JBCFロードシリーズ内の最高レベルのリーグであるJプロツアー。その第13戦「群馬CSCロードレース9月大会DAY1」が、群馬サイクルスポーツセンターで開催された。9月23日、24日に同会場でロードレースを連戦、さらに最終日の25日には、ヒ…

JBCFロードシリーズ内の最高レベルのリーグであるJプロツアー。その第13戦「群馬CSCロードレース9月大会DAY1」が、群馬サイクルスポーツセンターで開催された。9月23日、24日に同会場でロードレースを連戦、さらに最終日の25日には、ヒルクライムレースが予定されており、群馬3連戦という形で構成された。

群馬サイクルスポーツセンターでの開催は4月以来。初戦のDAY1は、6kmサーキットを逆まわりで25周する150kmの設定だ。
雨が時折、強く降りつける厳しいコンディションの中、選手がスタートラインについた。個人総合首位の小林海(マトリックスパワータグ)は欠場し、U23首位の佐藤光(稲城FIETS クラスアクト)のみがリーダーとして先頭に並んだ。



雨の中、逆回りのサーキットに選手がスタート

スタート後、7周目までレースは落ち着かず、飛び出しをかけたアタックの掛け合いが続いた。



アタックと吸収を繰り返しながらレースが進んでいく



ネクストリーダージャージを獲得後、初レースとなる佐藤光(稲城FIETS クラスアクト)

ようやく抜け出した17名が集団を作り先行する。この中には、4日前の経済産業大臣旗ロードレース(南魚沼ロードレース)で優勝した入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)、U23リーダーの佐藤、ベテランの実力者フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)らが入っていた。



17名が集団を作り先行

後続のメイン集団はシマノレーシングが先頭に集まり、コントロールを試みたが、差を詰めることができない。レースの進行と共に差は広がり続けた。1分ほどだったタイム差が、じわじわと広がり、中盤には3分以上まで拡大してしまった。逃げ集団の人数も多く、逃げ切りの可能性が高まっていく。



シマノレーシングが集団に集結し、レースコントロールを試みる

11周目、メイン集団から中井唯晶(シマノレーシング)が単独で追走し、先頭集団に合流。その後は追走の動きも生まれず、集団を引き上げようというチームも現れず、ペースアップは難しくなった。タイム差が広がっていき、事実上、先頭集団の逃げ切りがほぼ確実になった。



レース終盤、先頭集団は10名まで絞られた



ゴール勝負に向け、集団の中の駆け引きが始まる

逃げ切りが見えてきた先頭集団の選手たちの間で、ゴールを見据えた動きが始まった。



マンセボが仕掛け、皆が必死で食らいつく

残り5周に入ると、先頭集団からのアタックが激しくなる。繰り返し選手が飛び出し、ペースが上がる。疲弊した選手は脱落していき、次第に人数が絞られていく。マンセボ、中井、入部らが代わる代わるアタックしたが、決定的な抜け出しは叶わなかった。



最終周回に入ると入部が渾身のアタック

最終周回に入った直後、入部が再度キレのあるアタックを繰り出し、10秒ほどの差をつけて独走した。このまま逃すわけにはいかないと、ゴールを狙えるメンバーが協調して入部を追う。
ラスト1km手前で、入部は集団に吸収され、スプリント勝負で勝敗が決められる流れになった。集団で追いついたメンバーと単独で先行し、力を使ってしまった入部とを比べれば、圧倒的に追いついたメンバーの方が有利である。入部は勝者の予想から外れ、誰もが追走のメンバー間での戦いを予想した。

※壮絶なレースの結末は!?次ページへ→

だが、この日は違った。熾烈なスプリントへの位置取り合戦を経て、残り100m、フィニッシュへ続く上りに先頭で突入したのは、なんと先ほどまで独走していた入部だった。追走のメンバーは全力で入部を追ったが、この日の入部に及ぶものは誰もいなかった。



一度集団に捕えられた入部が皆の予想を超えた強さでスプリントにも競り勝った

入部は後ろを振り返り、自身の勝利が確実になったことを確認。ポーズを決める余裕を見せながら、自身と弱虫ペダルサイクリングチームにとって初となる2連勝を決めた。2位には中井、3位にはマンセボが入った。



入部、中井、マンセボの表彰台



ジャージを守り、ほっとした笑顔を見せる佐藤光

入部によれば、先頭集団にいる選手も全力で引いており、自分が抜けだした後も、ペースは落ちないであろうと予測。最終周回に飛び出してからは、自分が捉えられる可能性も踏まえ、少し余力を残しながら先行していた、と語る。目視で追走の選手らとの差が詰まってきているのを確認し、いったん集団に戻ってスプリントで戦う戦術に切り替えたのだそうだ。そして臨んだスプリント勝負では「自分でも驚くほどスピードに乗せることができた」という。「まさか自分でもスプリントで勝てると思っていなかった」「びっくりしています」と明るい笑顔で語った。
年間ランキングの個人総合首位の小林を、じりじりと追い上げる入部。今シーズンの残りのレース数とポイント差から考えると、逆転は極めて難しいが、鮮烈な連勝を飾り、ますます存在感を強くしたことは確かであろう。

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【結果】Jプロツアー第13戦「群馬CSCロードレース9月大会DAY1」(150km)
1位/入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)3時間47分29秒
2位/中井唯晶(シマノレーシング)+0秒
3位/フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)+0秒
4位/金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)+0秒
5位/山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+0秒

【Jプロツアーリーダー】
小林海(マトリックスパワータグ)

【U23リーダー】
佐藤光(稲城FIETS クラスアクト)

画像提供:JBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)

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