自転車ロードレース「三菱地所 JCL プロロードレースツアー2022」の第11戦となる「山口ながとクリテリウム」が10月29日、山口県の長門市白潟地区特設公道クリテリウムコースで開催された。今季のこのリーグは、山口で開催される2レースで幕を…

自転車ロードレース「三菱地所 JCL プロロードレースツアー2022」の第11戦となる「山口ながとクリテリウム」が10月29日、山口県の長門市白潟地区特設公道クリテリウムコースで開催された。今季のこのリーグは、山口で開催される2レースで幕を下ろす。



山口県長門市の風情ある特設コースで開催

個人総合首位は小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が守っており、その証であるイエロージャージを着用して最前列に並んだ。小野寺はスプリント賞首位のブルージャージも保有している。U23首位のホワイトジャージは、渡邊諒馬 (VC福岡)が守っている。



「道の駅センザキッチン」からパレード走行がスタート

この日のスタートは「道の駅センザキッチン」前に設定された。選手は定刻の10時15分にスタートし、パレード走行へと入った。
リアルスタートが切られると、強風を受けながら選手が、いっせいに飛び出して行った。



パレード区間を終え、周回コースに入る

集団スプリントで勝負するより、抜け出して勝機を狙いたいというチーム右京は、序盤から果敢に仕掛け続ける。この日は、ベテラン中島康晴(キナンレーシングチーム)がラストレースを宣言しており、中島のスプリント勝利を目指す動きなのか、キナンレーシングチームは集団の先頭を固め、レースをコントロールする動きに入った。キナンが封じ込めるために、大きな動きが生まれない。



アタックがかかるが、キナンレーシングチームのメンバーが捕らえに動く



チーム右京などが積極的な動きを打ち出していく

最初のスプリントポイントを狙い、バトムンク マラルエルデン(レバンテ富士)が飛び出し、スプリント賞争いは先頭で通過。だが、ここからも大きな動きは生まれなかった。
この後も、次々選手が飛び出すが、なかなかまとまった動きにならず、強風の影響もあり、逃げが決まらない。

2回目のスプリントポイントを前に再び数名が飛び出し、孫崎大樹(Sparkle Oita Racing Team)が獲得。この後も目立った動きは生まれなかかった。



スプリントポイントは孫崎大樹(Sparkle Oita Racing Team)がわずかに先行、獲得した

先頭をキナンレーシングチーム、スパークルおおいたレーシングチームなど、不安定要素を押さえ込み、スプリント勝負に持ち込みたいチームが固まっていたおり、後半に入っても、新しい動きを生み出すことができない。違う展開に持ち込みたいチーム右京は、代わる代わるに飛び出し、波状攻撃を仕掛けるが、どの動きも決まらない。



集団からの抜け出しを図るベンジャミン・ダイボール(チーム右京)。集団は攻撃と吸収を続ける

このまま終わるのかというムードが漂い始めた頃、逃げのプロフェッショナル、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)がパワフルなアタックを繰り出した。



キレのアタックを繰り出す阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)

この飛び出しに反応し、各チームの主要メンバーが一気に前方に動いた。ペースが上がり、集団は長く伸び、分断が生まれてくる。

※フィニッシュラインは横一線!大接戦を制したのは……!?

このまま集団ができるかとも思わせたが、多くのメンバーが一気に動いたため、先頭集団を作るメリットがなくなり、じわじわと大きな集団に戻った。



阿部を捕らえる集団



ペースが上がり、長く伸びる集団

この隙をつき、ベンジャミン・ダイボール(チーム右京)が飛び出した。このまま3回目のスプリント賞を獲得、そして、独走態勢に入った。まだ10周回を残しているものの、ダイボールは先頭を走り続ける。



パンクし、停止を余儀なくされる小野寺。ルールにより、次の周回通過時に復帰することが許されている



この隙をつき、ベンジャミン・ダイボールが飛び出した



ダイボールを追い、ペースアップする集団

キナンレーシングチームが、ダイボールを追う。だが、ダイボールが刻むスピードが極めて速く、10秒弱の差がなかなか縮まらない。



ダイボールを追う集団



逃げるダイボールの背後に集団が迫る

ラスト1km、ようやくキナンがダイボールを捕らえた。この時点で集団はすでに半分以下のサイズにまで絞り込まれていた。ここからスプリント勝負に向けての位置取り合戦が始まった。
絶妙なタイミングでベンジャミン・プラデス(チーム右京)と阿部がアタック。ここまでの牽引に力を使い果たしたメンバーは再度の追走は難しく、2名は集団からの差を一気に開いて行く。
勝負を担うスプリンターたちは瞬時に反応し、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、孫崎、沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)、中島康晴らが飛び出し、2名を追った。



小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)を先頭にホームストレートにスプリンターたちが飛び込んでくる

巧みなコーナリングで先頭に飛び出した小野寺が、そのままゴールを目指す。孫崎、沢田が食らいつき、3者がサイドバイサイドに並び、ほぼ横一線のまま、フィニッシュラインを越えた。



小野寺と孫崎大樹、沢田桂太郎が横一線に並びフィニッシュラインに飛び込む

映像判定の結果、後方から鋭い伸びを見せた沢田がわずかに先着しており、今季2勝目を飾った。小野寺は2位に入り、さらに自身のリーダージャージを着る資格を証明する結果になった。

優勝した沢田は、しばらく勝ったことが理解できなかったようだが、優勝の一報を聞くと、チームメイトと勝利を大いに祝福し合っていた。インタビューでは、喜びを抑えきれない様子で「勝てて良かったです」とコメント。フィニッシュ前にはトラブルがあったそうだが、対処することができたという。「2位の小野寺選手のスピードを利用できたことと、風を受けにくい位置からスプリントを開始することができたのが勝因だった」と自らの走りを振り返った。

リーダージャージの小野寺は、チームの状態も万全ではなく、リーダージャージを着ての最終戦ということで、大きなプレッシャーを背負って臨んだレースだったようだ。非常に難しいレース、難しい展開だったと振り返り、2位になった悔しさもにじませたが「まずはレースを無事に終えられたことにホッとしている」と、穏やかな笑顔で語った。

この日がラストレースとなった中島康晴は、展開に恵まれず、6位に終わった。表彰台には上れなかったが、晴々とした笑顔で、チームメイトやファンへの感謝を語っていた。
翌日は山口県内で開催されるロードレースが控えており、これが今季このリーグの最終戦となる。

***************
【結果】JCL第11戦・山口ながとクリテリウム
1位/沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)1:10’21”
2位/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)+0’01”
3位/孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)+0’01”
4位/プラデス ベンジャミン(Team UKYO SAGAMIHARA)+0’02”
5位/阿曽圭佑(ヴィクトワール広島)+0’02”

【JCL各賞リーダージャージ】
イエロージャージ(個人ランキングトップ)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

ブルージャージ(スプリント賞)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

レッドジャージ(山岳賞)
ネイサン・アール(チーム右京)

ホワイトジャージ(新人賞)
渡邊諒馬(VC福岡)

画像提供:ジャパンサイクルリーグ(JCL)

***************
(三菱地所JCLプロロードレースツアー2022)
JCL第10戦・那須塩原クリテリウム
JCL第8戦・高知県宿毛市ロードレース
JCL第7戦・キナン古座川ロードレース
JCL第6戦・コーユーレンティアオートポリスロードレース(第2戦)
JCL第5戦・コーユーレンティアオートポリスロードレース
JCL第4戦・広島トヨタ広島クリテリウム
JCL第3戦・広島トヨタ広島ロードレース
JCL第2戦・カンセキ宇都宮清原クリテリウム
JCL開幕戦!カンセキ真岡芳賀ロードレース