瞬間は大統領ではなく、”父”だった。両手を広げて迎えたのは、アメリカ代表の一員で、大統領の息子のティモシー・ウェア。誇らしい息子を、妻とともに祝福しに来たのだ。

 ウェア大統領は元プロサッカー選手で、ミランなどで活躍した。1995年には、アフリカの選手として初めてバロンドールを受賞し、「リベリアの怪人」などと呼ばれた。引退後は政治家へと転身。2018年にはリベリアの大統領に就任した。

 クラブレベルでは多くの栄光を手にしてきたが、内戦に苦しむ国の代表チームでは輝くのは難しかった。だが、世界の舞台で活躍するという夢を、息子がかなえてくれたのだ。

■「ついにウェアがW杯に足跡を残した」

 アメリカ代表チームやFIFAが、ウェア親子が喜びを分かち合う様子をSNSで紹介すると、称賛のコメントが相次いだ。

「父として、息子として」
「ついにウェアがW杯に足跡を残した」
「1995年の世界最高選手と、未来のタレント」
「リベリアの大統領と、アメリカのヒーロー。父と息子」

 ジョージ・ウェア大統領は75試合ものAマッチに出場したが、W杯への出場歴はない。この激励はその意味でもファンを喜ばせることとなった。

 アメリカ代表は現地時間3日、オランダ代表とラウンド16を戦う。勝ち抜けば5大会ぶりとなるが、ウェアは偉大な父をしのぐ輝きを放つことができるだろうか。

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