パドレスには昨季まで在籍したマルティネスら4人のNPB経験者が在籍 ソフトバンクが3日から宮崎市内の生目の杜運動公園で行…

パドレスには昨季まで在籍したマルティネスら4人のNPB経験者が在籍

 ソフトバンクが3日から宮崎市内の生目の杜運動公園で行っている秋季キャンプ。そこにはテスト参加している米独立リーグ2冠王のコートニー・ホーキンス外野手だけでなく、他にも外国人選手が参加している。ダンカン・スナイダー投手とヘンリー・ヘンリー投手のパドレス傘下に在籍するマイナーの2投手だ。さらに同傘下3Aのマイク・マッカーシー投手コーチ、バイオメカニストなどスタッフ3人も来日してキャンプに参加している。

 なぜメジャーリーグの球団であるパドレスが、ソフトバンクのキャンプに選手とスタッフを参加させたのか。この疑問に、パドレスのエーシー興梠・環太平洋オペレーション部長が答えてくれた。エーシー興梠氏は「NPBの投手の育成法を学びに来たという感じです。ソフトバンクさんは日本でも育成にすごい力を入れている球団であり、学ぶものがいっぱいあると思う。今回来ても、やっぱりいろいろ面白い、取り入れようというものがあります」と明かした。

 パドレスのAJ・プレラーGMはレンジャーズ在籍時にダルビッシュ有投手の獲得に尽力。また広島で活躍したコルビー・ルイス投手を“逆輸入”した人物でもある。また、パドレスには今季ダルビッシュ有投手のほか、昨季までソフトバンクに在籍したニック・マルティネス投手、2019年までソフトバンクに所属し、2020年から2年間は阪神で守護神を務めたロベルト・スアレス投手、そして2019年に阪神でセットアッパーを務めたピアース・ジョンソン投手と4人のNPB経験者が在籍している。

「彼らがこちらに来て良くなって帰ってくるので、何かがあるんじゃないかと」

 プレラーGMが親日家でもあり、興梠氏は「うちのGMが日本の野球を大好きで、日本の育成方法をウチにも取り入れたいと。また、どうやって彼らが、3Aの選手たちがこちらに来て良くなって帰ってくるので、何かがあるんじゃないかということで、今回は3Aのピッチングコーチとかバイオメカニストが学びにきました」と語る。NPBで活躍した投手が、メジャーで花開かせることも多くなり、その秘訣を探るのも目的の1つだという。

 まだキャンプも第1クールを終えたばかりだが、早速、発見があったとエーシー興梠氏は語る。「アメリカのマイナーだと早くブルペンに行くぞ、みたいな感じなんです。こちらはじっくりとウオームアップしてるわけですね。ストレッチもきちんとやる。そこを大事にしなきゃいけない、そうじゃないと怪我に繋がると。小さいことですけど、大事なことなので、取り入れたいなと僕たちは思っています」。準備を大切にする練習環境に注目した。

 ソフトバンクのR&D部門と、パドレスのバイオメカニクス担当者も頻繁に意見を交わす姿がキャンプで見ることもできる。スポーツサイエンスの分野ではアメリカが最先端な印象が強いが、エーシー興梠氏は「ソフトバンクさんはすごく進んでいると思います。簡単に言えば、映像を重ねたりしているんです。そういうのはウチはやっていない。それも取り寄せようと思っています。逆に、意見交換して、ウチから何かいいアイデアを使っていただければいいと思ってます」と言う。

 今回はパドレスサイドからの希望でキャンプ参加が実現したものの、エーシー興梠氏は「こういうキッカケがあるので、今度はパドレスのキャンプに来てくれてもいいかもしれない。こういう交流が続けばいいと思っています」と語る。ソフトバンクとパドレス。NPBを経てメジャーで成功した投手たちが繋いだ縁。球団がより発展していく契機になるかもしれない。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)