フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日〜6月11日/クレーコート)の大会10日目、女子シングルス準々決勝。 ときにナーバスになることは、ティメア・バシンスキー(スイス)からよりよいものを引き出すようである。よかったのは…

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日〜6月11日/クレーコート)の大会10日目、女子シングルス準々決勝。

 ときにナーバスになることは、ティメア・バシンスキー(スイス)からよりよいものを引き出すようである。よかったのは、それがテニスコートの外で起きたということだ。

 風、雨、寒さ、そしてフランス人の対戦相手を応援する観客たちに相対しながらも、第30シードのバシンスキーは全仏オープン準々決勝に進出した。バシンスキーは、2度雨によって中断された試合で、第13シードのクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)を6-4 6-4で下した。

 その前夜に彼女がほとんど眠れなかったことを考慮すればいっそう、印象的な勝利だった。

「夜11時くらいにベッドには入ったのだけど」とバシンスキー。「4時に起きたわ。1時間もよく眠れなかった。もう一度寝ようと努めたけど、目覚まし時計より先に目が覚めてしまった。心臓がどきどきしていたわ、急いでるみたいに」。

 バシンスキーは悪夢を見ていた。彼女は、自分がホテルを出て別の大会でプレーしなければならないという夢を見たのだが、最後の瞬間に、非常に大事なこと----家族へのプレゼントを忘れたことに気づいたのだという。

「私は3枚のタオルを持っていて、私の兄弟は3人だから、それを兄弟にあげたいと思っていたことを憶えている」と彼女は言った。「でも私はそれをクローゼットの中に置き忘れてきた。だから劇的な状況だったのよ。全仏オープンのタオルをあげずに飛行機に乗ることはできない----目覚めたとき、私は汗びっしょりだった。ひどい夜だったわ」。

 バシンスキーはキャリアのより早い時期に足と腹筋の故障のため、テニスをあきらめることを考えたこともあったのだという。2年前、彼女はパリで初めての準決勝を戦い、最終的に優勝したセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に敗れた。バシンスキーはセレナに対し第1セットを先取し、第2セットでもワンブレーク分リードしていたが、そこから崩れ、最終的に6-4 3-6 0-6で屈した。

「セレナは今回出場していなかったから、私にとってそれがかなりの助けとなったわ」とバシンスキーは言った。

 彼女の準決勝の相手は、19歳のエレナ・オスタペンコ(ラトビア)だ。オスタペンコは、元世界1位のカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)を4-6 6-2 6-2で下した。ふたりは木曜に対戦することになるが、その日は偶然にもオスタペンコの20歳の誕生日であるとともに、バシンスキーの28歳の誕生日でもあるのだ。

「彼女は威勢がよく元気いっぱいなの。私はもはやそんな風ではない。私は彼女より8歳年上だしね。もっとも全仏オープンでの私は闘争的なムードではあるけれど」とバシンスキー。「とにかく、簡単な試合にならないだろうことはわかっているわ」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「全仏オープン」準々決勝で地元フランスのクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)を破ったティメア・バシンスキー(スイス)(撮影◎毛受亮介/テニスマガジン)