「握力が以前より弱くなった」「疲れやすくなって物事を面倒だと感じやすい」「食事量は変わっていないのに1年で5kgほど体重が減った」このような症状・状態を感じることはありませんか?それは「フレイル」が原因かもしれません。加齢により発症しやすく…
「握力が以前より弱くなった」
「疲れやすくなって物事を面倒だと感じやすい」
「食事量は変わっていないのに1年で5kgほど体重が減った」
このような症状・状態を感じることはありませんか?
それは「フレイル」が原因かもしれません。加齢により発症しやすくなるフレイル。今回はその治療法と予防法をご紹介します。
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1.フレイルとは?
フレイルは、厚生労働省研究班の報告書で、「加齢とともに心身の活力が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」(※1)とされています。
とくに高齢者に発症しやすいフレイルは、健康的に生活できている状態と、日常生活にサポートが必要な介護状態の中間を指します。そのため、早期の予防や治療が大切です。
2.フレイル3つの要素
フレイルは主に3つの要素で構成されています。1つずつ詳しく見ていきましょう。
2‐1.身体の虚弱
身体の虚弱には、筋力の低下と口腔機能の低下があげられます。筋力が低下すると、歩きづらくなったり転倒しやすくなったりするため、注意が必要です。
口腔機能の低下は「オーラルフレイル」ともいい、食べ物が噛みづらい、食べこぼしが増えるなどの症状があります。悪化すると摂食障害や嚥下障害などを引き起こす可能性があります。
2‐2.心・認知の虚弱
症状としては、「記憶障害」「失語」「失行」「失認」「遂行機能障害」などがあります。物忘れや計画が立てられないということから症状が進行した場合、認知症と診断されます。
また、認知症と勘違いされやすいのですが、うつ病を発症している場合があるので注意しましょう。
2‐3.社会性の虚弱
高齢になると、定年退職やパートナーとの死別などによって、人や社会とのつながりが減少してしまいます。このことを社会性の虚弱といいます。
人との交流が無くなると、フレイルの症状は進行しやすくなるため、社会性を保つこともフレイルの予防として重要です。
3.40代から始める! フレイル予防3つのポイント
健康寿命を延ばすためには、これから紹介する3つのポイントが重要です。どれか1つだけをするのではなく、3つをリンクさせて日常生活に取り入れることが大切です。
3‐1.栄養
バランスのいい食事を意識しましょう。高齢になると栄養素を吸収しにくくなるため、摂取効率が重要になってきます。骨を強くする牛乳や乳製品、筋肉のもとになる肉、卵、大豆製品がとくに大切です。また、口腔機能も衰えやすいため、しっかりと咀嚼して食べるようにしましょう。(※2)
3‐2.運動
適度にからだを動かすことも、フレイル予防のポイントです。筋力の低下を防ぐことで、転倒や骨折を予防できます。高齢での骨折は、最悪の場合寝たきりになってしまうため、認知症の進行を早める恐れがあります。適度な運動で筋肉を保ち、健康的なからだを維持しましょう。(※3)
3‐3.社会参加
さまざまな要因で人とのかかわることが減ってしまうと、フレイルの入り口につながってしまう可能性が高くなります。地域のボランティア活動への参加や、趣味のクラブ活動などに入り、人とのかかわりを積極的にしましょう。(※3)
4.健康寿命を延ばすには漢方もおすすめ
体質改善が期待できる漢方は、健康寿命を延ばし、フレイルの予防にもおすすめです。
フレイルの原因には、足腰の衰えや食欲、意欲、認知機能の低下などが考えられます。漢方は「身体的なフレイル」と「精神・心理的なフレイル」に同時にアプローチすることが可能です。
フレイル対策には、「加齢による足腰の衰えを補う」「消化・吸収機能を高めて栄養を全身に届け、心とからだを元気にする」「血流改善によって脳や神経に栄養を届ける」「自律神経を整え、ストレスによる疲労を減らしたり、睡眠の質を上げたりする」といった作用のある漢方薬を選びましょう。
漢方薬は心とからだの機能の低下を根本から改善し、今の症状改善だけでなく、健康でいつづけることを目的としています。
また、漢方薬は自然の生薬から作られており、一般的に副作用も少ないとされています。さらに、医療分野でも使用されていることから、安全性も保証されているのです。
<元気がないと感じる方におすすめの漢方薬>
・人参養栄湯(にんじんようえいとう):冷え性や貧血などの症状がある、疲労衰弱がひどい、体力がない方
気血を補うことで、疲労倦怠や虚弱体質に働きかけて元気を取り戻すのを助けてくれます。(※3)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):元気がなく胃腸の働きが衰えて、体力が弱っているという症状のある方
胃腸の動きをよくして体力を回復させ、元気を取り戻すのを助ける作用があります。(※4)
漢方薬を服用する際は、自分のからだに合った漢方薬を選択することが重要です。自分のからだに合っていない漢方薬を服用すると、効果が薄かったり、副作用が生じたりしてしまう可能性があります。必ず漢方薬に詳しい薬剤師などに相談するようにしましょう。
なかなか相談に行く時間がない方や、お近くに相談できる場所がない方には、オンラインサービスの活用もおすすめ。「あんしん漢方」では、オンラインで漢方薬の相談ができて自宅まで郵送してくれるので、気になる方は試してみてはいかがでしょうか。
5.フレイルを予防して健康な将来を
今回は「フレイル」のご紹介をしました。症状が進行すると介護が必要になったり、認知症を発症してしまったりする「フレイル」。早期の治療がとても大切です。
今回ご紹介したことをぜひ試してみてください。健康寿命を延ばして楽しい老後生活を送りましょう!
(※1)健康長寿ネット「フレイルとは」公益財団法人長寿科学振興財団
(※2)健康長寿ネット「フレイルの予防」公益財団法人長寿科学振興財団
(※3)くすりのしおり「オースギ人参養栄湯エキスG」くすりの適正使用協議会
(※4)くすりのしおり「オースギ補中益気湯エキスG」くすりの適正使用協議会
[文:あんしん漢方]
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科にて臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならないからだをつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。
臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットをいかしつつ漢方の処方も行う。
また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。