終盤の猛攻で一挙6点の逆転劇! エースの快投で59年ぶり白星 重き扉を開ける原動力となった言葉がある。「戮力同心(りくりょくどうしん)」。優勝(35季ぶり13度目)が決まった5月28日の会見で溝口監督が語ったコメントはまさにそれを表してい…

終盤の猛攻で一挙6点の逆転劇! エースの快投で59年ぶり白星

重き扉を開ける原動力となった言葉がある。「戮力同心(りくりょくどうしん)」。優勝(35季ぶり13度目)が決まった5月28日の会見で溝口監督が語ったコメントはまさにそれを表していた。「全員でつかんだ勝利。練習から一体感をつくり、チームがまとまる強さを身につけました。この優勝はみんながMVPです」。力と心を一つにしてつかんだ今世紀初の栄冠だった——。全員野球で次なる頂点の座として見定めるのは、第66回全日本大学野球選手権。
大会初戦(2回戦)の相手は富士大(北東北大学野球連盟代表)試合のポイントは相手先発の好投手・加藤(八重山商工)をいかに打ち崩すかだった。攻略に成功したのは0対2とリードを許した終盤7回裏。先頭・山根(浦和学院)が右前打で出塁すると、この日、溝口監督に打棒を買われて7番DHで起用された大東(長良)のバットが火を噴く。「バントだと思っていたんですけどね。でも、『打て』のサインで初球は真っ直ぐが来ると感じたので、おもいっきり振り抜きました」。そう試合後に語ったように、136キロの外角ストレートを捉えた会心の打球は、ライトスタンドへ一直線。このアーチが春のリーグ戦でチーム打率トップ(.292)を誇った打線に勢いを与えた。

なおも、8番・林田(島原)が四球を選んで出塁すると、一死後に1番・寺山(神戸国際大附)の内野安打で一二塁とチャンスを拡大。ここでついに加藤をマウンドから引きずり下ろした。救援陣に対しても攻撃の手を緩めない。なおも一死満塁の好機を演出すると、3番手・鈴木(向上)から飯迫(神戸国際大附)も連続死球で3対2と逆転に成功。
勝利を大きく引き寄せる一打を放ったのは、今春リーグ戦で打点王に輝いた主砲の4番・笠松(大阪桐蔭)だ。一死満塁から初球を鋭く振り抜くと、打球は三塁線を抜けて2者が生還して5対2。さらに相手投手陣の乱調もあって、1点を追加してこの回に打者一巡の攻撃で6点を挙げて一気にゲームをひっくり返した。

打撃陣に流れを呼び込んだのは先発・田中(大阪桐蔭)。「リーグ戦が終わってから少し期間が空いたので、そこでしっかりと調整ができた。相手に先制はされてしまったけど、残りのイニングは挽回しようと投げて野手もフォローしてくれた」。自身がそう語るように、まさにエースにふさわしい快投だった。6回こそ味方の守備の乱れなどもあり2点を先制されるも、それ以外は持ち前の緩急を織り交ぜたコーナーを突く丁寧な投球で相手打線を翻ろう。終わってみれば3者凡退に封じたのは実に6イニングで、128球5安打10奪三振でチームを準々決勝へ導いた。

立教大の大学選手権の白星は59年ぶり(出場は51年ぶり)。50年以上も昔の話にはなるが、過去4度の出場で3度優勝に輝いている。今日の勝利は2連覇を達成した1958年の第7回大会以来だ。試合序盤こそ苦しんだものの、伝統ある東京六大学野球連盟代表として白星を手にした溝口監督は語る。「相手先発(富士大・加藤)が非常に良い投球をしていて突破口を開けなかった。51年ぶりの出場で期待もされますが、目の前の一戦を戦うだけ。相手はどこも強いし、一つひとつのプレーをしっかりとやっていきたいです」。次なるは準々決勝の天理大(阪神大学野球連盟代表)戦。半世紀ぶりの栄冠に向けて一歩一歩着実に歩を進めていく。

立教6-2富士大
勝ち投手:田中
負け投手:加藤
本塁打:大東