補償いらずの「Cランク」選手過去10年の例を見ると 日本プロ野球では2008年のオフから、フリーエージェント(FA)宣言…
補償いらずの「Cランク」選手…過去10年の例を見ると
日本プロ野球では2008年のオフから、フリーエージェント(FA)宣言を行った選手を元所属球団での年俸ランクを元にA、B、Cの3つに分け、それぞれ補償の内容を変えている。Cランクとされた選手は移籍先から所属球団への補償が必要なく、市場に出ると人気になることが多い。
今季はオリックスからFA宣言した伏見寅威捕手、DeNAから手を上げた嶺井博希捕手がCランクとなる見込み。需要のある捕手ということもあり、動向が注目されている。ただ過去に「Cランク」で移籍した選手を見ると、成功例ばかりではない。ここでは過去10年にCランクFAで移籍した選手の成績を、移籍前年からの変化という形でチェックしてみたい。
【2012年】
オリックス 日高剛 捕手 →阪神
52試合 打率.239、1本塁打8打点→44試合 打率.289、2本塁打7打点
【2013年】
中日 中田賢一 投手 →ソフトバンク
40登板 4勝6敗15ホールド、防御率3.40→25登板 11勝7敗、防御率4.34
巨人 小笠原道大 →中日
22試合 打率.250、1本塁打8打点→81試合 打率.301、1本塁打18打点
ソフトバンク 山崎勝己 捕手 →オリックス
91試合 打率.252、1本塁打20打点→60試合 打率.108、0本塁打4打点
【2014年】
日本ハム 小谷野栄一 内野手 →オリックス
84試合 打率.296、4本塁打29打点→56試合 打率.295、4本塁打22打点
DeNA 金城龍彦 外野手 →巨人
90試合 打率.200、0本塁打11打点→36試合 打率.233、1本塁打10打点
中日からソフトバンクに移った中田が成功例だろう。リリーフから先発となり、自身2度目の2桁勝利を挙げている。先発ローテーションの一角を占めたものの、移籍6年目となった2019年のオフに阪神へ無償トレードで移籍、2021年を限りに引退した。また2度目のFA移籍となった小笠原は、中日で代打起用を中心に活躍した。
わずか2年在籍で1勝の井納、4年契約の福田は来季正念場
西武 脇谷亮太 内野手 →巨人
118試合 打率.294、3本塁打22打点→54試合 打率.157、1本塁打7打点
中日 高橋聡文 投手 →阪神
35登板 3勝3敗6ホールド、防御率3.51→54登板 3勝1敗20ホールド、防御率3.76
広島 木村昇吾 内野手 →テスト入団で西武
72試合 打率.269、0本塁打8打点→38試合 打率.221、0本塁打5打点
【2016年】
ソフトバンク 森福允彦 投手 →巨人
50登板 2勝1敗16ホールド、防御率2.00→30登板 1勝3敗6ホールド、防御率3.05
【2017年】
ソフトバンク 鶴岡慎也 捕手 →日本ハム
29試合 打率.321、3本塁打5打点→101試合 打率.243、2本塁打22打点
【2019年】
ソフトバンク 福田秀平 外野手→ロッテ
80試合 打率.259、9本塁打26打点→62試合 打率.216、5本塁打19打点
DeNA 井納翔一 投手→巨人
17登板 6勝7敗、防御率3.94→5試合 0勝1敗、防御率14.40
2019年のオフにソフトバンクからロッテへ移籍した福田は、右肩骨折などの故障も続き出場試合数を減らした。さらに翌2021年は4試合出場でわずか1安打、今季も20試合で打率.171に終わり、4年契約の最終年となる来季は勝負の年となる。
同じ2019年にDeNAから巨人へ移籍した井納も、移籍前年が17試合全て先発で6勝7敗だったのが、巨人では5試合に投げただけ。開幕ローテーション入りを果たしたものの4月には登録抹消された。今季は移籍後初勝利こそ挙げたが、7試合に投げただけで閉幕後には戦力外通告を受けた。
過去10年、移籍後に出場試合数を増やしたCランクFA野手はわずか2人。逆に減らしたのが7人にのぼる。今年の2人はどのような道を歩むことになるだろうか。(Full-Count編集部)