米解説者が、ヤンキース田中将大投手の通訳がマウンドに上がることに疑念を呈し、後に謝罪した一件について、米紙が特集を組み、現場の声を伝えている。今回、記事を掲載したのはレンジャーズの地元紙「ダラス・モーニング・ニュース」電子版。同紙は米国出身…

米解説者が、ヤンキース田中将大投手の通訳がマウンドに上がることに疑念を呈し、後に謝罪した一件について、米紙が特集を組み、現場の声を伝えている。今回、記事を掲載したのはレンジャーズの地元紙「ダラス・モーニング・ニュース」電子版。同紙は米国出身以外の選手が数多くメジャーリーグで活躍している現状を指摘しながら「我々は未だに“言葉の壁”ついて話している」と嘆き、レンジャーズのバニスター監督が言語の違いについて「障害というよりも刺激になっている」と語ったことを紹介している。

■米解説者の発言を米紙非難「未だに“言葉の壁”ついて話している」

 米解説者が、ヤンキース田中将大投手の通訳がマウンドに上がることに疑念を呈し、後に謝罪した一件について、米紙が特集を組み、現場の声を伝えている。今回、記事を掲載したのはレンジャーズの地元紙「ダラス・モーニング・ニュース」電子版。同紙は米国出身以外の選手が数多くメジャーリーグで活躍している現状を指摘しながら「我々は未だに“言葉の壁”ついて話している」と嘆き、レンジャーズのバニスター監督が言語の違いについて「障害というよりも刺激になっている」と語ったことを紹介している。

 波紋を呼んだのは6日(日本時間7日)のヤンキース-レッドソックスのテレビ中継での出来事。この日先発したヤンキースの田中将大が4回に2者連続弾を浴びた場面でロスチャイルド投手コーチがマウンドに足を運んだ際に通訳を伴った。

 ここでボストンでテレビ中継していた米テレビ局「NESN」の解説者で、レッドソックスの球団殿堂入りを果たしている元内野手のジェリー・レミー氏が「(ロスチャイルドに同伴したのは)トレーナーかと思いました。田中が通訳をつけていることを失念していました。私はこれ(通訳のマウンド帯同)を禁止すべきだと思います」と発言。これに実況は慎重な対応を見せたが、レミー氏は「野球言語を覚えろ! すごくシンプルな話だ。長い時間経っているのだから、投手コーチと投手の会話はすごく簡単に理解できるだろう」と続けて指摘した。

 この発言は大きな波紋を呼び、最終的に、同氏が後日、自身のツイッターで「昨夜のテレビ放送での私の言葉で不快となった方々に心から謝罪します」とメッセージを発信する事態となった。

■“言葉の違い”にレ軍監督見解「障害よりも刺激に」

 今回の騒動を受けて特集記事を組んだ「ダラス・モーニング・ニュース」はフィリーズに所属するベネズエラ出身のオデュベル・ヘレーラ外野手について、元内野手のマイク・シュミット氏が同日の現地ラジオ放送で同じように言語の壁を指摘するような発言をしたことを紹介。同氏も後に謝罪することになったという。

 これに関して記事では「メジャーリーグベースボールが運営したワールドベースボールクラシックは大成功だった。最も世界で魅力的な選手は日本人だった。他のスター選手軍団はマニー・マチャド、カルロス・コレアやフランシスコ・リンドーアといったような選手だ。そして、我々は未だに“言葉の壁”について話している。リーダーシップについても」と米国中心の発言を嘆いた。

 また記事の中ではレンジャーズの現場の意見を紹介。バニスター監督は記事の中で「(言語の違いで)それほど多くの困難を目の当たりにしたことはない。とにかく、“言葉の壁”と呼ぶのが好きではないんだ。私は“機会”と呼びたい。互いに腰を据えて話す機会なんだ。成長するために、互いに教え合うんだ。クラブハウス内(の異文化や言語)は障害というよりも、刺激になっていると思う」と話しており、言葉の壁を乗り越えてコミュニケーションを図ることでポジティブな化学反応が起こることを指摘している。

 記事を執筆した同紙のエバン・グラント記者自身、レンジャーズに所属するダルビッシュ有投手の例を挙げて、通訳の意義を解説。「ダルビッシュの英語を聞いたことはないだろうが、彼は話す。ほとんど毎日、私に英語で話しかける。彼は通訳を伴ってインタビューに応えることを好むだろうか。イエスだ。質問を取り違えないようにし、また、英語で間違えを起こさないようにするためだ」とレポートしている。