オプトアウト条項は明確に否定「そういう内容は入れていない」 DeNAの山崎康晃投手が29日、横浜市の球団事務所で契約更改…
オプトアウト条項は明確に否定「そういう内容は入れていない」
DeNAの山崎康晃投手が29日、横浜市の球団事務所で契約更改交渉に臨み、球団史上最長に並ぶ6年契約を結んだ。その1年目となる来季の年俸は、今季から2000万円増の3億円(金額は推定)。開幕前には、シーズン終了後メジャーへ挑戦すると心に決めていたと言う守護神に、球団はいかにして翻意させたのか。
山崎は今月26日に本拠地・横浜スタジアムで行われたファン感謝イベントで、ファンの前で「来季残留」を涙ながらに表明したが、「正直言って、前日まで悩んでいました」と明かす。ギリギリまで「果たして自分の夢に対する挑戦は、これで合っているのか?」と自問自答を繰り返していたと言う。
「僕の夢は、(メジャー挑戦から)日本のプロ野球で優勝することに変わりました」と語る通り、チームが1998年を最後にほぼ四半世紀遠ざかっているリーグ優勝が、ようやく現実味を帯びたことが残留の最大要因のようだ。
DeNAは今季、開幕3連敗を喫して出遅れ、7月3日には首位ヤクルトに今季最大の17.5ゲーム差をつけられた。ところが、8月にリーグ最高の月間勝率.750(18勝6敗)をマークするなど猛追。8月21日から4日間は、4ゲーム差に迫っていた。最終的に突き放され、8ゲーム差の2位で終えたとはいえ、展開次第では十分優勝を狙えることを実感したシーズンだった。
「今シーズンは1年間、本当に楽しかった。そこが残留の理由の1つです。毎日がワクワクするような日々でした」と山崎は振り返る。この結果は、球団の着実な戦力補強、監督・コーチ陣の充実、選手を後押しする観客動員への努力の賜物でもある。
宮崎と6年、桑原と4年…選手にとっては魅力的な長期契約
また、体が資本で常に大怪我のリスクが付きまとうプロ野球選手にとって、長期契約は大きな魅力である。DeNAは昨年も宮崎敏郎内野手と6年、桑原将志外野手と4年の長期契約を結び、2019年にも国内FA権を取得した伊藤光捕手と4年契約を結んでいる。今季開幕時点の支配下選手の平均年俸は3732万円で12球団中7位(日本プロ野球選手会調べ=外国人選手など一部を除く)だが、契約年数では比較的奮発している印象がある。
長期契約と言えば、田中将大投手が昨年1月に楽天と2年契約を結んだ際、本人がメジャー復帰を希望した場合には契約を見直すことができる「オプトアウト条項」が付いていた。DeNAファンにしてみれば気になるところだが、山崎はこの日の会見で「契約にそういう内容は入れていないです。途中でメジャーへ移籍する可能性はないと、(記事で)表現していただいていいと思います」と明確に否定した。
こうしてリーグ優勝に欠かせない守護神の流出を阻止したDeNA。昨季最下位から今季2位へ躍進を遂げただけに、山崎との契約期間内に──などと言わず、来季すぐ美酒に酔いたいところだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)