練習開始時間に選手そろわないのは“常識” 多賀少年野球クラブに密着 常識を疑うと可能性が広がる。滋賀・多賀少年野球クラブ…

練習開始時間に選手そろわないのは“常識” 多賀少年野球クラブに密着

 常識を疑うと可能性が広がる。滋賀・多賀少年野球クラブは練習の開始時間を厳守しない。前日の雨でグラウンドが柔らかい時は長靴で練習試合をスタート。少年野球の常識に捉われない辻正人監督の発想が選手の能力を引き出し、メンバーも約100人まで増えている。

 多賀少年野球クラブの練習開始時間に、全ての選手がそろうことはない。30分以上遅れても慌てる様子もなく選手はグラウンドに姿を現す。家族旅行で休む子どももいる。辻監督は笑顔で、こう話す。

「ディズニーランドに行くので、土日は休みますという選手もいます。練習を休むことがストレスにならないようにしています。厳守するのは練習の終了時間くらいですね」

 練習開始時間を「目安」にしているのは、選手たちはグラウンドまで保護者の車で来ているためだ。辻監督は「子どもには、どうしようもありません。親御さんも他のきょうだいがいたり、予定があったり様々な事情があるので、遅れても全く問題ありません」と語る。

ユニホーム以外で練習OK 長靴で練習試合は保護者の負担軽減が目的

 少年野球の常識に捉われないスタイルは服装にもある。夏場はTシャツに短パン姿で練習する選手も多い。辻監督自身もユニホームは着ない。さらに、雨が降った翌日の練習で地面が柔らかい時は、長靴を履いて練習や練習試合を行う時もある。辻監督は「保護者の負担軽減」と説明する。

「スパイクが濡れた時に汚れを落とし、新聞紙を中に詰めて乾かすのは保護者の仕事です。雨上がりは長靴にすればいいと思いました。練習試合の時は相手チームに『地面が乾いたらスパイクに履き替えるので、長靴でスタートするのをお許しください』と伝えています」

 いきなり長靴でプレーするのは難しいため、選手たちは長靴で動く練習をしているという。その他にも指導者が選手にサインを出さないノーサイン野球や、必要のない声は出さないスタイルは、少年野球の常識を覆す。一部から疑問の声が上がるが、多賀少年野球クラブは全国大会の常連で日本一の経験もある。競技人口の減少が叫ばれる中、メンバーは約100人まで増えている。

「上から教え込まれた人から見たら、非常識に映るかもしれません。ただ、今まで当たり前にやっていたことが不思議に感じることはあります。野球の常識を疑うことから始めると、可能性が広がると思います」と辻監督。選手が野球を好きになり上手くなる方法を探し続けている。(First-Pitch編集部)